5話 「恐れるものはなく」
静寂、まさか不意をつくために隠れたわけでもなかろうに・・・
「さぁ、出て来い! オレを・・・オレたちを楽しませる至高の死闘のゴングを鳴らしに!」
竜神剣の力ならば奴がオレたちを見つけるのも、ここにやってくるのももう間もなく。くくく、さぁ、見せてみろ・・・貴様の切り札がオレたちに通用するのかを!
「ムッ? これは・・・魔神像だと!?」
封印された魔神・・・の姿をかたどったという像が動くとはな。いや、厳密にはサタンの魂の残滓が動かしているのだろうが、たかが像に乗り移って何を考えている?
「まぁ、いい・・・その程度の像など奴らが来る前に・・・ムッ?」
思ったよりも硬い・・・いや、これは?
「愚かな。まさに無知とは罪そのものだな。これはただの像ではない・・・古の昔、我ら悪魔族は今とは比べ物にならない力を持っていたという。その時代の魔神、何を考えたか悪魔族の力を過ぎたるものとして封じたその魔神の力の一端が残っているのがこの像なのだ」
いにしえ・・・か。こいつとて限りなく不死に近かった存在。優に一億年以上は生きているはずだ。そのこいつが言ういにしえ・・・くくく、面白い! やはり奴らの周りには絶えず楽しき戦いが渦巻いている! その戦いの主演になれぬは惜しいが、十分すぎる舞台と言えよう。さぁ、早く来ぬと主演の貴様が舞台に上がる前に勝負がついてしまうぞ? リュウト
「ふん、それがどれほどの力を持っていようとも貴様の力ではあるまい? 借り物の力だ・・・許可してやるから精々オレを楽しませてみろ」
「貴様ごときが悪魔の王たる俺に許可だと!?」
「かっての王の残りかすだ・・・間違えるな!」
お互いに会する兆発。戦いとか最後までたっていられたものが勝者だ・・・こうして向き合っているならばあらゆる手段を講じて勝ちに行くが当然。だが、くくく、容易に隙は見せてくれぬな。面白い!
「ならばオレから行くぞ! 修羅・・・烈風斬!」
隙がないのならば作ればいい。魔神像は確かに強固で巨大(50mほど)だ。だが、衝撃が伝われば浮き上がらんということはあるまい!
「無駄なことを・・・その程度の力で俺の体は砕けん」
「自分の体でもないくせによくぞいう!」
浮き上がったものの、そんなことは気にもしない様子で拳を振り上げて来た奴とオレの追撃がぶつかり合い・・・そして
「っ・・・!?」
はじかれたのはオレの方か。体格差があるのは承知の上だったが、こうまで見事にはじかれるとはな。・・・くくく、ほんの一部の力が宿っているだけでこれか、面白いではないか!
「止めをくれてやる」
「ふん、貴様こそその程度の力でオレの体に死を与えられるとでも? ・・・ぬっ?」
あいにく本来は滑空用の飛膜しかもたないオレではこの状況で空中での体勢の変更はなかなかに難しい。だが、一撃で参るつもりもなく受けるつもりでいたのだが・・・
「貴様は何をやっている・・・オレを庇う暇があるならば奴に一撃をくらわせておけ」
「それは後からでもできるからな。まずは仲間を助ける方がよほど大事だ」
自分も巻き込まれる危険があるというのに当たり前のように横から飛び込んできて、オレを奴の軌道上から動かしたものがいる。無論そいつは・・・
「甘い貴様らしいな、リュウト」
「否定はしないさ。しかし、思ったよりも大物と戦っているじゃないか? てっきりサタンあたりの亡霊が相手だとばかり思っていたんだがな」
かってあれだけ苦戦した相手をこともなげに言うか。あれからさほどの時間が経っているわけではないのだが、オレもそうだがこいつの成長速度は凄まじい・・・いや、オレがこいつの成長速度に引きずられているのだろうな
「いや、間違っていない。奴はサタンだ・・・ただし、魂の残滓が魔神像に憑りついたな」
「ふむ、よくわからんが・・・まぁいいや。とりあえずやるぞ!」
ふん、これがレミーならば呆れるところだが、こいつは単に今考えるべきことじゃないと切り替えただけだからな。・・・そして、ここまでこれたということはやはり竜神剣には生命、いや心あるものの位置を無条件で察知する能力があるとみるべきだろう。もっとも、奴が全ての心あるものの分体である以上は当然ともいえるが。自身の体がどこにあるかわからぬ者はいない・・・察知能力ですらないのやも知れぬな
「貴様ら・・・この俺を前にしてふざけたことを。だが、この状態でも触手は操れるぞ!」
ふん、くだらん。確かに周囲一帯を取り囲んでいるようだが、数を相手にするのが苦手なオレにすら通用しなかったものがこいつに通用するものか
「アシュラ、ここは俺『たち』に任せてもらうぞ」
「・・・かってにしろ」
そして、気配を読むまでもなくこいつが1人でここに来ることもまずあるまい。ならば、この展開は当然わかっていて当然の結果と言える
「さぁて、行くぞ! アキ!」
軽く100mほどのところまで飛びあがったリュウトに対して送られる火、そして・・・
「竜神流! 火炎・・・爆竜斬!」
振り下ろした剣の火と闘気が空間ごと捻じ曲げて押しつぶして消滅、さらにあたりに爆散していく・・・か。なかなか面白い技を考える。こいつの技の多さもまた強さの1部ではあるな
「さて、素っきり一掃したところで、やるとするか・・・アシュラ」
「ふん、足は引っ張るなよ・・・リュウト」
本当に・・・オレから見事に退屈を奪っていく奴だな。さぁ、今は楽しき死闘を楽しもうではないか!
合流、竜神剣の能力の1つ、そして新技・・・意外とポイントがあった今回の話でした。
リュウト「まぁ、能力というよりも特性だけどな。技は今回のは火炎竜尾斬の亜種だが、俺の持ち技の多さは今に始まったことじゃないし・・・っていうかまだまだ序の口だろ?」
まだ出てきていない技が倍以上あるからなぁ。ということでリュウトの新技の数々もこれからお楽しみにしてください♪
リュウト「そのまえに今度の戦いの結末もだな。まぁ、当然俺は負けるつもりはないが」
今回出番がなかった彼女たちも張り切りそうですしね~ww




