4話 「恐怖振り払って」
「はっ!」
俺たちは10体ものゴーレム相手に何時終わるとも知れない戦いを続けてる。
「リュウト!飛べ!」
・・・いや、いきなり飛べっていわれてもな。よっと、目の前のゴーレムを蹴り飛ばすついでに三角蹴りの要領で上空に舞い上がる。
「グランドフレイム!」
アキの地を這う炎がゴーレムたちを飲み込む!だが、長時間にわたる戦いで威力の鈍った炎ではそうダメージは大きくならない。
「いっくよ~!ウォータショット!」
見た目は元気そうなレミーも技の威力低下までは隠せない。
何か打開策が無いと・・・しまっ! 先ほど大きく跳びすぎていたらしい・・・俺は着地前の自由に動け無い状態でゴーレムの拳をまともに腹に受けてしまった。
「リュウト!」
空中でゴーレムのパンチをまともに受けて、まさに飛ぶように私たちの横を素通りして壁に叩きつけられたリュウト。丈夫なリュウトのことだから大丈夫だとは信じたいけど、ピクリとも動かないのが気になる。
「おい! 大丈夫か!?」
戦線を一時レミーに(無確認で)預け、リュウトの元へ駆け寄る。・・・よかった、気を失ってはいるけど今のところ命に別状はなさそう。
とは言っても最悪な状態であることには変らない。今まで私たちが無傷で攻撃にのみ専念できたのは前線でリュウトがゴーレムたちを食い止めていたからに他ならない。そのリュウトがいなくなると・・・
「レミー! すまないが、リュウトの治療を頼む!」
「ええ~! そんなことしたら戦うのあーちゃんだけになっちゃうよ!?」
「だが、前衛を勤めることが出来るのはリュウトだけだ。彼がいなければこの戦いに勝つは難しい。・・・心配するな、そなたがリュウトを治療する程度の時間は稼いでみせる!」
それがもっとも勝率の高い合理的な判断・・・という自信は無い。はっきり言ってリュウトの治療をするのとしないの、どっちがいいかなんて判断できないもの・・・わかるのはどっちを選んでも限りなく勝率が0に近いってことかな? でも・・・どっちを選んでいいのかわからないなら・・・どっちを選んでもいいよね? さっき見たリュウトの顔、気を失っていても苦しそうだったから・・・。
「わかった・・・急いでリューくんを治すから! だから・・・死なないでよ? あーちゃん。」
レミーの言葉に答えず、私は前に出る。今私がいるところが境界線・・・これ以上は一歩たりとも後ろには下がれない。下がったら・・・後ろにいる無防備なレミーとリュウトが危険にさらされる。
怖い。接近戦になるから杖から持ち替えた鞭を握る手が汗ばむ。でも・・・リュウトはいつもこんな戦いをしていたんだよね? 何時だって文句も言わず、ほんの僅かな恐怖さえも見せず、私達を守る為に前線に立っていた。リュウトだって怖くないはずなんて・・・きっとない。だからね、リュウト・・・私にもあなたの勇気、ちょっとだけ分けて。
「さて、そなたらの相手は私がしてやろう。私の鞭はリュウトほど優しくは無いぞ!」
10体のゴーレムから繰り出される無数のパンチ。今までが油断してたってわけじゃないけど、一瞬たりとも気の抜ける時間は無い。パンチが私の横を通るたびに命を削られている・・・そんな気さえもするほどに。
「はぁはぁはぁ・・・」
呼吸が苦しい。酷使しすぎた体が悲鳴を上げてる。一瞬一瞬のその場しのぎのたびに削られていったエネルギーはもう枯渇寸前だ。
私がこうして前線に立ってから何分経ったのだろう。1時間? 2時間? もっとな気もするし、実は1分も経っていないのではと言う気もする。
でも・・・辛いのは私だけじゃない。背後から感じるレミーの魔力もどんどん弱くなっていってる。それは彼女が限界を超えた速度の治療をおこなっている証拠・・・同時に彼女の力がつきかけているということの証。
最後の気力を振り絞って、ゴーレムの攻撃をいなす。・・・アレ? 華麗に次ぎの攻撃に備えるはずだった私の足は自身の動きについていけず、ふらつき・・・ついにしりもちをついた。そこに降りかかるパンチの嵐・・・私には妙にゆっくり見えた。ああ、これが死の間近に見るって言う例の・・・あの頑丈なリュウトをしてあそこまでのダメージ・・・私が受けて助かるわけ無いわね。ごめん、リュウト・・・。
アキの戦い、そして思い。どうだったでしょうか?そして絶体絶命のピンチは如何に!
マリア「大丈夫よ!あの子がいるんだから!」
・・・本当によく出てきますね?マリア姉・・・。
マリア「あなたに姉さんって呼ばれるのはちょっと違うような。マリア様・・・は勘弁してあげてマリアさんでいいわ。」
あはは^^作者の立場向上ってどこに要望すればいいのかな~?




