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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
5部1章『続・エルファリアの日常』
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5話 「リデアの平穏な一日(前編)」

 

 ちゅんちゅんと雀が鳴く前にワタシ、リデア=アルバードは目を覚ます。


 元々兄さんを探して旅をしていた身、そんなに遅くまで惰眠をむさぼる癖はなかったけど兄さんと再会してからはもっと早くなったと思う。だって


「うん、兄さんは今日もいつもどうりみたいね」


 アキから(渋々とだったのが気に入らないけど)受け取った端末から入ってくる情報ににんまり。まぁ、人の兄さんのファンクラブがかってに出来ているのは気に入らないわ。でも、彼女たちは所詮ファン・・・手を出してこない限りは有用な情報を提供してくれることに免じて見逃してもいいと思うの。それにね


「うふふ、まだまだお子様のアキはこの時間は寝ているもの・・・つまりワタシに有利な時間ってことよね?」


 なんだかんだ言ってアキはまだ小さい。それに夜も少しでも長く兄さんの部屋にいようとするから(ワタシも一緒にいるから余計になんでしょうね)今頃は確実に夢の中。・・・まぁ、1つ問題があるとすれば


「リデア殿? どこにお行かれるのですか?」


「め、メイ!? あんた、いつもどこから現れるのよ!?」


「どこからも何も私の部屋はリデア殿の部屋の2つ隣なのですが。それとまだ朝も早い時間です。あまり大きなお声は出さないようにお願いいたします」


 そう、背後からいきなり現れたこの人。何故か、私が兄さんに近づこうとすると必ずと言っていいほど邪魔をしてくるのよ・・・おまけに気配を探知しようとしてもするりと切り抜けてくるというか、そういう時に精神力を使わせて油断した時に現れるというか。アキの姉さんだって言っていたけど、何者なのかしら?


「私はしがないメイド長ですよ、リデア殿」


「えっ?」


「途中から声にお出になっていましたが」


 う、嘘!? い、いえ、そんなことないはずよ。だってワタシは、その・・・本心を知られたくなくて今までずっと


「う、嘘よね?」


「はい、嘘です。でも、そういうということは当たっていたようですね。リデア殿はお顔に出やすいですからよくわかります」


 う、嘘だったけど、もっと悪いわよ~~~!! もう、いや! ワタシ、この人苦手! この人怖いよ~!


「では、私も仕事がございますのでこれで失礼します」


「え、ええ、頑張って・・・」


 け、結局何をしに来たのかしら? はっ!? 兄さんの寝室に忍び込もうと思っていたのに! こんな時間じゃもう起きているよ~!!




 朝食が終わると兄さんはいつも森の中に鍛錬に行く。やっぱりレーチェルに言われたことはそれなりに堪えているのね。でも、ワタシは知っている。最近レーチェルは毎日来て兄さんを痛めつけていくということを・・・いつか復讐してやろうと思う。


「兄さん、今日も一緒に行ってあげるわよ。か、勘違いしないでよね! 一応兄さんだし、兄さんみたいのでもいないよりは一緒にした方が特訓の成果も上がるからなんだからね!」


 かくゆうワタシものんきに構えていられるわけじゃない。少しでも兄さんの役にたてるように特訓しないと! さ、さすがに特訓中の兄さんから気配を隠して近づくのは無理だけど、一緒に特訓するならば問題ないものね! アキが恨めしそうな顔しているけどこれだけは(お邪魔虫も1人いるけど)ワタシの特権よ! 貴方はちゃんと女王のお仕事するように!


「そうだな、俺としてもリデアがいてくれた方が助かるよ。どうもレーチェルは苦手でな~」


 ・・・あのレーチェルを得意な人ってこの世にいるのかしら? でも、し、自然に可愛らしく兄さんにアピールできたよね? だ、だって、あんなにやさしい笑顔でワタシのこと見てくれたわけだし!


「お~い、リデア? どうしたんだ~? 一緒に行くんじゃなかったのか?」


 はっ!? いけないいけない、ちょっと意識が飛んじゃってた。でもね、兄さん・・・ワタシはもう1人は嫌なの。ワタシにはもう兄さんしかいない・・・みんな殺されてしまった。兄さんがいなくなったらワタシは・・・


「はぁ、何をそんなに悲しそうな顔をしているんだ。・・・大丈夫、俺はどこにもいかないさ」


 ポンポンと頭を軽くなでてくれる兄さん。子ども扱いされていると思うのに・・・でも遠い昔もワタシが泣くとこんな風に慰めてくれた気がして、記憶を失っていてもやっぱり兄さんは兄さんで・・・アレ?


「にににに。兄さん!? そそそそ、その、どこにもいかないってどういうこと!?」


 ワタシ何にも言ってないよね!? へ、変なこと口ばしっちゃったりしていないよね!? じゃないと、クールで頼れる可愛い妹のイメージが・・・


「いや、なんとなくそんなことを言いたそうな顔をしていたんでな。どうした? 普段のクールさが台無しだぞ?」


「に、兄さんが余計なことを言うからよ! そ、そうよ! ワタシはクールで頼れる妹なんだから!」


「ああ、そうだな」


 よ、よかった。とりあえず兄さんの印象は崩れていないみたいね。よし! じゃあ、今日も特訓頑張るわよ~!




 おまけ


「なぁ、メイよ・・・」


「なんでしょう? 女王様?」


「あれは真剣にやっておるのか?」


「普通の者たちならば冗談でしょうが・・・あの2人のことですから」


  「「・・・」」


  小さなため息が2つ重なったことは幸か不幸かリュウトもリデアも知ることはない・・・。


リュウトとリデア、あんまり似ていないようでいてやっぱり兄妹、妙なところで似ていたりするのです。


リデア「ど、どこが妙だっていうのよ!」


普通の者はあれをクールだとはいわないで、ツンデレと・・・ぐへっ!?


リデア「ワタシはツンデレなどではないとあれほど言っているでしょう?」


まぁ、そこら辺の判断は読者様に任せるとしましょうか。では、次回もよろしくお願いしますね~

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