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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
6部3章『希望と絶望の狭間で』
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2話 「操られし論理」

 

「出てきたらどうだ? ・・・ママナ」


 戦闘中の俺から気配を隠すことのできるやつなんて、この森にはあいつぐらいしかいない。そして、狙いがずれたのではなく明確に俺を狙った攻撃からすると・・・そういう事なんだろうな


「ブ~、いい攻撃だと思ったんだけどなぁ」


 頬を膨らませて、いつもどうりの雰囲気で出てくるママナ。それがまた辛い・・・だが、この戦いを続ける限り、この辛さはこれからも続くことになるのだろう


「気配を隠せていても速度と威力がないようじゃな」


 だから、その辛さを噛み殺して、いつもどうりに語りかける。俺はまだここで折れるわけには行かない。戦うと決めた以上はな


「ブ~、それはお姉ちゃんが弱いってこと~?」


「だったら、弟を攻撃したことに対する釈明がほしいところだが」


 実際には弟を攻撃する姉はマリア姉さんでさんざん味わってきているんだが・・・こっちは害意があっての攻撃だ。悪魔故に今は見た目年下だが、かつて姉と慕い、今なお姉を名乗るママナに攻撃されたという事実は俺の中にけして小さくはない衝撃を残している


「ん? だってリュウトを殺してこいっていう冥王様の命令だし」


 こういう答えが返ってくることなんて初めからわかっていた。わかっていたとしてもなお辛いがな


「そうか。なら、引けと言って引くこともなしか」


「当然だよ~。ねぇ、リュウト? リュウトが殺せるとね、冥王様がきっと褒めてくれると思うの! だから、お姉ちゃんのために殺されてね!」


 これもわかっていた答え。見た目も性格も何も変わっていないのに、何もかもが変わってしまっている・・・いや、最優先事項に冥王の命令というのを強制的にすり込んでいるということなのかもしれないな。この場では対して役には立たないが、覚えておくと付け入る隙になるかもしれない


「話しは終わりましたか? ・・・ならば、覚悟してください、師匠!」


 こういうところも変わらないらしく、律儀に話が終わるまで待っていたらしいヤマトを含め・・・いや、周りにはヤマトの隊の隊員もいるな。とにかく、全員で俺を倒そうとはしているらしいが


「やめておけ。こう言っては悪いが、お前たちが俺を倒せると思うのか?」


「思わないよ~? でもリュウトも私たちを倒せないよね?」


「どちらかと問うならば、師匠の方がより勝ち目がないはずです・・・なぜならば、私たちはただ操られているだけなのですから」


 自身が操られていることを認識した上でなお揺るぎなく、さらにそれを武器として使ってくるか・・・厄介なことこの上ないな。そして、その認識は間違いなく正しいからなお面倒だ


「逃げるのですか? 冥王さまが言っておられたように」


 この場はこれしかないかとジリリと足を下げたところでのヤマトの一言。予想していないほうがおかしいとは言え、こう言われておとなしく逃げるのも・・・いや、それこそが狙いだというべきなのだろうな。さて、どうするべきか


「やっぱりリュウトは弱いよ・・・いろんな意味で」


 そう言いながら飛びかかってきたママナ。俺はそれに反応することができなかった・・・その後ろに現れた意外なもの。黒い影から出てきた手に注意をひきつけられて


「下賤な下級悪魔程度の分際で我が君に手をあげようとは・・・いい覚悟じゃな」


「キャフ!?」


 その黒い影から出てきた手は後ろからママナを掴み取って思いっきり地面に叩きつける。普通の人間ならば即死間違いなしだが、ああ見えてママナも結構丈夫だからあのぐらいならば問題はないだろう。それよりも


「カーミラ、なぜここに?」


「うむ、久しぶりじゃのう我が君。何、そなたが戦いにくそうにしておったからのう、大きなお世話というやつじゃ」


 300年前、あの時に別れてから姿を見せなかったカーミラ。何かあったのかと心配もしていたのだが、それこそ余計な心配だったらしい。・・・言動を見ている限り、操られているわけでもなさそうだ


「すまぬの、長たちを説得するのに思ったよりも時間がかかってしまった。じゃが、なんとか間に合ったようじゃの」


 長たち? 説得? どうやらカーミラはあの時に言ったことを遂行するためにこの300年を費やしたらしいが、今回のことに関わりがあるのか?


「カーミラ、いったい・・・」


「我も話したきことは山ほどあるのじゃが、今はこの状況を何とかするのが先ではないかえ?」


 にやりと人好きのする笑顔で・・・いや、吸血鬼族特有の鋭い牙が見えているから一般人ならば怖がるのだろうが、ともかく満面の笑みをと言っても過言ではないだろう笑みでそう答えたカーミラは


「何をしている? さっさとされ!」


 と今度はいらだちを抑えきれないという声と顔でママナとヤマトに脅しをかける。ああ、なるほど・・・俺の脅しは通じなくともカーミラならば


「な、何を・・・」


「分からぬか? 見逃してやるから去れといったのだ。それとも我と一戦交えてみるか? 我が君のように我は優しくはないぞ?」


 カーミラの戦いに対するスタンスはアシュラ・・・いや、コクトに近い。俺と違って邪魔とみなせば容赦なく殺しにかかる程度のことはやってくるだろう。ゆえに


「や、ヤマト! ここは引かないとまずいよ!?」


「わ、わかりましたママナ殿! 全隊退避!」


 それがゆえにママナやヤマトも引かざるを得ない。これでも人質がある程度有効だという証明にはなってしまうが、俺としては最良の結果だな。だが、カーミラには


「悪いな、お前には余計な枷になるだけだろうに」


「何、本当に邪魔ならばさっさと始末するだけじゃ。その時が伸びた程度大した損失ではない・・・さて、先程も言ったがお互いに話したいことは山ほどあるじゃろうが、まずはここを引くべきじゃな。そなたもここにいる意味はもはやあるまい?」


 どうやらカーミラは正確にこちらの状況を掴んでいるらしい。ならば


「ああ、俺に異論はないさ」


 あとはカーミラがどんな情報を持っているのか・・・だな。何をすればいいのかの指針がない今となっては頼れるのはそこしかないのだから

カーミラ4度登場! と今回はそれなりに重要なキーをもって仲間入りしたカーミラ嬢はこれからどうするのか!


カーミラ「ふむ、まずは操られた腑抜けどもを出し抜くために我が君をベッドに押し倒してみるか?」


・・・一応これは健全小説なのでかけそうもないお話はご勘弁願います>< それと真っ赤な顔でそんなことを言われても・・・見た目と裏腹に結構純情なわけなんだから


カーミラ「う、うるさいのだ! ま、まぁ、此度は我に相応しい役を用意したということでそこまでの戯言は容認してやろう」


戯言・・・容認・・・あの、もしこれ以上言ったら?


カーミラ「ふむ、物言わぬ屍が1つできることになるじゃろうの」


・・・やっぱりこの小説にはこんな連中しかいないのか!? 少しでも作者に敬意を払うキャラは


カーミラ「いるわけなかろう? さて、次回は我と我が君の会話になるのじゃろうの?」


シクシク・・・と泣いているわけにも行きませんね。次回はカーミラの言うとおり、説明回になりますが、物語上は絶対にないといけない回でもあるのです! というわけで次回も飛ばさずに読んでくださいね~♪


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