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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
1部3章『思い抱きしめて』
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6話 「思い抱きしめて」

「グスッ、ヒック・・・。」


 あれからどのぐらいの時間が経ったのだろう? 気がついたときには闇黒騎士ヘルはすでにいなかった。・・・ママナも。


「お墓・・・作ってあげなくちゃ。」


 殆ど義務感だけで動く。感情がついてこない。世界の全てが虚ろに見えてしまう。


 マリアさん、ハナ、ケンタ・・・そしてリュウト。4人を同じお墓に埋葬する。目を閉じ、手を合わせていると、今更ながらに涙がこぼれた。・・・私、これからどうすればいいんだろう。そ知らぬ顔でエルファリアには戻りたくない。でも、復讐の為に戦うっていうのも違うと思う。・・・ねぇ、リュウトだったらどうする?・・・教えてよ。


 ボコッ・・・突然響いた音に驚いて目を開けると・・・!? 手! 手が飛び出てる!! なんで! 私ちゃんと埋葬したよ!・・・たぶん。


 目をこすってみても、見開いても、その手は消えることはなくて・・・む、むしろ、這い出ようとしてる!?


「うひゃぁああ! ぞ、ゾンビ!?・・・ちゃんと成仏してよ~~~!!」


「・・・誰がゾンビだ。俺はまだ生きているよ。」


 ・・・えっ?この声は・・・


「リュウトか? しかし、確かにそなたの心臓は・・・。」


「あのな、アキ・・・心臓が止まっただけじゃ人間は死なないものだぞ。」


 ・・・リュウト・・・たぶんそれ、あなただけだと思う。たしかに仮死状態からの蘇生はありうるんだけど・・・


 でも! でも・・・! もう二度と見れないと思っていた優しいリュウトの笑顔が見えたのが嬉しい。私は思わずリュウトの胸に飛び込んだの。


「リュウト・・・よかった、よかった~! 心臓・・・ちゃんと動いてる。」


「ごめんな・・・心配かけてしまったみたいだ。こんなに泣かせてしまった・・・。俺は結局誰も守れなかったんだな。アキもママナ、ハナ、ケンタ・ ・・それに姉さん。」


 優しく髪を撫でてくれるリュウトの手が心地よくて・・・でも、そこから伝わってくるリュウトの思いが・・・心の痛みが苦しくて・・・私は泣き止むことが出来ない。


「ごめんなさい、リュウト・・・もう少しだけ胸を貸して・・・。」


「ああ、好きなだけ泣いてくれ。俺の分も・・・な。」


「うう・・・・うわぁぁぁあああ!!」




「みっともないところを見せたのじゃ。」


 ひとしきり泣いたアキはそう言って俺から離れた。


「いや、むしろ安心したよ。アキは無理ばっかりしてるから。」


 いつも女王として背伸びをしていないといけないアキ。あんな風に泣けるのなら泣いた方がいいと俺は思う。


「ムッ! 無茶ばかりするのはそなただろう。今回だって普通のものなら・・・あ、いや・・・すまぬ。」


 普通のものなら死んでいる・・・そう言いたかったんだろうな。そして、実際に死んでしまったものがいる以上不謹慎だと。


「アキが気にする必要はない。全部、俺が悪い。俺が竜神の力に頼ろうとしたから巻き込んだ。折角得た力を使えずに守れなかった。・・・それだけだ。」


「リュウト・・・そなたはこれからどうするのだ。」


 俺の守りたかったものはなくなった。だが・・・目的がなくなったわけじゃない。


「変らないさ・・・邪竜神を討つ。」


「リュウト・・・それは・・・。」


 アキの目が不安に揺れる。言いたいことはわかるさ。


「心配するな。復讐なんかじゃない。まったくそんな気がないって言えば嘘になるのかもしれないが、姉さんの遺言だ・・・世界とやらを守ってやろうじゃないか! それに・・・ママナはまだ生きているんだろ?」


 俺の言葉にアキは嬉しそうにうなずくと


「ならばいい・・・。だが、今回のことで私たちの力不足が良くわかった。特にリュウト! そなたのな。・・・魔法も使えぬのでは話にならん!! 私がみっちり教えてやるから覚悟することだ。」


 ・・・やれやれ、女の子らしいアキの時間は短かったな。


「ああ、よろしく頼むよ。」


 姉さん・ハナ・ケンタ・・・俺たちの旅はまだ続く。俺はけしてこの犠牲を仕方がない犠牲だったなんていわない。俺が生きている限り償いはさせてもらう。だから、せめて・・・心安らかに眠っていて欲しい。そんな世界を必ず作って見せるから・・・。




  空中城 玉座の間


「竜神様、予想どうり例の者は蘇生したようです。」


  恭しく頭をたれる女・・・ルーン。そして


「そうか・・・これで奴めも自分の力のなさがわかったであろう。強くなれ・・・我が恨みを受け死ぬにふさわしい強さに・・・ふはははは!」

あっさりと生き返りました主人公! まぁ、彼にいなくなられちゃ困りますからね。


マリア「おまけに私のために世界を救うだなんて嬉しいわ~♪ でもリュウトくんはいつも無理するから心配だな。」


まぁ、そこらへんはアキが何とかするでしょう。


マリア「う~、やっぱりリュウトくんはアキさんに取られちゃうのかな~? 安心なような、悔しいような・・・複雑だわ~。」


メイ「何を言っているのです。リュウト殿は女王様のものに決まっております。幽霊は幽霊らしく大人しく見ているだけにしてください。」


メイ!? ・・・これは・・・ヤバイ・・・。


マリア「あなたが噂のアキさんのお姉さん? ・・・ふ~ん、やっぱりリュウトくんは任せられないかな~。」


メイ「いいでしょう。ではどっちの言い分が正しいか決闘しましょうか?」


・・・巻き込まれないうちに終わりましょう。次回は間幕の「アキの魔法講座」です。この世界における魔法の設定をここで一挙に公開します。では~♪

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