9話 「集結!?」
さてと他のグループはどうなったかな? さすがに戦闘中に他のパーティの状況まで正確に察知する余裕はないが
「確かに心配よね・・・いろんな意味で」
ああ、やっぱりアキもそう思うか? 実力は何の心配もないんだけどなぁ。
「まぁ、たぶん大丈夫だろ? 俺と同じぐらいの実力だったみたいだからな」
アシュラ1人で俺よりもずっと強いアシュラ&レミーは当然としてもコクトも俺と同程度だしリデアもそう大きく劣っているわけじゃない。全員やる気になれば世界を消滅させるぐらいは余裕で出来るメンバーだし、相手がそういうことをやって来ても封じ込められる実力はある。まして操られて実力を出し切れない&竜神剣の強化もちゃんと伝えているのだから。
「アキ! それに兄さんも! あんな奴らにワタシが負けるわけがないでしょう!!」
「俺が何度助けてやったと思っているんだ?」
「う、うるさいわね!」
・・・まぁ、これだけ元気ならば心配はいらないだろう。もう一方の方など・・・
「貴様らがオレを心配するなど1000年は早い」
「わたしとアーくんは無敵だよ~」
とまぁ、こんな感じだしな。そしてもう1人か・・・
「で、なんでお前がここにいるんだ? ・・・ママナ」
「えっ!? な、なんで分かったの~!?」
いつものようにブ~っと顔を膨らませて出てきたのはママナ。確かに彼女の隠密術はただ見えないとか気配がないとかというものではない。こいつの隠密は物理的な干渉自体を遮断している。いや、正確には体を構成している粒子を一時的に消滅させているとか・・・つまるところ存在自体を消しているということで見る聞く以外はママナもできなくなる品物なのだが
「今は竜神剣の封印を解除しているからな。体は存在していないも同然でも意識があれば竜神剣の斬る対称だからリュムがサーチしてくれるのさ」
「・・・我から見ればあれを発見できぬそなたが情けないというところだ。存在の抹消は上位使い魔たちがデフォルトで持っている能力。あの程度がわからぬようでは話にならぬ」
・・・とまぁ、逆にリュムからお説教を食らう形になったが、それ以上に自慢の一つの隠密術を『あの程度』と評価されたママナの涙目が堪えるのだが・・・
「で、なんでここにいるんだ? それに・・・」
「コーリンの奴はいないようだな」
こういう時、ママナとセットになって動くことの多いコーリンさんが確かにいない。というよりも言われてみればアシュラは普通に竜神剣の補佐もなしにママナやコーリンの隠密を見破るのだから俺がやはり情けないのか。
「コーリンさんはメイのところに行ったよ? 必要十分の情報が集まったからって」
必要十分? ?マークの浮かぶ俺たちにママナはさらに
「えへへ、私たちには私たちの戦いがあるって言ってくれたのはリュウトじゃない。ちゃんと情報は集めて来たよ。えっとね・・・」
「・・・と言う感じなのですが、私の情報はお役にたちましたでしょうか?」
と私に報告をするのはコーリンさんではなくてヤマト君。うん、彼も持って来た情報はそういいものではないけどちゃんと情報を持って生きて帰ってきた。リュウト君に少し迷惑をかけちゃったみたいなのは減点だけど彼の実力ならば十分すぎるほど合格点だわ。
「ええ、ここから先は私の仕事です。あなたは今日・・・いえ、明日より1週間休暇を出しますのでゆっくりしてください」
本来はメイド長の身分の私に新人とはいえ兵士である彼に休暇を与えることなどできようはずもないけど、私が指示を出して反論が出来るのはアキぐらいなものよ。そして
「申し訳ありません、そしてご配慮に感謝いたします」
ヤマト君が退出して一人だけになった執務室で私が行った言葉。けして独り言じゃないわよ?
「何のことでしょうか? 私は今来たところですよ? ふふ、私よりも先に報告に来るなんていい部下をお持ちですね」
まるで空気から溶け出してきたように姿を見せたコーリンさん。私も一応水属性だからコーリンさんが手加減をしてくれれば居場所を見破るぐらいのことはできるのよ。コーリンさんがわざとヤマト君を先にしたぐらいのことは勿論わかっている。でも
「それは失礼いたしました。失礼ついでに早速・・・」
「ええ、あまり悠長に構えていていい事態ではないようですので」
そして数十分後
「なるほど、これはなかなか大変な事態ですね。そしてレーチェル殿が考えていることはおそらく・・・いえ、そうでなかったら文字通りの裏切りになってしまうことですね。あの方が本当に敵にまわっているとしたらとっくに女王様やリュウト殿も殺されているところでしょうし・・・ここは信じるほかはないでしょう」
「はい、私もそう思います。かなり危険な橋を渡る作戦だとは思いますがあの方なりの理由があるのでしょう。もしその通りならば、一番危険なことをやっているのは他の誰でもないレーチェルさんですし。あとは・・・」
「ええ、ありがとうございます。これだけあれば議会を説得する材料には十分すぎです。勿論、このことは公言しませんが・・・後は現地で直接聞くしかないですね」
「ええ、ママナさんにもリュウトさんたちにこのことは言わないように言ってありますし・・・本当の闘いはきっとこれからですね」
本当にそうだわ。レーチェルさんも本当に大変なことを回してくれるものね・・・きっとあの人にとってもアキやリュウト君にとっても、そして裏方の私たちにとっても本当に大変になるのはこの戦いが終わった後のこと・・・。
さて予告していたように次章がこの部の最終章・・・ですが、これは全ての始まりに過ぎないのです。5部そして6部以降へと続く物語。1つとして無駄なエピソードはなく全てがある一つの真実へと集約されるのはいつのことか!?
アキ「うむ、そういえば聞こえはいいがの・・・私たちが蚊帳の外に置かれているのは納得がいかんな」
まぁ、アキやリュウトたちは最前線部隊で、物語を本当に動かすのはいつでも裏にいる者なもんです。まだまだいろんな人の手の上で踊らされている段階なんですし
アキ「う、くっ・・・悔しいが今は仕方ないのかのう。だが、最後に笑うのは私とリュウトなのじゃろ?」
さ、では次回紹介をお願いしますね?
アキ「どういう意味なのじゃ~~~!! こほん、ママナから伝えられた情報をもとにデウスの神殿に向かう私たち。そこにいたのはゼウスと? そして再びリュウトが!? 次章竜神伝説第4部10章『始まりが終わる時』まだ私たちの冒険はほんの入り口に立ったばかりなのじゃ!」
ということでまだまだご声援よろしくお願いいたします!




