3話 「絶望的な差」
「さあ! 楽しい戦いの始まりだ!」
その言葉と共に閃光が走り、光に掻き消えるように姿を消すアシュラ。
堂々と正面から攻めてきたアシュラの爪を辛うじて俺ははじく。その速度も威力もウェアウルフのものとは比べ物にならない。
「くっくっく! この程度の速度ならばついてこれるか。少なくても退屈な戦いにはならなさそうだな。」
守ってばかりでは勝つことは出来ない! 竜神剣に風の力を込め、突撃する。・・・が、両手の爪をクロスするようにしアシュラはあっさりと受け止める。そしてそのまま俺の顔に飛び回し蹴りをうってくる。
防御をとっさに強化しなければ意識どころか首を折られていたかもしれない一撃に俺は大きく吹き飛ばされる。
「ファイヤーボール!」
「ウォータショット!」
空に跳んでいるアシュラに対して撃たれた二人の魔法。飛行能力のない(と思う)アシュラには避けれない・・・そう思ったのだが、アシュラは体をよじるようにして避けてしまう。
「ふむ、いい判断だ。惜しむべきは速度のなさだな。」
お前以外のもなら避けるなどありえない速度は出ているのだがな・・・。スピードとパワーを高レベルで両立していると言うのは厄介だな。
「そろそろ体も温まってきたころだろう? 竜神の奴をおびえさせるその力・・・オレにも見せてみろ!」
そんな力があったら苦労はしないんだがな・・・。だが、俺にも意地と言うものがあるんだ! 切り札だとか、体が持たないだとか言っていられない。風と光の融合による超スピードで勝負だ!
「ほう! 先ほどよりは速くなったな。だが、出し惜しみをされては面白くないぞ。」
!? アシュラの姿が消えた? と思った瞬間に吹いた突風に吹き飛ばされる。アシュラも風の属性?・・・いや、これはソニックブームか!? つまり奴の速度は音速を超えていると言うわけか。
「何を呆けている? まだまだウォーミングアップレベルのことしかオレはやっていないぞ?」
・・・この化け物め。単純な力ではこいつに勝つのは今の俺たちでは不可能だ。ならば・・・俺たちが誇れるものはこれだけだ! アキ、レミー! 俺に力を貸してくれ!!
「!?・・・いい気迫だ。さぁ、見せてみろ!お前たちの力を!!」
言われなくても!出し惜しみはなしだ・・・ここからはずっと全開でいく! 小細工なしで正面から飛び込み、アシュラのカウンターぎみに打たれた拳をかわしながら肘うちを打つ。そこに
「いっけぇ~!」
レミーが渾身の力を込めて弓を引く。それも2本同時に正確に頭と心臓を狙った一撃だ。だが、それも両手のクローではじかれてしまう。・・・ここまでは予想どうりだ! 頼むぞ・・・アキ!
「真紅なる業火よ。我が命の火を糧に偽りの生命となれ! ファイヤーバード!!!」
キュュイイイイイン! 一声高く鳴いたフェニックスがアシュラ目掛けて飛ぶ。本来は1匹ではなく8匹生み出す技だと聞いているが、前回と違い成鳥を生み出せたあたりにアキの成長が見える。
「ぬくく・・・おおお!」
ファイヤーバードの直撃をうけ、初めて苦悶の声をあげる。悪魔といえどもアシュラは獣に近い・・・火は効果的なはずだが。
「ふ・・・ふざけるな~!!」
激高の声と共にファイヤーバードがかき消されてしまう! アシュラの体は・・・ダメージを受けている様子はない。
「今の攻撃・・・狙いはよかった。タイミングもな! だが、なんだ?あの腑抜けた攻撃は!? この程度の攻撃でオレの体に傷をつけられるとでも思っているのか!?」
腑抜けた・・・ね。今のアキの攻撃は俺たちの中でも確実にトップクラスだったんだが・・・。
「何故全力を見せない! オレは全力を出すにあたらぬ敵だとでも言う気か!?・・・いいだろう、ならば先にオレの本気を見せてやろう。」
!? アシュラのまとう気が一段と大きくなった気がする。本当に化け物じみた奴だな。・・・一体どうすればこいつに勝てる!?
まさに圧倒的なアシュラの実力。リュウトたちに勝ち目はあるのでしょうか!
マリア「リュウトくん! 負けたら承知しないわよ!!・・・お姉ちゃんも応援してるんだからね!」
・・・また出てきたんですか? マリアさん?
メイ「女王様が御付になっているのです。・・・あの程度の獣に負けるはずはありませんわ。・・・ねぇ、作者殿?」
メ、メイさんまで・・・って僕、脅迫されている!?
マリア/メイ「フフフフ・・・作者く~ん(殿)?」
あははは・・・誰か助けて・・・・><




