2話 「白き悪魔」
朝日が差し、鳥が鳴き始めると同時に起きる。旅人としてのリュウトの習慣である。だが、今日の目覚めは少々違ったようだ。
起きる時間そのものは同じように日の出と同時・・・違うのは
「・・・ようやくお目覚めか。」
目の前にいた魔族の存在である。
その存在に気づいた俺は慌てて飛び起きる。だが、おかしいな・・・敵意に反応するはずの結界は何の動作もしていない。そして、奴はただ通りかかっただとか、お話に来たというようには見えん。
「アキ、起きろ。」
俺はいまだに安らかに眠っているアキを起す。無論、視線は奴に向いたままだ。
「う~ん・・・リュウト?・・・えっ!?」
さすがのアキも異変に気づき飛び起きる。
「アキはレミーを呼んできてくれ。」
「う、うん! すぐ起してくるからね。」
・・・口調が素だな。まだ寝ぼけているのだろうか? いや、今はそんなことはどうでもいい。寝起きの悪いレミーのことだからおそらく早くても5分はかかるだろう。その間にこいつの正体ぐらいは・・・。
「さて、俺たちの紹介はいらないんだろう? 一応用件ぐらいは聞いておこうか。」
目の前の魔族は2M近い巨体とがっちりした体つき、全身を白い毛で覆われている。その姿は立ってさえいなければ狐だと思うところだ。
「オレの目的? そんなものは言うまでもあるまい?」
まぁ、そうだろうな。だが、そうだとすると解せないな。
「なら、どうして寝込みを襲わなかった。結界さえ反応しないスキルを持っているなら可能だったはずだ。」
俺のその言葉に魔族は不快感をあらわにする。
「寝こみなどを襲って何が楽しいと言うのだ。オレが求めるものは唯一つ・・・血わき肉踊る戦いのみ!」
なるほど・・・戦闘狂の部類か。結界が反応しなかったのは敵意そのものがなかったからか。
「リューく~ん、おっまったせ~!」
「すまん! リュウト、遅くなった!」
いや、俺の予想よりも随分早かったよ。
「ふん、これで準備は整ったな。」
やはりか・・・。奴の目的どおりならこれは
「揃うのを待っていたということか。・・・だが邪竜神にしたがう魔族がそれでいいのか?」
「お前たちが三人で戦うことは知っている。ならば三人揃った万全の状態こそがオレの望む相手。・・・そして、オレは竜神などに従ったわけではない。奴のもとならば楽しい戦いの機会が多い・・・それだけのこと。我が名はアシュラ、アシュラ=ストロングス!魔界で『闇の牙』と呼ばれし悪魔だ!」
今回はきりがいいと言うことでここまでにします。
アシュラ「オレの楽しみは次回までお預けか。」
まぁ、そういうことだな。しかし、今迄で一番安心するゲストがアシュラって言うのもどうなんだろう?
アシュラ「貴様などを手にかけてもオレの爪が穢れるだけだからな。」
あはは^^ そういうことにしておこうか。このアシュラ敵味方あわせた全キャラの中でも一番に近いぐらいの常識人だったりします。
アシュラ「オレがそのポジションにいることに疑問を持つべきだな。」
・・・常識なんて物理的に破壊するような奴らばっかりだもんな~(TT)




