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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
1部8章『憎しみを越えて』
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2話 「お願い」

 とん・とん・とん・・・体に伝わる一定のリズム。妙に鼻をくすぐる甘い匂い。とくん・とくんと聞こえる優しい心音。・・・こんな状況は知らないはず。なのに何故か懐かしい。


 俺は一体・・・目を開く。視界が白くぼやけてよく見えない。断続的に体に伝わるゆれ・・・誰かに背負われているのか?


「リュウト! 気がついたか!?」


 俺の僅かな身じろぎに気がついたのだろう。アキが声をかけてくる・・・ん? って俺はアキに背負われているのか!?


「こ、コラ!あまり動くでない! 落としてしまうぞ!!しかし・・・そなたは何故動けるのだ? レミーがいうには神経がズタボロとのことだが?」


 神経が? 言われて見れば感覚が偉く鈍い。確かにまともに動ける状態じゃないな。・・・となると、さっきから感じているこの鈍痛は普通の状態なら激痛と言うようなレベルなのかもしれない。


「確かにまともな状態とは言いがたいが・・・動けないと言うことはない・・・と思う。」


 かなりの強がりを言ったのだが、アキの本当か? って言う感じの目線(後ろからなので見難いが)に押されて最後に余計な言葉をつけてしまった。


「ふむ、そなたがそういうということは・・・かなり悪いな。」


 何故そうなる?・・・そして今の状況はどうなっているんだ? そもそも何故俺はアキに背負われている?


「ふむ、では説明してやろう。」


 ・・・アレ? 俺、声に出していたか?


「そなたが考えていることぐらい顔を見れば(一部しか見えないけど)わかる。まず一つ目、そなたはいつも無理をしすぎる! しかも自分でわかっていないのか平然とだ! そのそなたがまともな状態じゃないと、しかも動けるというのが自信なさげに言うとなれば、そうとう悪いと言うことだ!」


 うっ! 身に覚えがありすぎて反論できない・・・。


「ついで二つ目・・・今私たちはレミーの、厳密にはレミーの主殿が教えてくれた竜族を癒すという泉に向かっておる。レミーの力では治療できなかった以上、ここに頼るしかないのだ。三つ目! そこに行くのにそなたは動けない。ゆえに私が背負っていく。疑問はこれで全てだな!」


 ほ、本当に俺が疑問を持っていたこと全てわかっていた・・・アキの推理力が凄いのか、俺が単純なのかどっちだ?


「さて、反論もないようだ。そなたは大人しく背負われておるがよい。」


 ・・・はっ!? いやいや、そういうわけには行かないって!


「とりあえず三つ目にはあるぞ。俺は意識を取り戻したわけだから自分で歩いていくって!」


 いくらなんでも・・・女の子に大の男が背負われている図っていうのは・・・ねぇ? そりゃ俺は170cmとそんなに長身じゃないし、体型も痩せ型だけど、150cmにも満たない同じく痩せ型のアキに背負われているのは・・・。


「却下だ!・・・そなたはわかっておるのか? 自分自身が死に掛けておると言うことに・・・。レミーの診断が並みの生物を基準としているものでも・・・そなたが竜神ということで規定外だったとしても・・・危険な状態であることには変わりあるまい。・・・お願いだから無理をしないでくれ。私はそなたを失いたくないのだ。」


 アキ・・・アキの気持ちは痛いほどわかる。・・・だが、それとこれは別問題で・・・


「その、気持ちはわかるのだがな。その・・・俺にも男としての面子があるわけで・・・。」


「そんなものは知らん!・・・大体ここには私とレミーしか居らん! そのようなものを気にする必要もあるまい!」


 い、いやな・・・俺にとっては二人もいるって言う感じなのだが・・・特にアキに知られているってのが・・・アレ? なんでアキが特別なんだろ??


 そんな疑問を抱きながら・・・アキと降ろせ、降ろさぬの押し問答を繰り広げながら十数分・・・あいつは俺たちの前に現れた。


「自身の足で立てぬほどに疲弊しておるか・・・やはり貴様は竜神などという看板を背負う器ではなかったようだな。」


 あざ笑う奴の姿・・・一時さえも忘れたことはない! 闇黒騎士ヘル・・・姉さんたちの仇だ!


あまりにもわかりやすいアキの気持ち(本人は隠しているつもり^^ でもわかってくれたら嬉しいとも思っている)。そして、そんなものにはまったく気づかないリュウト。ある意味いいコンビです。


レミー「リューくんだってあーちゃんのこと好きだと思うんだけどな?」


リュウトの方は本人がまず気づいていないから^^・・・しかし、今回レミーはまったく絡んでこないな。どこにいたんだ?


レミー「わたしはあーちゃんの後ろをずっと歩いていたよ~! だって・・・だって! あんな雰囲気のところ邪魔なんて出来ないじゃない!」


おお~! レミーも一応空気ぐらいは読むんだ!


レミー「・・・以前、二人っきりのところを邪魔したらもの凄く怒られたんだもん・・・。あーちゃんの目、もの凄く怖かったんだもん。・・・殺されるって本当に思ったんだもん><」


・・・経験則からきてたのか・・・。何だかんだいって暴走すると一番危険なのはアキなのかも・・・。

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