4話 「悪夢の跡」
深層魔界、真魔王城(サタン&ルシファーの城)跡に生じていた空間のひずみ。くくく、面白いではないか!
「未練たらしいとも思うが、このオレを楽しませてくれるのならばよかろう」
空間のひずみとは世界を分かつ壁。くくく、異なる世界で貴様は何を考える?
異なる世界、異なる空気。だが、それがさしたる何かを与えるわけでもない。環境による悪条件など戦いというメインディッシュのスパイしにすぎん。だが
「入口が閉じたか・・・いや、閉じられたというべきだな」
それが罠なのか、単純に逃がさないための物なのかは知らん。もっとも、裏で動いているのがあいつな以上は勝負がついてなお出られんということもあるまい。奴としてもそれは避けたいところだろうしな
「さぁ、出て来い! それともそれで隠れているつもりなのか!!」
ゆらりと空間が蠢く。いや、そこにいた何かが動く・・・おそらくはオレが想像した通りであろうあれがな
「相変わらずたいそうな口を利く奴だ。この悪魔王を前にしてな!」
オレの前に現れたのはねじまがった醜悪な姿をした悪魔・・・かって魔界を支配していた、そしてリュウトの奴に倒された魔王サタン。いや、幽霊かとも思ったがあれは
「ふん、たかがた残留分子のくせに大口をたたいているのは貴様だ。期待して損をしたな」
魔界にはすでにオレの敵はいない。それが故に今では敵足りえないとしてもかって最強の悪魔だったこいつに期待していたのだが・・・まさか魂の残滓にすぎなかったとはな
「愚劣にして、前を見ぬものよ・・・俺の力を舐めるなよ!」
後方に1000・・・いや1万ほどの気配。まさか、オレに魂が攻撃できぬと思っているわけではあるまいが、どう見ても舐めているのはこいつだな。
「お前の体はなかなかのもの・・・この俺が神を滅ぼす糧としてくれん!」
「ふざけないでもらおう。いかにオレが範囲攻撃を苦手としていようとも・・・この程度に絡められるほど弱くはない!」
以前、リュウトの奴が戦ったというゴーストキングがそうであったように、幽霊やそれに属する奴らは他者の乗っ取り能力がある。ならば、生前から無数の触手を操っていたこいつならば当然こういう手段に打って出るだろう・・・このオレが背後の触手たちに気が付いていないとでも思っているのか!
「修羅・・・闘雷風!」
修羅闘雷風:それはちょうど人間でいうところのラリアットのような姿勢のままに体を駒のように回転させる技。オレの持つ爪の斬撃だけではない、纏う雷と発生した風はそのまま飛び道具にもなる。1万ごときの触手になど捕まるものか!
「まさか・・・あれほどの数をものともせぬとは・・・!?」
「あれほど? あの程度の間違いだろう。オレを僅かでも怯ませたかったら1兆は用意しなければ話にならんな」
戦いとは数である。そう言うものは多い・・・だが、それはあくまでも個々の能力がある程度近い場合の話にすぎん。元になったサタンならばまだしも魂の残滓のサタンの触手など物の数になるはずがない
「さて、期待外れの貴様にこれ以上時間をかける気は・・・ふっ、どうやらまだそう言うには早かったか」
薄れていくその姿に逃げていくのかと思ったが、どうやら違うようだ。それに・・・くくく、あいつとまた共に戦うのも悪くはない
「まったく、あんな奴なんてほっとけばいいのに」
「文句があるならば帰ってもいいのじゃぞ? リデア」
ぶつぶつと横で文句を言うリデアとそれに文句を言うアキ・・・どうしてこの2人は仲がこうも悪いんだろうなぁ
「なによ! べ、別にいかないなんて言ってないじゃない。わ、わざわざついてきてあげたんだから。アキこそ女王の仕事で忙しいんでしょ? さっさと帰ったら?」
「真っ先について行くと言ったのは私じゃぞ? 仕事ならばメイが見てくれておる。少々ならば大丈夫じゃ・・・押し付けた時のお姉ちゃんの視線凄く怖かったけど」
まぁ、突然やって来たレーチェルの話を聞いて手伝いにいこうとした俺についてくるとすぐ行ってくれたアキも、追随したリデアも嬉しかったがな・・・メイの視線は俺も怖かったが
「で、兄さん? アシュラの奴はどこにいるの?」
「そうじゃの。私たちにはアシュラの気配は読めぬのじゃ」
「あ、あんたには読めないだろうけど、私には読めるわよ!? た、ただ兄さんに譲ってあげただけで」
「いや、俺だってアシュラの気配は読みにくいんだがな。場所がわかるのならばリデアが案内してくれると助かるが」
俺の言葉に何故か固まるのはリデア。いや、確かに兄として少々情けなくはあるが、別に気にしなくてもいいんだけどな
「・・・ねぇ、アキ? なんで兄さんはワタシの言葉をああも信じるのかしら?」
「・・・リュウトが信じるのはそなたの言葉だけではない。あやつは仲間の言葉は無条件で信じるのじゃ。・・・困ったことにな」
よくわからないが、見失ったかしたのだろうか? ならば、まずはアシュラの居場所を感知できる場所まで・・・いや、竜神剣の力を使えばいいのか?
さてさて、なんとも幸先不安なこのメンバーが混じることでどうなることやら・・・と言うところで
これのどこが日常か・・・間違いなく魔界では日常なのです
アシュラ「ふん、闘争こそが魔界の掟。闘いこそが魔界の日常だ」
どっちかというとアシュラの日常という方が近い気もしますが・・・まぁ、それはそれと置いておいて、リュウトたちは未だにひずみの世界を彷徨っているようですね
アシュラ「だが、それも間もなくだろう? あの剣の力はいかな気配隠しも通用せんはずだ」
まぁ、確かに・・・ってそれは次回のネタバレだから!!
アシュラ「くくく、そのようなことは知らんな」
まったく・・・というわけで竜神剣の秘密のほんのちょっとを知りたい方は次回も是非是非♪




