3話 「最悪の再会」
闇黒騎士ヘル・・・ママナを連れ去り、ハナを! ケンタを・・・そして姉さんを殺した敵!
恨みでは戦わない、そう思っていた。俺が戦う理由は復讐ではない、そうアキにも言った。だが、奴を目の前にしたとき・・・そんな思いは吹き飛んでいた。
「貴様ぁぁぁぁぁああ!!」
アキが静止するよりも早く、アキの背中より飛び降りる。そして
俺の剣はあっさりと防がれる・・・いや、俺の体ごと大きく弾き飛ばされる。その瞬間、体がばらばらになりそうな痛みが走り、すぐに消えていく。
「笑止! まともに走る・・・いや、歩くことさえも出来ぬ身で俺と戦おうと言うのか!?」
いや! まだだ!! まだ・・・俺は戦える!!!
「だ、駄目だよ!リューくん!・・・戦ったら! そんな無理をしたら!! 今度こそ本当に死んじゃうよ!!」
いつも賑やかなあいつにしては珍しく後方で静かにしていたレミーが慌ててやってくる。
「ゴホッ、ケホッ・・・そ、そうだぞ! そなたはどうしてそう無茶をするのだ!?・・・そ、そなたは約束したではないか! わ、私がそなたを失っても泣かぬようになるまで死なぬと!・・・私は泣くぞ!今、そなたを失ったら、わんわん泣きわめくぞ!?」
俺が飛び降りた時の衝撃が効いたのか、むせながらやってきたアキがそんなことを言う。あのときは泣かないなんて言っていたのにな・・・。だが、それがアキの本音であることは間違いがない。それはわかっているのだが・・・
「すまん・・・だが、この戦いだけはやらせてくれ。会って見てわかった・・・俺はこいつとの戦いを済まさずには先に進めない。」
これもまた俺の本音。どうしても許せない敵・・・こいつだけは俺の手で! 必ず倒す!!!
「ずるい。・・・そなたはずるいぞ。そんな真剣な顔で言われたら私は反対できぬではないか。・・・この一戦、一戦だけじゃ! 何があろうと、これより先の戦いは治るまで許可せん! 無論、この戦いで死ぬようなことも許さん! わかったか!?」
「ああ! 勿論だ!!」
・・・ありがとう、アキ。
「さて、はじめてもいいかな。」
意に介さぬようにそう問いかけるヘル。
「貴様がわざわざ待ってくれるとはな・・・。」
「なに、半人前が三人。それも半死人一人と疲労困憊が二人。戦いにもなりはせん。ならば、最後の会話ぐらいは交わさせてやるのが騎士の情けと言うものだ。」
言わせておけば!・・・まずは・・・これだ!
「ならば! これでも受けてみろ! 竜爪閃!!」
くっ! まただ・・・大きく体を動かす度にほんの一瞬だけ体を引き裂くような痛みが走る。
「ふん! こんなものを魔法剣と呼んでいるのか?」
たった一振り・・・それだけで三閃の風の刃はかき消された。
「ファイヤーボール!」
「ウォータショットだよ~!」
アキとレミーの魔法攻撃・・・俺から見ても普段よりずっと威力が落ちているのがわかる。・・・あいつらだって、人の事いえないじゃないか・・・。
「こんなもの・・・避けるまでもないな。」
言葉通りに避けも防御もせずに受け・・・ダメージを受けた様子はない。あのアシュラ並みとは言わないが、こいつも十分すぎるほど化け物じみているな。だからといって・・・負けるわけにはいかない!
「おおおおおお!!」
再び加速をつけてヘルに切り込んでいく。・・・おかしい、こんな距離を進むのに、こんなに時間がかかっていたっけ?
ヘルは相手にするのも馬鹿馬鹿しいとばかりに俺を切り払う。そして
「そうだ、冥土の土産だ・・・懐かしい顔に合わせてやろう。」
そういってヘルが手をかざすと現れた闇より引きずり出したのは・・・ママナ!?
「ごめん・・・ごめんね、リュウト・・・私・・・きゃあ!」
ママナ!?・・・一体どうしたというんだ!?
「余計なことを言うでない。・・・フフフ、この小娘がどうなったか知りたいか? 何、簡単なことだ。この小娘の体内には魔具(体内エネルギーを強制的に雷に変換する魔法的な機械)が埋め込まれている。我らに反抗的な行動や命令に反したら強烈な痛みを走らせる魔具をな。・・・はじめは反抗的だったが、今では我らの命どおりに人間を狩って来てくれるぞ。」
「ごめん・・・ごめんなさい・・・私・・・私!」
憎むべきはあくまでヘルだ。強制されているママナに罪はない。・・・だというのに・・・何なんだ、この思いは? 俺は何の為に戦えばいい? 誰のために剣を振ればいい?・・・何を求めて力を使えばいいんだ!?
「薄っぺらな理想は簡単に壊れる。・・・戦う理由をなくした貴様はすでに戦士ですらない。」
ヘルの剣が俺に迫る。避けなければ・・・何故? 例え避けれたところでどうせ・・・。
ガギィィィィン!!・・・予想していた痛みは感じず、代わりに聞こえたのは乾いた金属音。音につられて顔を上げると、そこにいたのは
「・・・オレは言ったはずだ。オレ以外の何者にも負けることは許さんと・・・。だというのに、こんな雑魚に膝を折るとはな。」
ガタイのいい長身を覆う白い毛の悪魔・・・あのアシュラが俺の眼前に迫ったヘルの剣を受け止めていた。
満身創痍のパーティ、絶体絶命の大ピンチ! そこに現れたのは頼もしすぎる援軍です。
マリア「いわゆるお約束って奴ね。」
・・・はっきり言わないで下さい(汗)
メイ「この作者の頭ではこの程度が限度でしょう。」
・・・そんな言い方しなくても(TT)
マリア「まぁいいわ・・・それより・・・」
メイ「そうですね・・・もちろん・・・」
マリア/メイ「「リュウト(女王様)は無事に済むの(です)よね!?」」
・・・あはは、勘弁してくださ~い><
レミー「わたしの心配してくれる人・・・誰もいないの?わ~ん、○○○○○様~><」




