6話 「竜神VS修羅」
体が熱い。力が湧き出る。今ならば何でも出来る気がする。・・・だが忘れてはいない。俺の・・・俺たちの本当の力は何時いかなる時もひとつ!
「さぁ、やるぞ! アキ! レミー!」
俺はけして一人じゃない。・・・一人では戦えない。
全力同士の足比べ。やはりこの状態でもアシュラの方が僅かに速いか? パワーではいうまでもなくアシュラが上だろう。だが!
ぶつかり合う俺とアシュラ。共に音速を超えた者同士・・・ぶつかった瞬間に俺たちの間に圧縮された空気が一瞬の遅れを持って爆散する。
衝撃と風に煽られぐらつく体・・・だが、倒れるわけにはいかない! はじかれるわけにはいかない! そして、俺が勝つ必要はない。俺たちが勝てばいいんだ!
アシュラに襲い掛かる8つの火球。今回は俺が足止めできている分、しっかりと当たる。効果はさほどでもなさそうだが、効いていないわけではない! 改めて前衛がいかに大事かわかる結果だな。・・・そして、もう一人
「いっけぇ~! イリュージョンアロー!」
レミーが放った一本の矢。確かに高速で精密な一撃だが、一見普通の射撃に見えた。
「この程度でオレが・・・・何!? ぐぉぉぉおおお!?」
アシュラは火に包まれながらも確実にクローで防ぎに来た。だが、まるで矢はそこに存在しないかの如くすり抜け、アシュラの胸に深々と刺さる。
「わたしのイリュージョンアローは幻影の矢。防御なんて無駄だよ~!」
そうかレミーの属性は水・・・その特性は幻惑か。あれだけ見分けのつかない幻惑の矢・・・かわすのが難しい状況ならこれ以上ない武器だ。普段どうりの明るい表情で明るく言ったレミーだが、今の一撃に全ての力を振り絞ったのだろう。倒れてないのが不思議なぐらいだ。
そして方やアシュラもアレだけの深手だ。正直、まともに動けているのが信じられないほどの状態。畳み掛けるなら今しかない!
「アキ! 頼む!!」
「わかった!・・・真紅なる業火よ。我が命の火を糧に偽りの生命となれ! ファイヤーバード!!!」
発動と共にアキが力尽きるように倒れこむ・・・ありがとう。あとは俺の役目だ!
ファイヤーバードの標的はアシュラではない・・・標的は俺、厳密に言うなら竜神剣だ!
不死鳥が竜神剣に宿った時、竜神剣は強力な炎に包まれる。以前のときよりもさらに強力な炎・・・だが、熱いとは感じない。剣の動きに合わせて鞭のようにしなる炎。これはまるで・・・
「そうだな・・・名づけて『火炎竜尾斬』!!」
アキ曰く、名とは言霊。名があることは存在の証明。ここに存在を認められた技はよりいっそう強く燃え上がる。さぁ、いくぞ・・・アシュラ、俺たち三人の力・・・お前一人で超えられるか!?
「うぉぉぉおおおお!」
突撃、伸びる炎が全てを焼き払わんばかりにアシュラをうつ! 一撃で終わるとは思っていない。二撃、三撃、四撃、俺が力尽きるのが先か・・・それとも奴か! あとはそれだけだ!!
そして・・・
先に地に膝を折ったのはアシュラ・・・だが、俺ももはや動くこと叶わない状態。
「くっくっく! あっはっはっは!! 久しいぞ! こんな胸躍る戦いは!・・・貴様、名はなんと言う?」
「リュウト・・・リュウト=アルブレスだ。」
「そうか・・・リュウトよ! お前はまだまだ強くなる! 次ぎやるときは今度こそ・・・オレの本当の全力を見せてやれるかも知れぬ。」
やっぱり、まだ力を隠していたか。なんとなくそんな感じはしていたんだがな。
「リュウト・・・お前はオレのライバルだ! いいか・・・オレ以外のものに負けることは絶対に許さん! 絶対にな!!」
そう最後に言い切り、アシュラは腕より生えてきた飛膜を使って空へと消えていった。・・・あいつ、飛行能力まであったのか。
次の戦いか・・・何故かな? 俺は戦いは嫌いだ。苦しい、辛い、殺したくない・・・いつもそう思う。出来ることならば戦いたくなどないのが本音だ。・・・なのに、何故かあいつとの再戦はどこか楽しみにしている俺がいる。
そんな感傷も体の限界を持って唐突に終わりを告げる。暗転する意識の中、俺の体の何か大切なものが壊れる音とアキの悲鳴が聞こえた・・・様な気がした。
アシュラ戦もようやく終わりました。けれど、アシュラの出番はまだまだありますよ。・・・なんといっても彼は・・・おっとこれ以上は秘密です。
マリア「そんなことはどうでもいいけど・・・リュウトくんは無事なんでしょうね? 私は前回言ったわよね~♪ って言うかリュウトくん2章以降、原因はさまざまだけど毎章1回以上は倒れてるってどういうことよ!?」
い、いや・・・それは・・・次回をお待ちください>< では~
マリア「あ、こら~! 待ちなさ~い!!・・・・もう!」
レミー「あれ~、はじめまして~♪ レミーです♪」
マリア「あ、はじめまして・・・どうしたの、こんなところで?」
レミー「えっとね、サーくんに次章の予告をやれって言われて・・・えっと『傷つき倒れたリューくん、あーちゃんとわたしも満身創痍! そんな中襲ってきたのは例の!? 竜神伝説8章「憎しみを越えて」天使の祝福をあなたに』・・・ところで満身創痍ってなに?」
マリア「あはは・・・もう少しお勉強しましょうね。レミーちゃん。」




