6話 「深遠なる闇の底」
空中城 玉座の間
「ご報告します。光の竜の後継者は例の剣を入手した模様です。」
「何? 例の剣だと・・・あれは朽ちて力を失ったと聞いていたが?」
「そのはずでした。・・・しかし、奴めが手にしたのち、復元したとのことです。」
「な! なんだと!?・・・いや、よい。これでこそ、まさに1万年前の再来ではないか! これでこそ!この状態で最後を変えてこそ、我が恨みは果たされるのだ!!」
強気に笑う邪竜神・・・しかし、観察眼のあるものならば気がついたであろう。邪竜神の顔に僅かに浮かぶ恐怖の色に・・・。
???
世界のどこか、日のまったく当たらぬ場所にそのものはいた。それが何者であるかは分からぬ。入り口にぽつんとある灯篭はそのものを照らすこと叶わず、僅かに見開いた眼光のみが存在を主張していた。
「ただいま戻りました。」
漆黒の闇に声が響く。灯篭に映し出されたその姿は見るものを魅了する妖艶なサキュバス・・・その名はルーン。そう、先ほどまで空中城で邪竜神に報告をしていたはずのルーン本人である。
「ふむ、聞こう。竜神・・・いや、邪竜神の奴はどうしておる?」
「はっ! 邪竜神は本心では竜神を恐れていると見受けられます。2度にわたる襲撃は竜神の力を見るため、鍛えるためと言う名目でおこなわれましたがいずれも生き残る方が難しいと言うもの。誤って死んでもかまわない・・・いえ、むしろその方が都合がいいと言わんばかりです。」
僅かに静寂が流れる。姿の見えるルーンと違い、奥にいるものの感情をうかがい知る術はない。
「ルーンよ・・・そちは竜神についてどう思う?」
「私個人としましては竜神はいまだ大した力を持たず恐れるには値しないと思います。ただ、現状唯一の不確定要素である・・・と言うのもまた事実です。ここは邪竜神の思惑に外れようとも・・・いえ、ある意味思惑通りに事故に見せかけて殺してしまうが得策かと・・・。」
「ふむ、ではそちはどう思う・・・ヘルよ。」
いつの間に現れたのか、ルーンの隣にいた闇黒騎士ヘルが問いかけられる。
「私もルーンと同様に考えます。あの状況下においてあやつの目は完全には怒りにも憎しみにも染まってはいませんでした。実力以上の・・・なにか底知れぬものを感じます。」
「ふむ、そなたたちの考え・・・良くわかった。ならばルーンよ! 竜神はそちにまかせよう。余の期待・・・裏切るでないぞ?」
今回はちょっと短めand悪役サイドオンリーの話でした。
ルーン「で、私がここに借り出されたってわけ?」
今回の話でリュウトたちがゲストもなんですから。・・・なんか言葉づかい違いません?
ルーン「なんであなたに敬語をつかないといけないのかしら?」
・・・作者を敬おうと気持ちは?
ルーン「たかが作者でしょ? 私たちは私たちで好き勝手にやらせてもらうんだからあなたに用はないわ。」
・・・うちの連中はこんな奴らばかりか(TT)
ルーン「さて次は私の罠が竜神の坊やたちを襲っちゃうわよぉ♪ 竜神伝説6章「満月の夜に」サキュバスの唇を受けてみたい?」




