3話 「レミーの真実」
アーくんに文句を言われながらもリューくんは笑顔であーちゃんの元へ戻っていく。よかった・・・あの様子なら体は大丈夫だと思う。
リューくんはわたしと違って頭いいから、きっと倒れる前にわたしが言っていたことの意味はわかっているんだと思う。それでも、何も言わないでくれるのはわたしを信用していてくれるから?
そうだったらいいな・・・だってわたしにとってリューくんはただの仲間って感じじゃないもん。うん、もう一人のお兄ちゃんって気がする。
「ほら、アーくん! もっとお喋りしようよ!」
リューくんとあーちゃんにはうまくいってほしいからね。わたしはここでアーくんのお相手。・・・それにわたしはアーくんのこと結構気に入ってるし♪
「・・・貴様は本当に変ったやつだな。」
しぶしぶっていった感じで話すアーくん。それでもお喋りに付き合ってくれんだから、見た目よりもずっと優しいよね?
「ん~、そうかな~?」
「ああ、どこもかしこも変っている。だが、一番はオレとこうして話していることだな。通常、天使は悪魔を見れば問答無用で襲い掛かってくるものだ。天使にとっては悪魔は神の敵対者・・・天使の対極に位置するものだからな。」
淡々と話すアーくん。アーくんの性格を考えれば、戦いはむしろ歓迎しそうな気もするけど・・・わたしにはなんだか寂しそうに見えた。
「ち、違うよ! そんなことないよ! だって、わたしがお仕えしてる神様はよく言ってるもん! 『種族なんて関係ないわ』って! 『悪魔も天使も鬼も人も・・・神だって、みんな生きてる同じ生き物よ』って! それに・・・それにわたしは・・・。」
「ん? どうした・・・。」
「ううん、なんでもない。」
本当はわたし・・・天使じゃないなんてまだ言えない。見た目は天使だけど、実際半分天使の血が混じっているけど・・・アーくんもリューくんもあーちゃんも・・・たぶんまーちゃんも、受け入れてくれると思う。思いたい。でも、やっぱり言うのは怖いよ。
「そうか・・・まぁ、話ぐらいならいくらでも聞いてやるさ。」
・・・えっ? アーくんらしくもないセリフに驚いて固まっていると
「か、勘違いするな! 邪竜神と戦うなら貴様も戦力と思っておいたほうがいい。下らん理由で実力が出せないじゃ困るからな!」
えっと~、そうなのかな?・・・アレ? でもアーくんが守りたいのはリューくんでわたしじゃなくて・・・あ~、もうよくわからな~い!!
「そ、そもそも貴様らは揃いもそろってメンタルが弱いのだ! リュウトも攻撃を一瞬躊躇するところがある。アキとかいうエルフはさらに酷い!・・・そういう意味では貴様はまだマシだな。」
「リューくんもあーちゃんも優しいんだよ。特にあーちゃんはね・・・。」
「だから、敵の命を奪ったことに涙するのか!」
・・・アレ? なんでそんなことをアーくんが知っているんだろう? あーちゃんは確かに隠れてよく泣いてるけど、人前ではめったに泣かないよ? わたしだって最近知ったんだから。
「ねぇ、なんでアーくんがそんなこと知っているの?」
「・・・簡単なことだ。オレは貴様たちと戦ったあと、合流するまで様子を近くで見ていたからな。」
そ、それってストーカーって奴じゃないの?・・・あ~、でもアーくんの目的はリューくんでわたしやあーちゃんはおまけみたいなものなのか。
「まぁいい。貴様はあの二人に比べて自身の心を隠す術に長けている。・・・優しいというなら貴様も同じだ。」
そっか、アーくんにもばれちゃってたんだ。リューくんとあーちゃんにはひょっとしたらって思っていたけど。それにね・・・アーくんも悪魔としたら相当にやさしいと思うよ?
「ねぇ、アーくん。」
「なんだ?」
「これからもよろしくね?」
「む?・・・ああ。」
良くわからないって感じの顔をしたアーくんを無視してわたしは空を仰いだ。さ~て、リューくんたちはうまくいってるかな~?
何にも考えていないようなレミーにも隠し事はあったようです。もっとも、その思考が一番幼いっていうのは変らないのですが。
レミー「ム~! そんなことないよ~! わたしはあーちゃんより年上だよ~! わたしがお姉ちゃんだよ!」
それ、本人の前でいうと怒ると思うからいわないほうがいいぞ。
レミー「えっ?・・・わかった。あーちゃん怒ると怖いもん。」
・・・レミーにものを教えるのには鞭が有効そうだな。動物の調教と同じか・・・。
レミー「あ~! サーくんもひっどいよ~~!!」




