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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
6部3章『希望と絶望の狭間で』
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6話 「光と闇のダンス」

 

「これが秘宝・・・か?」


「前にも言ったが我も現物は初めて見るのじゃが・・・おそらくは」


 俺たちの前・・・というにはやや距離があるが、一応前方にふよふよと浮いている光の玉のようなもの。光を放つとはバンパイアの秘宝らしからぬが、確かに力は感じる


「じゃが、その前にやつをどうにかせねばのう・・・我は正統なるバンパイアの血族に連なるもの。そこを退くが良い・・・と言ったところで意味はないようじゃしな」


 おそらくは秘宝なのだろうというその球体の前に陣取っているのは以前見たものよりもさらに凶悪そうな邪霊の集合体。おそらくここに縛り付けられたコアを中心に長い時をかけて成長肥大化したというところだろうか


「一応聞いておくが、幽霊が駄目などとは言うまいな?」


「ああ、アキのやつならば怖がるだろうが、俺は問題ない。むしろ、生きているものを殺すよりは、あるべき場所に返すだけの霊体の方が気が楽だな」


「なら、決まりじゃな?」


「ああ、肩慣らしを兼ねて合わせておくか!」


 1人で戦うよりも2人の方が有利? 多くのものはそう言うだろうが、実際には息が合わなければ1たす1が2になるどころか0.5になりかねない。本当に大事な所で3にも4にもするためにはお互いの呼吸を知っておく必要がどうしてもある。ならば、こういっては悪いがこのレベルの相手はちょうどいい練習台とも言える


「ふむ、普通ならば悪くない速度というところじゃろうが、我らを捉えるには遅すぎるのう」


 そんな俺たちの気配を自分に害をなすものと本能的に捉えたか触手・・・と言っていいのかは微妙だが、自身の体を変形させて伸ばしてきた大邪霊に余裕の表情でカーミラは言う。実際に触手の速度は亜光速レベルだからカーミラも俺と魔界で戦った時に比べて随分と強くなったらしい


「カーミラばかりに気を取られていると俺に斬られるぞ?」


「我が君のみに気を取られるならば、我が切り刻んでやろうかの?」


 コンビネーションとはダンスに似ているという。まぁ、俺は優雅なダンスなんて踊れるわけではないのだが、息を合わせるたびにお互いのリズムがより分かるようになる。これがズブの素人ならばそうはいかないのだろうが、こう見えても俺もカーミラも数多くの戦場を生き抜いてきた歴戦の戦士だ


「リュウト、今じゃ!」


「任せておけ! 竜神流、風奏刃・・・斬!」


 いつもならば使う風竜斬は竜神剣でないと使えない。ということで急遽創作した新しい風の魔法剣、風奏刃! まぁ、ただ、表面に風を纏わせて風きり音を奏でながら斬りつける劣化版風竜斬といえばその通りなのだが


「ふむ、完全に無防備状態だったとは言え一刀両断か。愛用の剣を失っても戦うに支障はないようじゃの」


「なくはないし、大きく戦力ダウンもしているが、あの程度ならばな。ところで、今回どの程度の力を使った?」


 カーミラも俺も全力で戦ったわけではない。そのぐらいは気の減り方や顔色などを見ればすぐにわかるというもの。まぁ初めのコンビの試し、相手に合わせることを重視した戦いでいきなり全力を出すわけはないということからでもわかるがな


「そうじゃの。ところどころ大きく出すところもあったが、総合すると1というところかの」


「なるほどな、俺もだいたい同じだから、この先も問題はなさそうだな」


 カーミラの、そして俺の言う1は1割ではない。それが1%であるということはお互いの疲れ具合からわかるだろうという省略だ。とはいっても、速度ではカーミラの方に分がありそうだな。俺がだいたい全力で光速の2.5倍ぐらいに対してカーミラは5倍ほどの速度だろうか


「しっかし、どうして俺の周りの連中はこうも成長が早いのやら」


「それは我が君が元凶なのではないのか?」


「俺?」


 別に俺はなにかどうこうしたということはないはずなのだが


「エルフの小娘どもといいアシュラといい、そして我もそなたに会う前と後では成長の速度が違いすぎる。無論、各々の才覚と努力もあってのことじゃろうが、我にはそなたが成長を引き上げる何かを持っておるとしか思えん」


 確かに俺の能力も竜神の能力もまだ未知な部分が多いんだが、そんなパワースポット的な能力を・・・持っていないとは断言できないか。この300年、何をされていたのかは定かではないが、ただの人間だったアイさえもそこそこに俺と戦えるぐらいには強くなっていたわけだし


「まぁ、よくわからないことはしょうがないか。一応、留意してよく観察してみようぐらいかな? さて、そんなことよりも問題は・・・というかここに来た目的そのものは」


「うむ、これじゃ・・・と思うのじゃがのう?」


 お互いに光る球体の前に立って首をかしげる。カーミラの話ではこの秘宝は霊体の体質を切り裂く事ができるはずなんだが・・・どうやってだ?


「とりあえず姉さんのところに持って帰ればなにかわかるのだろうか・・・あれ?」


「どうやら物体はすり抜けてしまうらしいの」


 触れても危険はなさそうだと伸ばした手がするりとすり抜ける。というよりも何かに触ったという感触がない。文字通りに光の塊のような・・・もしくは


「竜神剣と同じような精神体的なものなのか? だとするとどうすれば・・・ん?」


 きっと、この時の俺の顔はどうしようもなく間抜けだっただろうと自分でも思う。なにせ、これが竜神剣ならば納得もしただろうが、自分が作った(オリハルコン製とはいえ)なんの能力も持たないただの剣とバンパイア族の秘宝が共鳴しているなんて誰が信じる? そして


「融合・・・しおったのか? ふむ、どうやらこれは単独ではなく、何かの中に入れて使う品だったようじゃの」


「だが、これって分離できるのか? 使い終わったあとにこの剣をここに収めればいいというわけにもいかないだろう」


「なに、我としては我が君の役に立つことができればそれで十分じゃ。別に秘宝の1つや2つなくなったところで大したことなかろう」


 と笑うカーミラだが・・・どう考えたって大したことはあるだろう。はぁ、これも後で考えるというか先送りするしかないのだろうか?

というわけで秘宝ゲット回でした。そして、リュウトの秘密らしきものもほんのちょっとだけ出ていますね


レーチェル「ホント、隠し事が多い子にも困ったものよね」


あなたがそれをいいますか、あなたが。そもそも、リュウトの場合は本人も知らないですからね。あなたとは違って


レーチェル「ん~? そんなにお仕置きがされたいのかしら?」


いえ、結構です! ですから、そんな笑顔で近寄らないで!!


レーチェル「まったく、こんな優しい笑顔の女神に失礼しちゃうわ。まぁ、リュウト君に秘められた力があるのは前にも出てきているしね。その1つはコピー能力だということは判明しているわけだけど」


どうにもほかにもあるらしいというところまでは前にも出ていましたねw というわけで、今回はこんなところで幕です。次回もよろしくお願いしますね~

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