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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
6部5章『始まりと終わりの地』
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3話 「生死の理」

「リュウト君、その子は誰?」


「ふむ、確か以前に我が君をぶすりと刺そうとか言ってのけた元人間の小娘じゃな」


 姉さんの疑問は最もとして、カーミラは誤解を与えるようなことを言うんじゃない! いや、カーミラにとってはその通りなのか? この場合は説明しておかなかった俺が悪いのか? どっちにしても二人して、いやユキ含めて3人して睨みつけるのはやめて欲しいところだが


「元・・・やっぱりボクはもう人間じゃないんだね」


「どうだろうな? 少なくても俺よりは人間に近い場所にいるとは思うぞ」


 なんの慰めにもならないだろうが、一応本音を言っておく。不老の力・・・不老の呪いを与えられてしまったアイを人間と呼ぶのは確かに苦しいのかもしれない。とは言っても、この場にいるメンバーの中では間違いなく一番人間に近いし、種族で言えば確実に人間種に分類されるのも事実だ


「いいよ、そんな慰めは。ボクも分かっているから・・・で、リュウトはこんな廃墟に何の用があったのかな」


 寂しげにそういうアイだが、それ以上に『廃墟』と言ったときの一瞬の苦しげな顔。やはり、どれだけの時が経とうとも、拷問によりどれだけ歪められようとも彼女はあのアイなのだ


「ここでなければわからないことがある。そして、1つ既にわかったことがある。・・・やはりここはまだ死んではいないよ」


「っ!? どうして! こんなに荒れ果てて! 誰も住んでいなくて! どう見たら、ここがまだ生きているなんて!!」


「君がいるからだ。俺がここに来ると知ってやってきた君が・・・ここの事をまだ心から愛している君がいる限りは死んでなんかいない!」


 息を呑む音がする。けして、彼女をこちらに引き込みたいがための戯言ではない。掛地なしの本音、町の、国の生なんていうのはそこを思う人がいる限りは続くのだと思う。こんなになってもここを愛する王女が・・・いや、もう女王といってもいいかもしれない彼女がいるんだ、ここが死んでいるはずがない!


「リュウト・・・ダメなんだよ。ボクはもうここにはいられないんだ。ここのためになにかしてあげることもできないんだ」


 初めから違和感があったことだが、ここに来て確信する。アイの雰囲気が変わっている。いや、300年前に戻っているというべきだな。一番大きな違いは俺に対する刺すような殺気がだいぶ無くなっていることか?


「アイ、君は・・・」


「わかってたんだ! そうだよ、初めからわかってた! マタリアルが滅びたのも! ボクがあんな目にあったのもリュウトはちっとも悪くないって! でも! でも!! だったらボクの感情はどこにぶつければいいのさ!!」


 苦しみ、恐怖、憎しみ・・・どれ1つとってもそう簡単に払拭できるものではない。だからこそのまさに血を吐くような言葉だろうな。もっとも、少なく見てもアイが攫われた件の原因は俺なのだろうが。だから


「恨んでも・・・」


「そなたが恨みをぶつける先など決まっておろう? この国を滅ぼしたのは誰じゃ? そなたを痛めつけていたのは誰じゃ? 我はよくは知らんが、犯人の名程度はわかるぞ」


「そ、それは・・・」


 恨んでもいいんだと言おうとした俺の言葉を遮って発言したカーミラ。確かに、現場など見ていなくても犯人の名は容易にわかる。だが、その存在はアイの恐怖の対象でもあるんだ


「あ、あの、私はよくわからないんですけど、わ、私なんかが言うのもなんなんですけど、もう1人の私が言うには怖い相手はいつまでも怖がっていたらダメなんだそうです。それは時間が経てば経つほどもっと怖くなってしまうって」


 引っ込み思案な、そしておそらくは臆病なユキの発言・・・むしろ、発言元がもう1人のユキの方だという方がびっくりだが、恐怖に負けずに立ち向かうのは確かに彼女なのかもしれない。彼女には守りたいものがいるのだから


「ねぇ、それって本当に怖いのかしら?」


「えっ?」


 最後に姉さんが話しかける。アイがあっけにとられたような顔をしているが・・・姉さんだからなぁ、爆弾発言じゃないと嬉しいが


「私もほら、見ての通り死んじゃっているんだけど、ちっとも怖くなかったわよ。誰かを守る、誰かの為に戦えるってそういうことじゃないかしら? あなたはいいの? この国をこんなことにしてしまった人物のもとにいつまでも膝まづいていて」


「っ!?」


 再びアイの息を呑む音が聞こえる。どうやら俺の心配は杞憂だったようで、かなり的を得た発言だったと思う。俺は嫌いな言葉だが、確かに仕方のない犠牲・・・犠牲を持ってより大きな危機は払うということはある。ならば理論的には自国を滅ぼした相手に従ってよりいい未来を創る手もあるのだろうが、少なくても今回のケースには当てはまるとは思えない。だが


「そんなこと・・・そんなことわかっている。わかっているけど」


「姉さんも無茶を言うな。300年・・・まぁ実際そのうちの何年かは知らないが拷問を受け続けた相手に反抗しろというのも酷だろう」


「はぁ、リュウト君もダメダメ。そこは俺が守ってやるから心配するなというべき場面よ・・・言ったら言ったでお仕置きだけど」


 何故に!? だが、確かにそれぐらいのことは言ってやらないと・・・いや、やってやらないとダメなんだろうな


「なぁ、アイ・・・」


「えっ? あ、あれは・・・」


 そんなタイミングでアイの視線を奪ったもの・・・それはあの日の再来かと思える巨大な獣の姿だった

さて、今回はアイの説得会・・・無事に仲間になるのかどうかは、このあとの戦いしだいですね


マリア「私としてはすっごく複雑なんだけどね」


ま、まぁそうでしょうけど・・・リュウトが活躍するのは嬉しいのでは?


マリア「そりゃあね、姉として弟が活躍するのは嬉しいわよ? でも、余計な害虫が付いてくるのは嬉しくな~い!」


が、害虫って。まぁ、リュウトはそっちの方は全く気がついていないから問題ないでしょう


マリア「気がついていないから問題なのよ! 次から次へとわらわら寄ってくるんだから! リュウト君を最初に見つけたのは私なのよ!」


・・・ま、まぁ、ある意味ではリデアやレーチェルの方が先ですが・・・ヒッ!


マリア「そうね、じゃあ、いつものお部屋に行きましょうか? 今日はSSコースで許してあげる」


それって死刑宣告ですよね!? 全く許してないですよね!?


マリア「じゃあ、読者のみんなはまた次回ね。次もちゃんと見ないとダメだぞ、お姉ちゃんとの約束ね」


締めの言葉も勝手に!? って、引きづらないで~! ゆ~る~し~て~・・・

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