1話 「部屋割りは?」
「やはり、そなたもここに住むのじゃな?」
「と、当然でしょ? きょ、兄妹なんだから! し、仕方なくだけどね!」
仮初めとはいえ平和になったわけでやってくるは日常。で、あたりまえのようについてきたリデアがどこに住むのかって話になるわけなんだけど、私としては仕方なくならばどこか別のところを割り当てたい。まぁ、あんなに赤い顔をしてたら本心は丸わかりだけどね・・・約一名例外としても
「悪いな、アキ。まぁ、新しい部屋を用意してくれとまでは言わないさ。俺と相部屋で構わないぞ・・・俺はともかく(女の)リデアには少し不便かもしれないが、その位は我慢させないとな」
「そ、そうね! そこまでアキに迷惑はかけられないわ。に、兄さんと同じ部屋で我慢してあげるわよ」
何が我慢よ! そんな羨ましい・・・こほん、ふしだらなこと絶対に許さないんだから! それに、そんなことを認めたらリュウトが襲われるじゃない!!(間違ってもリデアがではない)
「心配はいらぬ。エルファリア宮殿も昔よりも増改築もしておるしな、リュウトの隣の部屋もまだ空いておるからそこに住めばよかろう」
本当だったら増改築した4Fの客間を使わせたいところだけど、3Fにある私の部屋の前にある3部屋の内1部屋開いているものね。さすがにそこを使わせない理由ないし・・・
※アキの部屋の目の前で3つの部屋の内の真中がリュウトの部屋、もう一つの部屋はメイが使っている。
「だ、だから悪いから兄さんと一緒でいいって。掃除する人だって大変でしょ?」
「元々使われておらぬ部屋じゃ。私の部屋の前ゆえにうかつな者には使わせられぬ・・・それと掃除は自分でやるのじゃぞ」
私だって自分の部屋は自分で掃除しているんだから! メイドたちの仕事(メイド長のお姉ちゃんはこっちの仕事やってないけど)は空き部屋や公共の場所だけだからむしろ手間が減るのよね。・・・旅をしている間だけはお任せしているけど。
「掃除って自分でするの?」
「当然じゃろ? 私とて自分でやっておるぞ」
「アキって・・・女王様よね?」
「その通りじゃが?」
・・・? 何が言いたいのかな? 自分で出来ることは自分でやる、当然でしょ?
「アキって意外と庶民派だったのね・・・。で、でも! わざわざ新しい部屋を用意してもらう必要も・・・」
「部屋というものは使わなければ痛むものでな、使ってもらった方がむしろ都合がよいのじゃ」
ふふ、どうかしら? 建前としては私たちに迷惑がかかるから同室でいいと言っている以上はこれ以上はもう何も言えないでしょう? 特にリュウトはね
「なるほど、確かにその通りだな。アキがそっちの方が都合がいいなら、俺としてはそれに従うが・・・」
「に、兄さんまで・・・!?」
当然でしょ? リュウトは別にリデアと同室がよかったわけじゃなくて、私の都合を考えて言っていただけなんだから。大体、あなたも本当は別室の方がいいけど私たちの為に言っているとリュウトは思っているんだし・・・
「くぅ・・・わ、わかったわよ! に、兄さんの隣の部屋でいいわ」
ふっ、リデア・・・この勝負は私の勝ちみたいね。
そして
「へぇ、兄さんの部屋と同じつくりなのね・・・で、この壁の向こうは兄さんの部屋」
リデア・・・いくら『妹とはいえ、これから女の子の部屋になる部屋に男が入るのはなぁ』なんて言ってリュウトがついてこなかったからと言って壁を見つめて息を飲むのは色々引くわよ? でもリュウトってこういうところは奥手というか、私の部屋にも入らないし(まぁ、リュウト人形とかどうかしないといけないんだけど)お姉ちゃんの部屋にも呼ばれたとき以外はいかないもんね~。
「でもやっぱりアキの部屋はここよりも広いんでしょ?」
「それはそうじゃのう。じゃが、広い方がいいというのならば交換してやるぞ?」
私が部屋にいる時間そんなに多くないし。部屋が広いってことは掃除が大変なだけなのよね・・・正直言って私はあんなに広い部屋いらないよ。それに
「あ、別にいいわ。うん、ワタシも別に部屋にはこだわってないから・・・今までは寝れればいいって感じだったもの」
それは女の子としてどうなんだろうという気はするけどね。まぁ、私も本当に交換するなんて思ってないわ・・・だって、私だったら広い部屋よりもリュウトの隣の部屋の方がずっと嬉しいもん。そりゃ、今の部屋だって目の前の部屋なんだからそう変わらないともいえるけど、ちょっとお姉ちゃんとリデアに嫉妬中。
「リデア、私はそなたに負ける気はないぞ?」
「わ、ワタシは別に勝負なんて・・・いえ、あなたにそう言ってもしょうがないか。ええ、兄さんはワタシのものよ。絶対にあなたなんかにはあげないんだから!」
これがただのブラコンだったら兄離れしてよ・・・なんだけどねぇ。100年探し続けたっていう思いも、それに異性としての思いも・・・本当は異常な思いなんだろうけど否定することはできないのよね。
「じゃが、今恋人の座を持っているのは私だ。1歩リードしておるのは私なのじゃからな」
「あら? ワタシには妹っていうアドバンテージもあるわよ。絶対に舞台から追い出してやるんだから!!」
コツンと合わせられた私とリデアの拳。ホント、リュウトの恋人の座って大変ね。他にもママナとかもまだ怪しいし・・・お姉ちゃんもまさかねとは思うけどなんか怪しいのよねぇ。
でも・・・本当に大変なのはこれからだってことを私はまだ知らないのだった。いえ、翌朝にはいきなり思い知ることになったのだけど・・・
とまぁ、始まりました第五部! 平和は平和でも仮初めの平和なはずなのにほのぼのと・・・
アキ「どこがほのぼのだというのじゃ! これは戦争なのじゃぞ!!」
いや、戦争は戦争でも女の戦場ですからねぇ。今まで天界でやっていた本当の命を懸けた戦場に比べればほのぼのでしょう?
アキ「この戦いだって命がけなのじゃ! ・・・戦利品になる者がそれに気づいていないのが難なのじゃが」
あれはそう簡単には気が付かないでしょう。色々と理由はあるんですが・・・
アキ「ふむ、理由とな?」
まぁ、そこら辺は追々。それよりも今気になるのは・・・リデアが何をしたのかということでしょうねw
アキ「あれはさすがの私も驚いた。もっとも(作者サイトの)キャラクター辞典にはしっかりと書かれていたことでもあるのじゃがな」
目のあたりにすればそれなりに衝撃かもですね。そんな翌朝の様子は次回あたりで・・・




