4話 「犯人は誰」
「レーチェル・・・あのレーチェルフランか?」
「知っているのか?」
リデアの話をじっと目をつぶって聞いていたカーミラの一言。俺たちから見ればレーチェルは相当な存在感だが、まさかカーミラまで知っているとは
「ああ、とは言ってもあったことはないが、いろんな意味で有名な神なのじゃ・・・あれは混ざりものの神だと聞いておる。確かに人間の神などとは比べ物にならん力を有しているじゃろうな」
混ざりもの? そして人間の神などとは? たしかレーチェルは元は純粋な人間だったはずだが
「まぁ、そのようなことはどうでもよいの。ならば、あのアシュラとやらはどうじゃ? 闇属性のあやつならば結界をとけても不思議では」
「いや、それはない。アシュラもコーリンも結界術はできんかったはずだ」
「それにあいつの性格から考えて、結界をとくだけなんてマネはしないだろうな。あいつならばそこに楽しそうな戦いの相手がいるなら嬉々として勝負を挑んでくるに決まっている」
「それにいくらなんでもワタシ達に何も言わないということはないでしょう。・・・あの戦闘狂はともかくコーリンはそこら辺ちゃんと考えているわよ」
カーミラの推測を次々に否定する俺達。もっともカーミラもそれほど気分を害してはいない。当然と言えば当然だが、あいつらのことは俺たちの方が詳しくて当たり前。そう、技術的にも性格的にも状況的にもあいつらがやったとは考えにくい
「となると後考えられそうなのは・・・あやつはどうだ?」
「あやつ?」
少々考え込んでいたアキが何かを思いついたように言うが・・・誰のことだ?
「あの魔女のことじゃ。ほらリリィとか言った・・・」
リリィ・・・古の大魔女ルーンの跡を継いだ伝説の魔女たるリリィ=マジファーか。確かにあいつならば能力的には十分すぎるだろうが
「いや、たぶんないな」
「どういうことよ、兄さん」
さすがにリリィのことは知らなかったかカーミラは反応しなかったが、リデアは当然のように疑問を呈してくる。とはいっても説明しにくいんだよな。まさか、リリィの過去を強制的に見せられた経験による推測だというわけにもだし
「いや、なんとなくなんだがな・・・あいつは無関係なものを必要以上に巻き込むことは好まない気がするんだ」
「・・・ワタシたちは巻き込まれたわよ?」
「俺達は何というか・・・巻き込まれるべくして巻き込まれたっていうのかな? はっきり言って、巻き込まれる要素には事欠かないだろ」
そう、あいつがカーミラを意図的に引き込もうとするとはどうしても思えない。力があったが故に迫害されて悲劇を味わったあいつがだ・・・その点、自分で言うのもなんだが俺たちはどう転んでも結果として巻き込まれそうだからなぁ
「まぁ、確かに兄さんは竜神だから戦いに巻き込まれるのは必然ともいえるけど」
・・・はっきりと巻き込まれるのは自分たちじゃなくて俺だと断言したよな、リデア? まぁ、その通りだとも思うが・・・やはり俺は周りに不幸しかもたらせないのだろうか?
「ふむ、だがリュウトが言うならばその通りなのじゃろうな」
「随分とあっさりと信用してくれたな?」
アキはこういう時は結構シビアに物事を考えるから、俺が言っているというだけで信用するとは思えなかったのだが・・・特に根拠を言えたわけでもないのだし
「そなたとどれだけの時を過ごしたと思っておる? そなたは根拠なしでそのようなことをいう者ではない・・・ならば、説明できぬというだけでそれなりの根拠はあるのであろう」
ようするに平然と当たり前のように俺を信じると言ったわけか。女王としてそれでいいのかと言いたい気持ちは多々あるが、それでも仲間としては嬉しいものだ・・・しかしな、どれだけの時を~のあたりでカーミラにちらりと視線をやったのはなぜなのだろう? カーミラもなんか微妙な表情しているし?
「まぁ、根拠はあると言えばあるな」
「ならばよいじゃろう。だが、そうなると一体誰が結界をといたのであろうの? まぁ、私たちが知っているものとは限らぬのだが」
確かにそうなんだが、俺達に無関係なものとも思いにくいんだよな。どう見ても今回のことは俺たちとカーミラを合わせるために行われているようにしか思えない
「ふむ、結論としてはそなたたちの知り合いの中にはおらんというわけか。じゃが、我の知り合いの中にもそのような無作法をするものはおらぬぞ」
う~ん、お互いにやりそうな相手に心当たりがないということか。参ったな、これでは・・・ん? そうだな、ならば次に考えることは・・・
さて、一体誰が犯人なのか。読者の皆様が知っている相手で怪しいのは後1人だけだと思いますが
ルーン「それは私かしら?」
・・・今回の話に全くからんでいないのに出てこないでください
ルーン「ふふ、堅いことは言いっこなしよ。あとがきでかかわりあったじゃない・・・でも、私が絡んでいるかどうかは秘密ね」
当然です。否定だろうが肯定だろうがここで言われてはたまりません
ルーン「ふ~ん、そう言われると言いたくなっちゃうわね。実はね・・・」
わ~~~~!! というわけで今回はこの辺でお開きです! 次回もよろしくお願いします!




