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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
6部5章『始まりと終わりの地』
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7話 「命燃やして」

 こ、これは一体何が起こっているの? 感じたのは世界が振動しているかのような鼓動。見えたのは2つの閃光。そして、ぶつかりあったそれのうち残ったものは・・・


「リュウトの力・・・いや、竜神の力。まさかあれほどとは」


「わ、私もあんなリュウトくんは見たことないわよ!?」


 2人の驚きも無理はない。あれは異常よ・・・いくら我が君とはいえ、あれほどの力を、私たち4人が命を捨ててまで我が君を守ろうとしたあの一撃を対消滅させるなど


「す、すごい・・・リュウト、かっこいい」


 ・・・ま、まぁ、単純に目をキラキラさせておる小娘もいるけど。気分は王子様に助けられたお姫様といったところか? いや、事実亡国の姫じゃったのわね、この娘は


「うむ、じゃが我もますます惚れ直したぞ。さすが我が君というべきなのじゃろうなぁ」


 ならば私も格式張った思いではなく素直にそう賞していいじゃろう。私の言葉に周りの女どもの目がきつくなったが気にすることはない。神々の神とも滅亡の使者とも呼ばれる竜神、それに違わぬ力と成長力、さらにはあの好ましい性格。エルフの女王にも人間の姫にももったいない。ここは私が・・・誇り高き夜の王たるバンパイア1族の姫、カーミラ=エルプレストこそがふさわしいのは明白というものよ


「カーミラ! それに、えっとアイちゃんだっけ? 2人ともいつまでもぼ~としていない!」


 おっと、たしかにそうじゃのう。発言にはかなりの嫉妬が含まれておる気はするが、確かに事態は最悪を乗り切っても解決しておるわけではない


「わ、わかっておる! ・・・じゃが、我らにあれをどうしろというのじゃ?」


「えっと・・・どうしよう?」


 尋ねられても困るのだけどね。我が君はあの混ざり物の神の攻撃を打ち消したあと、そのまま高速戦闘に突入している。あれだけの速度で攻撃する方も方ならば、それを涼しい顔で受け流している方も方・・・あれで近距離戦は実は得意ではないというあの女神をどうすればいいの?


「くっ、せめて氷で動きを・・・いや、それではリュウトにも影響が出るか」


 せめてものサポートをしようとして逆効果になることを悟って顔をしかめるのはユキ。速度でかき回しているのはむしろ我が君の方だもの。あれの中で効率的に女神のみの動きを封じるのはユキにも無理ね


「あ、あのさ、リュウト、すごいけど・・・なんか怖いよ。そのロウソクの火みたいな感じで・・・あ、そのごめんなさい」


 周りからきつい目で見られて小さくなる小娘。けれど、言い分はわかる・・・たしかにあれは命の火まで燃やしつくそうとしているようにも見える。そして、あの2人のどちらが先に力尽きるかなど明白な話。考えたくはないけれども


「ん、まぁ、こんなところね。今回はこれで合格ということにしてあげるわ」


 まるで幼子を引き離すように軽々とあの女神は我が君を投げ飛ばし・・・その言葉に我が君が力を抜くとずっと感じていた振動さえも収まる。やはり、あの振動は我が君が起こしていたというの? けれど、何のために? わからないことが多すぎる。唯一確かなのは我が君のおかげで私たちは死なずに済んだということぐらいか


「力の源流を斬り、無効化させる。私の攻撃に対して出来るならばまぁまぁよ」


「よく言う。俺があんな一撃に対してどうこうできるものか。確かに今使えていた力はよくわからんが、普段よりもずっと強かったがな・・・だからこそ、インパクトの瞬間にレーチェルが意図的に力を弱めたことに気がつかないとでも?」


 むっ? 確かに我が君とは言え、あれを消すのは異常だと思ったが・・・何を考えているの?


「なんのことかしらね? でもねリュウト君、せめて自分が使った力の正体と自分が無意識に何をしようとしていたかぐらいは把握しておきなさい。これからのためにもね」


「・・・何がこれからなのでしょうか?」


 とぼけた女神に反論をしたのは・・・やはり付けてきておったか、悪魔どもめ


「あら? コーリンにママナちゃんまで? いつから居たのかしら?」


「お戯れを。あなたならば私の隠密ぐらい見破れるでしょうに」


「フフ、たしかにそうね。でもね・・・」


 ゾクリとする感覚。やはり、この女神の力は侮れないと思える圧倒的なエネルギー量。にもかかわらずその感覚は悪意も殺気も含まない。ただただ、受けるのは寂しささえも感じる冷静な気配


「ここで手をだすっていうのならばそれ相応の代金は払ってもらうわ。あなたたちでもね」


「っ!? それは冥王様を裏切るというお話ですか?」


「あら? リュウト君たちを殺せなんていう命は受けた覚えがないわ。それに今、アイちゃんを取り戻そうとすると・・・」


 そう言いながら女神は我が君を見る。ぬぬ? なんのつもりだ? ・・・なっ? 我が君、その状態は!? 一見したところ普通に見えるが気は弱々しく安定せず、立っていることすら辛いのか足は細かく震えている。ここまで消耗していたなんて


「わかるかしら? これ以上ここで戦ったら確実にリュウト君は死ぬわよ。それこそ命令違反ね」


「ですがあなたならば・・・いえ、これ以上は言わないでおきましょう。ですが、ご報告はさせていただきますよ」


 我が君が死ぬ。このまま戦えばそうであるという胸を締め付ける事実に身を震わせながらも私は思う。たしかにこの女神ならば我が君に戦いさえもさせずに小娘1人を連れ去る程度はできるのであろうと。しかし、悪魔たち2人のうち大人の方はそれを言っても無駄と諦めたらしいわね。ちびっこい方も頬をふくらませながらもそこは理解しているようだし


「というわけで私たちは帰るわ。リュウト君、あなたの守るという覚悟に免じてね。だけど、本当に全てを助けるつもりだったら急ぎなさい。そうでないと手遅れになるわよ・・・色々とね。ま、あとはそこの吸血鬼のお姫様やら人間のお姫様やらに聞いてみるといいわ」


 なっ!? あの女神が悪魔2人と一緒に帰っていったのはいい! じゃが、あれでは私が姫の身分であることがバレてしまうではないか! くぅ、結婚式当日に明かして驚かせてやるつもりだったというのに・・・


「そ、そのじゃな、べ、別に意図的に隠していたというわけでは・・・いや、隠してはいたのじゃが悪意があったわけでは・・・って我が君!?」


「ちょ、ちょっとリュウト君、大丈夫!?」


「えっ! えっ!? リュウト!? た、倒れ・・・ど、どこかにベットとか残ってないかな!? で、できればボクの部屋のとか」


「この非常時に何を言っている? 仕方がない、私が回復魔法を使う・・・こら! 服を脱がしてみるのは治療をする私の役目だ!」


 うむ、まぁ、なんというか私たちらしい? いや、我が君らしい騒動なのだろうな、おそらくは

というわけで久々にリュウト倒れる・・・主人公なのにぶっちぎりで倒れた回数NO1なんですよね、リュウトって


マリア「主役だからとも言えるけど・・・どっちにしろあなたはお仕置きね♪」


なんでですか!? あ、そうそう、カーミラがお姫様ってことも今回判明しましたし(話をそらす)


マリア「そうね~。ビックリだけどあんまり関係なしね」


あ、あのどこに引きずっていくんですか?


マリア「ん? なんかね、お仕置きするって言ったら私にもやらせろっていう人が数人いたから」


ちょ! 誰だかわかるけど勘弁して~~!! っていうか実行犯のレーチェルの方に行って~~!!


マリア「それは無理でしょ? というわけで一足先にお任せしとくわ~」


??1「うむ、私たちに任せるのじゃ!」


??2「はい、たっぷりとお仕置きしておきますので」


任せろじゃな~~い~~~~!!


マリア「じゃ今回はこんなところでお開きね♪ 次回はそこそこにいろんな秘密が明かされる見たいよ~。じゃね♪」

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