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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
1部6章『満月の夜に』
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5話 「飛べ! 幼き不死鳥よ」

 

 ドクドクとあふれ出す赤い血。一瞬、遠くなる意識がさらに危機を印象づける。


「くはは! 肉はともかく血はうまいじゃないか!」


 そんなものを褒められても嬉しくないがな! 先ずはこの牙を引き剥がさないと・・・!


「くっくく! 貴様は獣をわかっていないな。一度喉笛に噛みついたならそう簡単には離れん!・・・貴様のように甘い男にはわからんのかも知れんがな。身代わりになったことといい、致命傷になる箇所を攻撃しようとしなかったことといい! 攻撃するならより効くところ! 究極的にはここ(首)とここ(心臓)だ! どうせ貴様は戦闘不能まで追い込んであわよくば殺さずにすめばいいとでも思っていたのだろうがな。」


 !?・・・確かにそうだな。俺はいつも僅かに攻撃をはずす・・・こいつの言うとおりだ。俺にそんな余裕など・・・ありはしなかったな。


「ぐっ・・・・おおおおお!」


「何!? 馬鹿な!!」


  引き離すことが出来ないなら・・・自分の肉ごと引きちぎるのみだ!


「馬鹿な・・・自分から喉笛を噛み切らせるなど!?」


 ヒューヒュー・・・喉が鳴る。空気が肺まで入っていかない。出血が多すぎて目が霞む。


 俺は服をちぎり、傷口を思いっきり締め付ける。・・・簡易的な止血と空気の漏れる穴を塞ぐ為だ。必然的に首を締め付ける形になるが、さっきよりはとおりがいい!


「リューくん! 大丈夫!?」


 それを見て慌ててレミーが駆け寄ってくる。


「はは・・・あまり大丈夫とはいえないな。」


「もう! リューくんは無茶しすぎ!!」


 そうかもな・・・そして悪いな、アキ。俺とレミーが抜けたために一人でウェアウルフと相対しているアキに俺はそっと謝った。




 リュウトの首に牙が突き刺さった時、リュウトが自分の喉笛を引きちぎった時・・・私は危うく意識を失うところだった。一安心した今だって動悸がする。


 リュウトはいつだって無茶ばかりする。自分のことなんてこれっぱっちも大切にしてないと思う。・・・そんなリュウトだから守ってあげたいって思うのかな? 大丈夫・・・リュウトが戻ってくるまで、私一人で戦えるよ。


「ファイヤーボール! フレイム!! シャインショット!!!」


 息もつかせぬ魔法の連続攻撃。ウェアウルフを捉えるとまではいかないけれど、逆にあいつも攻撃に転じられない! このまま・・・時間を稼げば!


 そして


「はぁはぁはぁ!・・・ファイヤーボール!」


「無駄だ! 小娘!!・・・殺る気の無い攻撃などそんなものよ。」


 私・・・時間稼ぎさえ・・・できないの? 前だって・・・


 ウェアウルフの攻撃が目の前に迫る。・・・ホント、ごめんね。


「こら! 諦めるのが早い!」


 私がギュッと目をつぶったときに聞こえたそんな声。そして、キィィィンと響く金属音・・・これってリュウト?


「リュウト! そなたはまだ!!」


 私を庇うようにウェアウルフと応戦しているリュウト。まだ、戦えるはずなんて無いのに・・・なんでリュウトは戦うの?・・・決まっている。私が頼ったからだ。時間稼ぎが出来るかできないか? そんなことを思った時点で間違いだった。リュウトが戦えないなら・・・私が倒す! そう思うべきだったのだ。


「あーちゃん! 大丈夫!!」


 リュウトの治療が終わったら今度は私の方へ駆け寄ってきたレミー。・・・彼女が一番動いているのかもね。


「レミー・・・すまぬが少々私を支えていてくれ!」


「えっ!?・・・わ、わかった。」


 出来るかどうか不安だけど・・・試してみたいことがあるの。


「真紅なる業火よ。我が命の火を糧に偽りの生命となれ! ファイヤーバード!!!」


 研究中の私のオリジナル魔法。実力的にはまだまだ不足してるけど、詠唱と代々伝わる魔法の杖にペンダント・・・それに私の全魔力を込めれば!


「ピキィィィィイイ!」


 ファイヤーバード・・・フェニックス(もどき)を8匹作り出すはずのこの魔法なんだけど・・・・生まれたのは小鳥一匹・・・。この脱力感は魔力を使い切ったというだけじゃないと思う。


「ピキィィィィイイ!」


「あ! こら・・・そなたが行った所で役には。」


 別に生きているわけではないのだけど、見た目が鳥だからつい心配してしまう。・・・ってなんでリュウトに飛び掛っているのよ! それに結構速いし!!


「なっ!・・・これは?」


 リュウトの剣が・・・竜神剣が・・・・燃えている!?


 そうか! あれなら!!!


「そのまま剣を叩きつけろ!リュウト!!」


「おお! これで・・・止めだ!」


 獣は火に弱い。それは彼とて同じ。竜神剣を包んだ炎が鞭のようにしなる。あれは私の力じゃない、リュウトの力でも、つまりは・・・。


 でも、先ほどまでのように爪で受けることさえも出来ないなら・・・彼が燃え尽きるのは時間の問題ね。




  戦い終わって


「リュウトさ~ん!」


 戦いが終わったとたんにどこからともなく現れてリュウトに抱きついたのはアイカさん。


 ちょっと! そもそもあなたのせいでリュウトは危険な目に会ったのよ!


 ・・・って! ちょっと・・・なによ、あれ・・・。私の目に映ったのはアイカさんが・・・・リュウトの心臓を・・・・刃物で突き刺していた光景だった。


無事ウェアウルフ戦は終了です♪


アキ「どこが無事だというのだ! 一体どういうことだか説明するのじゃ!」


あ、いや・・・それおもいっきりネタバレもいいところじゃ・・・


アキ「せ・つ・め・い・し・ろ!!」


・・・とりあえず、言えることはこれだけです。前章をもう一度見直してください。答えがきっと見えてくる・・・はずです。では!


アキ「待ちなさい~! リュウトは無事なんでしょうね~~~~!!」

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