5話 「限界を超えろ」
飛び交う火と光。それらは例えまともに当たったとしてもアシュラに大きなダメージを与えるものではない。だが、確実にアシュラの攻撃の機会を奪っているのも間違いはない。
「リューくん! 駄目だよ・・・今はあーちゃんも信じて治療に専念して!」
じりじりとする緊張感。敵の矛先にいるのが自分ならばなんとも思わない。・・・だがアキは、アキだけはその矛先に立たせたくないと思う。アキだけは俺が守らないといけない・・・何故かそんな気がするのだ。
一進一退を繰り返すアキとアシュラ。だが実力からいってアキは到底アシュラには及ばない・・・そしてアキのほんの僅かなミスからその均衡は崩れようとしていた。
それはほんの一呼吸・・・緊張の連続だったアキがついたその呼吸の分の魔法の発動の遅れ。だが、アシュラにとってはこれ以上ない隙だった。一気にアキに近づくアシュラ・・・だが当のアキはにやりと笑って・・・まさか! あいつ!?
「レミー! 治療は中断だ!」
「えっ!? ちょ、ちょっと、リューくん!?」
アキが狙っているのは至近距離からのファイヤーバードだろう。たしかにいくらアシュラといえども効くとは思う。だが、アキもただではすまない・・・はっきり言えば自爆もいいところだ。俺は・・・絶対に認めないぞ!
光と風の融合・・・もっとだ! もっと速く!! 限界? そんなものは・・・越える為にあるんだ! 代償が必要なら・・・なんでも持って行けばいい!
「リュ、リュウト!?」
いきなり目の前に割り込んだ俺に目を丸くするアキ。・・・割り込んだのはこの戦いだけでも二回目だな。
「何をやっているのだ!? そなたはまだ戦えるわけなかろう!」
「俺があんな奴に少々撫でられただけでまいるわけないだろう? 余計な心配はするなって・・・。」
やせ我慢もいいところだろう。アシュラにやられた腹も、傷が開いた胸もずきずきと痛む。・・・いや、まだ俺は生きている。意識もある・・・十分すぎる状態じゃないか。
「いいぞ! 面白い!! やはり貴様は面白い!・・・全ての思い、全ての力・・・出し尽くしてオレに挑んで来い!」
楽しそうに笑うアシュラ・・・思えばこいつ自身はけして悪い奴ではないのだろうな。多様性のある攻めはするが、卑怯なまねはしない。・・・だが、負けてやるわけにはいかない! 絶対に・・・絶対に皆を・・・アキを守るんだ!!
何がきっかけだったのだろうか・・・突然、剣が・・・先代が究極の魔剣とまで呼んだ竜神剣が光り輝く。そして俺の中に凄まじいまでの力が流れ込んでくる。
「リュウト!? そなた一体!?」
アキの驚く声・・・俺も驚いてはいるし怖くも思う。だが、この際理由などどうでもいい!
「さぁ、アシュラ! お前の望む戦いを・・・してやるぞ!」
全力で飛び込み、剣を振る。何の小細工もないその一撃を受けるアシュラに先ほどまでの余裕はない。だが
「くっくっく! はっはっは!! 面白い! 面白いぞ!! ようやく見せてくれたな! それが貴様の本気・・・竜神を恐れさせる力か! さぁ、オレと死合おうぞ!」
この状況でなお笑えるか・・・俺とは相容れないはずの戦闘狂。だが、憎むべき敵って言う感じはしない。・・・もし出会う場所が違ったのならば友になれたのかも知れんな。
とりあえず、アキの死亡フラグは叩き折れました。・・・けしてメイが怖かったわけではありませんよ? 本当ですよ><
マリア「うん、まぁいいわ。でもアキさんのフラグねぇ。」
な、なんでしょう、マリアさん。
マリア「い~え、別に~・・・ただよくよく見るとフラグっぽいものが立っている子がもう一人いるな~ってね。」
は、はい・・・えっとそれがどうしたのでしょうか?
マリア「まぁ、作者くんはよ~くわかっているわよね~?」
・・・うう、リュウト、アキ~、レミー・・・はトラブル呼びかねないから除外して・・・(あとがきルームに)カムバ~ック(TT)・・・ホント、なんで作者が脅されなければいけないんだろ?




