3話 「トラブル」
ゴロゴロゴロ・・・旅の空はいつも晴天とは限らない。旅する身としては厄介な雨もなくてはまた困るもの。もっとも、誰も困らなくても止ます手段などありはしないのだが。
「リュウト、これは本格的に降り出すぞ?」
「ああ、早めに雨を凌げる所を探そう!」
ここで無理をして進む理由もない。急がば回れ・・・風邪などひいては余計に時間がかかるからな。
「リューくん!あーちゃん!ここにいい感じの洞窟があるよ~!」
お! レミー、ナイスだ!
ゴロゴロピッシャ~ン!!
雷のおまけつきで降り出した大雨。幸いレミーが洞窟を見つけ出したのが早かった為、俺たちが濡れることはなかったのが幸いだな。
とはいえ、そこは洞窟。ある程度奥に行かねば濡れてしまう。そして洞窟の例に漏れず奥の方は暗いのだ。・・・久しぶりにあいつの出番かな? と、俺が荷物の中からランプを探していると・・・
「ふむ、暗いな・・・ライト。」
アキがあっさりと魔法で明かりをつけたのだった。(ちなみにアキが言うにはライトは攻撃技ではないため基本技には当たらないらしい。)
「おお! さすがアキ!」
つい漏れた歓声をアキは不思議そうな顔を返し・・・しばらく考えた後
「まさか、ライトの魔法ぐらいで歓声を上げたのか? その程度で賞賛をされても嬉しくないのだが・・・。」
なんていいながら笑顔なところがアキのなんとも可愛いところだが、やっぱり俺の魔法に関する感性はおかしいのだろうか?
「リュウト・・・そなたもやってみろ。光の竜と呼ばれた竜神の力を受け継いだのだ・・・そなたの属性の一つは光で間違いあるまい。」
そ、そう言われてもなぁ・・・。
「難しく考えることは無い。大切なのはイメージだ。暗闇に輝く光・・・それさえイメージできればよい。あまたの人々に使い古された言の葉の力(言霊)がそなたの力を補佐するだろう。」
イメージか・・・輝く光・・・。
「・・・ライト。」
ほんの僅かに・・・すでにアキのライトの影響下にあるこの場所では見逃してしまいそうなほど小さな光。でも・・・確かに今光ったよな!?
「おお~! やったではないか! だから言っただろう? こんなものは容易いことなのだと。さすが、リュウトだ!」
つい先ほど、こんなことで歓声を上げたのかと、この程度で賞賛を受けても嬉しくないといったアキ自身が俺の使ったライトに歓声をあげ、容易いことと言いながら賞賛することに違和感はあるが、俺自身初めて使えた魔法に感動を覚えていた。・・・だが、ここにはそんな感動を壊してくれる存在もいたのである。
「わたしだって出来るよ~♪ ライトニング~♪」
「ば! 馬鹿者!! その魔法は!!!」
その瞬間、俺の視界は光で白く塗りつぶされた・・・。
ライトニング・・・それは光の基本技にして爆発魔法である。威力こそ低いとはいえ特性的には火の基本技であるエクスプロージョンと同様に味方の近くで使うものではない。ましてこんな閉鎖空間で使うなんて問題外よ!
これは詠唱してる暇なんて無い! 火の特性は元より、私自身の特性も攻撃に特化している為普段は防御魔法は詠唱と言う補助に頼るのだが今回はそんな時間が無かった。
とっさに自分とリュウトに防御魔法をかけて耐える。・・・レミーは使用者本人だから直撃を受けても大丈夫だと思う。
「ほへ~! 吃驚した~。」
光の嵐がおさまり、静寂を取り戻した洞窟内でそんなレミーの呟きが聞こえた。・・・吃驚ってね~! 一歩間違えていたら全滅してもおかしくなかったということに気づいているの~~~!!!
「レミー・・・ちょっとこっちに来るように・・・。」
「な~に? あーちゃん?」
今回は私的な理由抜きに黙っていられないわ。たっぷりお説教してあげるからね・・・本当にレミーを仲間だと思っていいのかしら? 実は敵のスパイだったりしない?
レミーにスパイ疑惑がでてきたところで次回に続きます♪
レミー「ム~! わたしはスパイなんじゃないよう~。」
・・・またネタバレを・・・って言いたいところですがレミーにスパイが勤まるわけが無いのは読者様もわかっているでしょうからね。
レミー「えへへ・・・そうだよね! みんな、わかっていてくれてるよね♪」
・・・なんでスパイじゃないと思われているのかってところは理解できていないようです^^




