6話 「微笑みと共に」
「ム~? これってどういうこと?」
とにかく数が多い天使たちと戦ってたら、あーちゃんとりーちゃんが急に走り出したの。何かあったってことかな?
「あの2人の感知能力はとある一人に特化していたな・・・だとすればおそらく答えは一つだろう」
そういうお兄ちゃんの声が少し呆れているような気がするよ~。えっとたしかあーちゃんもりーちゃんもリューくんの気配にはすごく敏感なんだよね~。・・・えっ?
「あ~! ひょっとしてリューくんがまた一人で突撃していった~!?」
「ということだろうな。だが、あいつはああ見えて冷静だ。そんなあいつが突撃していったならば、奴よりも先にあいつがそこに行ったとみるべきだろうな」
ム~、お兄ちゃんが難しいこと言うよ~。えっと、あーちゃんとりーちゃんが走っていく先にはリューくんがいて~、わたしとお兄ちゃんはここにいるから~残ったのは
「アーくん!? あ、でもアーくんならば大丈夫な気がする」
確か前も数十万単位の敵相手に単独で戦ったとかって言っていたし、スタミナとかっていうのがあるから結構乱戦は得意な方だろうってリューくんもアーくんもこと言ってた・・・ような気がするよ~。
「そうだな、奴ならば単独で動いてもそう問題はないのだろうが・・・それに気づいてリュウトが動かぬはずもなし、リュウトが動いてあの2人が動かないはずもない。それを失念していたのはあいつのミスだ」
あーちゃんもりーちゃんもリューくんにラブラブ~のメロメロ~だもんね~。でもそれにリューくんが気が付いてないから大変なんだけど・・・じゃなくて~、え~っと
「ム~、とりあえずわたしたちもあーちゃんたちを追う?」
「ああ、その方がいいだろうな・・・俺はリュウトに借りがまだ残っている。あの2人が傷つくこともリュウトは決して望むまい」
わたしね、お兄ちゃんは凄いと思う。わたしよりもずっと頭もいいし、こうやって話して考えながらいっぱい敵を倒して私を守れる・・・たぶんね、リューくんとおんなじぐらい強いもん。でもね、これだけは間違っていると思うんだ。
「お兄ちゃん。それはね、きっと違うと思うんだ。リューくんは借りだなんて絶対に思っていないし、お兄ちゃんが傷つくのだって同じぐら嫌がると思う」
ひょっとしたらそれは正しいことではないのかもしれない。誰も彼もというわけではないけど、仲間だからって全員同じように扱うリューくんは間違っているのかもしれない。でもね、それでも・・・お兄ちゃん?
「そうだな、リュウトの奴にも同じようなことを言われたよ。だが、俺もまたあいつらを助けたいという思いに嘘はない・・・そこに贖罪に意思がないとは言わなくてもだ」
よくわからないよ。わたしやっぱり難しいことは苦手だよ。でもね、それでも一つだけわかることがあるの・・・わたしもアーくんもリューくんも、あーちゃんもり-ちゃんもお兄ちゃんもみんな大好き! だからね、誰かの為じゃなくてわたしの為に助けたいの!
「うん、よくわからないけど行こう、お兄ちゃん。みんなのためだったらわたし頑張るよ~!」
ちょっぴり微笑んでわたしを見たお兄ちゃん。うん、大丈夫だと自信を持って言えるよ? 何がなのか、何でなのかはわからないけどね!
「馬鹿者・・・リデア、逃げるのじゃ。そなただけでこれだけの数を相手にしながら回復と防御を同時にするなどできるわけなかろう!」
「馬鹿筆頭のあんたに言われる覚えはないわ。ええ、兄さんと同じ程度のお馬鹿加減よ、あんたは・・・大丈夫、ワタシはこれでも竜族。まだ下級クラスとはいえ竜よ、この程度のことが出来ないはずはないわ」
強く絶対に助けると言ってくれる目。リュウトもこんな感じだったのかな? 守れたことが誇らしい、助けてくれようとする思いが嬉しい・・・そして悲しませてしまったことが悔しい。あは、確かにこれは何どでも同じことをしてしまうかもしれないね。でも私はあなたみたいに丈夫じゃ・・・
「ほら、そこ! かってに諦めるんじゃないわよ! ワタシが大丈夫って言ったんだから大丈夫なの! だから、こんなところで勝手に舞台から降りるんじゃないわよ!! あんたを兄さんの傍から追い出すのは・・・ワタシなんだから!」
だってね? あなただってわかっているでしょう? このままじゃ共倒れになっちゃう。私は知っているよ? たとえ犠牲を出そうとも少しでも被害を減らすことが必要な時もある。きっと・・・いまがその時だよ。
「認めない・・・認めてたまるものですか! 兄さんがよく言っているじゃない! いかなる絶望も笑い飛ばせって! こんなのに負けてたらいい笑いものよ!」
「・・・そうだな、ちゃんと後ろを見る程度の余裕はあった方がいいだろう。守りは俺に任せろ、グランドウォール!」
突然聞こえた声にぴたりと停止する私とリデア・・・ゴメンナサイ、すっかり忘れてたよ。だって、コクトって結構影が薄いし・・・。
「は~い、回復はわたしにおっまかせ~♪ ってことで中に入れてよ~、外にお兄ちゃんの壁があるから大丈夫だよ?」
そして、この能天気な声はレミーね。たしかに回復の力だけで見たらリデアよりもレミーの方がずっと上だし
「ちょ、ちょっと二人とも!? ワタシの覚悟はどうしたらいいのよ! この行き場のない思いは!? っていうかやること全部奪われて何すればいいのよ!」
「攻撃して防御の負担を減らすのも役割だぞ」
「りーちゃんはガンガン攻めてね~」
あはは、突然の乱入者によってすっかり雰囲気を壊されてちょっと涙目になっているリデアは可愛いかも♪ でも、そうよね・・・私たちには仲間がいるんだから頼ればいい。それはリュウトが普段からやっていることじゃない。仲間がいるから無茶もできるんだって・・・忘れちゃいけなかったよね?
「も、もう! わかったわよ! その代りしっかり治しなさいよ!」
そう言って飛び出していくリデア・・・うん、まだ希望は輝いている。そして、すぐに助けに行ってお説教だよ、リュウトたち!
ピンチの時には仲間が続々とやってくる! この横のつながりが竜神伝説の特徴です!
??「ふふ、やってくる仲間はその場にいる者だけとは限らないわよ」
ムム? 戦場によく乱入してくる人と言えばレーチェルですが、2連続ゲスト?
メイ「まったく、作者が私の声をわからないとは・・・」
無茶を言わないでください>< しかしお久しぶり?
メイ「あなたが書かないからでしょうが! こほん、私の方も続々と情報が来てますので参戦できるのも時間の問題ですわ。やはり最終戦には私がいないとですね」
たしかに第2部の最終戦には乱入してきたけど・・・ママナやコーリンも来るだろうからまた同じような展開になるのだろうか?
メイ「それは私たちの責任ではありませんので。行動するのは私達でも責任を取るのはあなたという役割ですよね?」
はい、そのとおりです・・・ということで最終戦ももう間近の第4部! 実は第4部は続く第5部と6部の序章にあたる部分なのですが、最後までお楽しみいただければ幸いです♪




