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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
1部8章『憎しみを越えて』
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4話 「最強のパーティ結成!?」

 

 まさに苦虫を噛み潰したと言う表情で俺を睨みつけるアシュラ。しかし、まさかあのアシュラが俺を助けるとは・・・。


「何しにきたのだアシュラ。まさか俺の邪魔をしに来たのか!・・・ふん、そんな小僧の軍門に下るとは『闇の牙』も落ちたものだな。」


 アシュラの登場に苛立ちを隠せないのはヘル。だが、


「軍門? ふざけるなよ、ヘル。オレは誰の軍門にも下らん。常にオレ自身の望むがままに動くのみ。・・・そして、リュウトはオレの獲物だ。貴様ごときにくれてやるのは少々惜しい。」


 アシュラの戦う理由は自分の楽しみのため・・・それだけ単純なら迷うこともないのだろうな・・・。


「リュウトよ・・・オレはずっと見ていた。怨みつらみで戦うななどと言う綺麗ごとを言う気はない。・・・だが、オレも貴様も同じはず。オレのように戦いそのものではないにしても、手に入れたい何かを求めて戦っていたはず。ならば! 戦意だけは失うな!」


 ・・・俺が手に入れたいもの?・・・そうだ! 俺は! 俺は!! 平和な世界が欲しかった。俺のような思いをするものがいない世界を・・・姉さんたちのような悲劇を繰り返さない為に!


 よくよく見ると、アシュラの体は傷だらけだ。それもそうだろう、いくらあいつが実力を隠して戦っていたとはいえ、受けたダメージは本物。いくらアシュラとはいえ戦闘不能状態の怪我がこんなに早く回復するはずがない。それでもなお、あいつは自身の思いのままにここに来た。ならば俺は・・・


「アシュラよ・・・そのような傷で俺からその小僧を守りきれると思っているのか!?」


 ヘルも俺たちの動向は知っているはず。つまり、アシュラの怪我の重さも重々承知の上だ。


「貴様相手ならこの程度でちょうどいいハンデだ。・・・それに、貴様は勘違いしてる。守る? 違うな・・・共に戦うのだ!」


 そうだな・・・恨みでも憎しみでもなく、俺の望んだ世界の為にもう一度戦おう。そう思ったら、心に泥のようにこびりついていたものを完全ではなくても取り除いたら・・・俺の体が軽くなった気がした。手元には淡く光る竜神剣。・・・そうか、お前も力を貸してくれるか。本当にこいつには意思があるんじゃないかとそう思えることが何度もあった。真相はまだ霧の向こうだがな。


「アシュラ・・・お前とコンビを組むことになるとは思わなかったな。」


「ふん、こういうのも面白いだろう?」


 ニヤリと笑うアシュラ。本当にこいつは俺の友となれる奴なのかもしれないな。


「ちょっと待て、リュウト。かってにコンビにするな。トリオだろう・・・私もいるのだからな。」


「ム~、あーちゃん! カルテットだよ! わたしを忘れないで!」


 今まで突然の事態についてこれなかったらしい二人が相次いで声をあげる。前衛2、後衛2、うち一人は回復が得意か・・・理想的なパーティかもな。


「じゃあ、行くか! アシュラ! アキ! レミー!」


「ふん、遅れるなよ。リュウト、女ども!」


「アシュラ・・・私の名はアキだ。リュウト、約束忘れるなよ! レミー、リュウトを頼んだ!」


「わたしはレミーだよ。よろしくね、アーくん。リューくん、あーちゃん・・・いっくよ~!」


 それぞれ思い思いに言葉をかける。それがまさにらしい言葉で俺は戦いの場だと言うのに笑みがこぼれた。


「笑うだと!? 貴様自分たちの状態がわかっているのか!?」


「何を焦る・・・ヘル。自分に絶対の自信がるならば、平然と構えていればいいだろう?・・・俺たちにはそれがある。それだけのことだ。」


「ふん、お前もわかっているではないか、リュウト。」


「そうだな・・・私たちの前に敵などないさ。」


「そうそう。わたしたち四人は無敵だよ~!」


 俺たち四人が次々に言い出すなんとも俺たちらしい言葉のオンパレードにますます苛立ちを深めるヘル。・・・おかしいな、いくら俺たちに余裕が生まれようと圧倒的に優位はヘルのほうだ。それに気づかないような奴とは思えん・・・一体何にそんなにイラついている?


「・・・お前たちは忘れているのではないか? こちらには人質がいるのだぞ!」


 冷静な演技。そして、人質の示唆・・・どちらも追い詰められている証拠だ。奴の目的に俺たちの状態がよろしくないと言うことか?


「りゅ、リュウト~・・・ごめんなさい!」


 とはいえ、涙を溢れさせながら謝るママナを放っておくわけにはいかない。・・・アシュラあたりは問答無用で攻撃しそうだし。


「気にするな・・・ママナはあいつの指示通りしていればいいさ。俺が・・・俺たちが必ず助けるから。皆も頼む。」


 誰がなんと言おうと、これが俺だ。俺のわがままにつき合わせてしまう皆には悪いけどな。


「ふん、いいだろう。貸しにしておいてやる。」


 素直じゃないアシュラらしい承諾。


「まぁ、彼女に罪はなさそうだ。ここはリュウトに従おう。」


 口ではしぶしぶと、態度では嬉しそうに承諾するアキ。


「う~ん? 良くわからないけど、あの子を攻撃しなければいいんだよね?」


 口ではわからないといい・・・本音もやっぱりわかっていないんだろうレミーがそう返す。


 これが俺たちだ・・・何故だろう、もう負ける気がしない。


「さぁ、ここからが本当の戦いだ!!」

アシュラ一人参入しただけで随分バランスのいいチームになりました!


マリア「う~ん、どっちかというとアシュラくんが強すぎるからって気もするわね。」


まぁ、それもあるんですが・・・今の安心感はそれとは別ですよ。今はアシュラだって万全ではないですから。


アシュラ「万全でなかろうとあんな奴らに負けはせん!」


おっと、戦いながらもこっちにも参加するとは・・・本当にアシュラが(あとがきルームに)いると安心するな。最近、例の二人に侵食されているから。


マリア/メイ「へ~、それって誰のことかしら(でしょうか)♪」


(あんたたちだって言うと殺されるな。っていうかわかって言ってるだろ!)では皆さん、次回もよろしくお願いします!


マリア「逃げちゃった。」


メイ「情けないお人です。」

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