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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
6部4章『竜神と雪女』
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4話 「マリオネットの目」

 

「何故、こんなことになったのだ」


「こうしないと移動できないだろ?」


 背後から聞こえてきた泣き言のようにも恨み言のようにも聞こえる声に応えたのだが・・・反応がないな? まぁ、早い話がユキをおんぶして移動しているわけだが、足を捻挫している以上は仕方ないだろう。放っておくと無理して動くなり、足を自分で粉砕してから修復しそうな雰囲気だったんでな、問答無用でおぶらせてもらう


「ひ、必要ない! そもそも、普通に歩くぐらいはだな・・・」


「普通に歩く程度で済む保証が無いだろうが」


「ムゥ・・・」


 それでもなお文句を言うユキを一言で黙らせる。流石に反論できないよな? そう、先ほどの地震・・・あれだけの規模、それもピンポイントだ。自然発生の偶発である確率はかなり低いと見ておいたほうがいい。地震ならば起こした奴がいるならば地属性。ユキの仲間が雪女だけとは限らないが、この期に及んで『○○かもしれない』的なことを言わないんだ、少なくてもユキが知っている奴という線はまずないだろう


「ならば、アレは・・・」


「と思っていたほうがいいだろう。まぁ、そう言う意味ではやはり俺たちは君たちの厄介者だったということのようだが」


 結論としてはかなりの高確率で俺たちを追ってきた刺客であるだろうというところにやはり落ち着く。ユキが思ったように俺たちがユキやその仲間を傷つけることはないにしても、それを行うかもしれないやつを呼び込んだという意味では立派な厄介者以外の何者でもないだろう


「そうだな。だが、許そう。お前はその厄介者を排除してくれるのだろうからな」


 だが、返ってきたのは意外な言葉だった。てっきり俺は罵倒の言葉が返ってくると思っていた。1番良くても沈黙程度までだろうと・・・はは、ここ最近ヘビーな出来事ばかり続いていたからな、少々思考がマイナスに向きすぎていたかもしれん


「ああ、任せておけ! 必ずここは守ってみせるさ」


「うむ。だが、私も守られてばかりだと思うなよ」


 言葉に言葉が返る。少々、口調はきついが十分に『仲間』という言葉を使っても問題はないほどの。こういう繋がりがあれば、俺はまだまだ戦えると心から思う・・・しかし、地属性か。まさかとは思うがやってきているのはママナやコクトじゃないよな?




 それからしばらく道なりに歩く。まぁ、分かれ道はそれなりにあったが、そこはカンでな。そして、まだ姉さんやカーミラたちに合流も地震を起こした犯人に遭遇することもできていない。その両者が既に会っていて戦闘中なんてことになっていないことを祈ろう。まぁ、カーミラならば大丈夫だと思うし、姉さんもそれなりに大丈夫かもしれないが、ハナやケンタたちだけであっていたりしたら最悪すぎる


「ところで、お前は道がわかっているのか?」


「わかっているわけがないだろう? ここには初めて来たし、俺には道を把握するスキルはないよ」


 気配察知に引っかかっていてくれれば、人物に対して動くことはできるんだが、あいにく俺の知り合いで今のところ引っかかっている相手はいない。というよりも幽霊は特にわかりにくいし、カーミラもアンデット族の特性を兼ね備えているから気配隠しうまいんだよな


「・・・私はお前が迷いなく出口に向かって歩いているから、使い魔か何かでわかっているものだとばかり思っていたぞ」


「使い魔なんて持って・・・そうか、試してみる価値はあるかもしれないな」


 神という立場ではあるが、使い魔も眷属も俺は持っていない。無論、呼び出すことも生み出すこともできない。だが、それが物質でいいならば作ることは可能だ


「生物としてではなく物質として、能力ではなく機能として作る・・・ある程度の強度と魔力伝達のしやすさを考慮すると材質はミスリル銀が適切か」


 コピー能力、竜神ではなく俺自身が持つ力。イメージするのは俺とリンクを持った目となるべき飛行機能をつけた人形たち


「行け。そうだな、名付けるならば『マリオネットセンス』とでも言うべきか」


 こんなものにも言霊の補正が有効かはわからないが、とりあえず付けることにデメリットはないわけだから名前ぐらいは付けておこう


「しかし、慣れるまでは仕方がないとはいえこれはなかなかきついな」


 虫なんかの複眼というのはこんな感じなのだろうか? いや、見ている光景がそれぞれ全く違うわけだからそれ以上にきついのかもしれない。主意識を自分が見ているものにしっかり固定しつつ、送られてくる光景も把握していくという感じでしないととんでもないことになりそうだな


「キツイもなにも私から言わせれば、そんなことを思いつくお前が信じられぬ。お前やはり馬鹿だろ」


「失敬な、だから俺はレミーじゃないって」


 うちのチームで馬鹿はレミーの専売特許だ。まぁ、俺やアキやリデアあたりもしばしばやるが、けして呆れられるほどではない・・・はず


「だからそれは誰だ?」


「ああ、そういえばユキが知っているはずないな。まぁ、そのうち会うこともあるかもしれないぞ」


「私としてはお前の仲間に会うほど、お前に付き合ってやるつもりはないのだがな」


 ユキとしてはそうだろうな。だが、あいつを知っているとな~。冥王に操られたからといって、あいつのお馬鹿が治るわけではないだろう。正直、今いきなり空から落下してきても相手があいつならば信じられるぞ


「まぁ、なんていうか・・・その手の常識を根底から覆してくれるやつだからな」


「そのようなものとは一生関わりたくないものだが」


 確かにそれだけを聞くとそうだろうな~と結構ほのぼのと進めたと思うんだ、ここまでは。このあとあんなトラブルが起きるとは・・・あ、いや、トラブルだからって本当にあの天災トラブル天使が落下してきたわけじゃないぞ?

今回の話は6部の中では本当に珍しい通常会話のほのぼの平和シーンです。そして、ゲストは・・・


レミー「ム~、なんかわたしが馬鹿の代名詞みたいに使われてる~・・・で代名詞って何?」


そんなだから馬鹿と言われると気がつこう、レミー^^ 実際うちの世界では代名詞だしなぁ。きっとレミーと書いて馬鹿とルビをふってもうちの読者様たちは納得してもらえる


レミー「ム~、サー君まで意地悪言う~! ん? ・・・えっとね、なんかもう1人の私が変われって」


そっちは出てこなくていい~~~~~! ってことでさっさとあとがきを終わりましょう。ええ、やつが出てくる前に! ということで皆様次回もよろしくおねぐぎゃ~~!?


堕天使レミー「まったく、ただわたしはレミーとは違うわよぉって言おうとしただけなのに・・・じゃ、画面の前のみんなは次回までバーイ♪」

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