2話 「三角形にご用心?」
突然(文字どうりに)降って来た厄災・・・じゃなくて天使のレミー。
光にキラキラ輝く金髪を腰までストレートに伸ばし、肌は透き通るような白。顔は百人いたら百人とも美人と言うだろうほどの美形・・・わ、私だってよく可愛いって言われるもん!(美人とは言われないけど)
リュウトほどじゃないけど私より身長も高くて手足もすらっと伸びてて・・・ついつい見とれてしまうようなプロポーションまで!・・・わ、私だってそのうち大きくなるもん!
天使はエルフよりもさらに長命だったはずだけど、見た目も私よりも年上。で、でもリュウトとお似合いと言う歳じゃないわよね・・・私はもっとまずいってことか・・・。
つ、つまり・・・ライバル出現なのよ~~~!
「まぁ、ともかくこれからよろしく頼むよ。」
笑顔でレミーに手を差し出すリュウト。悪いけど、このまま見過ごしたりはしないわ。
「待つのだ、リュウト。素性・・・はともかくとして、実力も分からんものを仲間にしても危険だ。」
ま、間違ったことは言ってないわよ。目的を考えれば仲間がいてくれるのはありがたいけど、実力が伴わないなら意味はないわ。むしろ、足手まといは邪魔になるだけ・・・誰よ、どの口がそういうなんて思ったのは?
「ム~! わたし強いよ~! これでも見習い天使ではずば抜けてるんだよ!?」
「「見習い?」」
リュウトと私の声が重なる。確か見習い天使って・・・
「レミーよ、そなたは見習いなどと言う歳ではないと思うが・・・。」
そう、見習い天使って精々人間で言うなら10になるまでぐらいの称号のはず。
「そうなのか? 俺は天使の基準ってよく知らないのだが・・・。」
どうやらリュウトは知らずに発言してたみたい。・・・あなたが知っていることって何なのかしら?
「だ、だって~~~学科が難しいんだよ~! 昇級試験って一年に一回しかないんだよ? それにわたしはまだ5000回ぐらいしか受けてないし!」
・・・5000回も落ちれば十分すぎると思うけどな。ってことは少なくてもレミーは5000年以上は生きているってことね。
「あ! でもね、実技は問題ないよ! だって実技だけなら大天使試験に推薦したいぐらいだって言われたよ?」
ムッ! 頭が無い代わりに体力はあるのね。・・・となるとリュウトのことだから
「それは頼もしいな。足りないものは・・・俺たちで補えば大丈夫だろう。」
やっぱり・・・。で! でも・・・
「ならば一度確かめておこうではないか。いずれにせよ実力が分かっていた方が連携もとりやすい。」
やって損はないわ。・・・思いっきり辛口で評価してあげるんだから。
「それもそうだな。・・・レミー、悪いけど見せてくれないか?」
「いいよ~! でも、何をすればいいの?」
「まずはそなたが使う武器を見せて欲しいのだが。」
それが分からないとなんとも言えないしね。
「わたしの武器はこれだよ~。神弓アルテミオン! これでもわたしがお仕えしてる神様が作った弓だよ。」
た、確かにいい弓だわ。エルフの国にもこれほどのものはそうは無いってぐらいに・・・。
「レミーはアーチャーなのか。・・・前衛に剣士の俺、後衛にマジシャンのアキとアーチャーのレミー・・・バランスは悪くないな。」
悔しいことにそうなのよね。・・・で、でも!問題は使い手の腕よ!
「なら、早速その腕前を見せてもらうとしよう。準備をしてくるゆえに少々待っていてくれ。」
そして30分後
「待たせたな。では的を射抜いてくれないか。」
「あの、あーちゃん? 的見えないんだけど?」
「ちゃんと用意したぞ?この方向に3キロほどの位置に半径1cmの的がある。」
「あ~ちゃ~ん! それは無理~!!」
「それ以前に弓って3キロも飛ぶものなのか?」
さぁ? どうなんだろ? エルフの国には・・・少なくてもいないわね。
結論から言うとレミーの腕前は500m以内なら100発100中。1キロ離れても命中率は50%と非常に優秀だった。おまけに属性は光と水と私の出来ない分野を得意としてるいう有様。これじゃぁ・・・さすがに仲間入りを反対する理由が無いわ。
「じゃあ! 改めてよろしくね~! リューくん! あーちゃん!」
「ああ、よろしくな!」
「・・・よろしく。」
アレだけ厳しめに審査をして仲間になるのに難色を示していた私に対してもレミーは屈託のない笑みを見せる。・・・私の負けね、これ以上ごねたりしたら私の印象の方が問題だわ。
それに・・・もういい加減に認めよう。これだけレミーにこだわったように私はリュウトのことがやっぱり好きなんだ。
リュウトが先頭に立って歩いていく。その後ろを着いていっていたレミーがふと振り返り・・・私の方へ駆け寄ってきて
「ん~? あーちゃんってリューくんにラブラブ~のメロメロ~?」
なっ!? 突然のことに顔が真っ赤になる。私自身ついさっき認めたばかりだというのに・・・なんでこんなことは鋭いの? 恐るべし野性の本能って奴?
「あ~! やっぱりそうだったんだ! わたし、あーちゃんを応援するよ~!」
えっ!?・・・そういえば、レミーの気持ちなんて考えてなかったな。この子の事だから抱きつくなんて何にも考えずにやってるんだろうし。・・・あはは、私何をやってたんだろ。
「お~い! 何してるんだ~! 置いてくぞ~~!!」
「あ~! 待ってよ~! リューく~ん! あーちゃんってね~!」
「こ、こら! リュウトには言うでない!!」
とりあえず、レミーはライバルじゃないみたい。もっとも、リュウトの方がって言うのはありえるから油断は出来ないけどね。私は私らしく・・・リュウトの心を狙っていこう!
げに恐ろしきは女の嫉妬・・・まぁ、今回は嫉妬とまではいかないのか。
アキ「これと言うのもリュウトが鈍いのが悪いのだ!」
それはいえてますね。その所為で待ってるだけでは進展は望めませんよ。
アキ「・・・心の準備と言うものが世の中にはある。」
意訳すると『私からそんなこというなんて恥ずかしいわ。いつかは言いたいけど・・・。』ってところですね。
アキ「かってに私の気持ちを意訳するでない!」
はっはっは! 図星をつかれたからって・・・って! それは洒落にならない! うぎゃぁぁぁぁ><
アキ「ふん、悪は滅びるのだ。」




