4話 「正義と悪魔」
ふん、前を行くオレにわらわらと群がる天使どもを一撃で倒して前に進む。こうまで多いと止めを確実にさしながらとはいかず、倒れたものは放置してだが・・・くっ、さっさと大元のところに行かんと面倒事だけが増えるな
「貴様らの相手をしている暇はない。サンダーレイン!」
オレの魔力ではそう大した威力になるはずもなく天使どももあまり気にはしていないようだが、雷光に紛れたオレは一気に最奥まで駆け抜ける。・・・途中にある障害物どもを殴り倒しながらな。
「ほう? 思ったよりも早かったではないか? だが、1人で突撃してくるとは無謀もいいところだな」
ふん、部下たちを見殺しにしてオレたちの体力の消耗を待っていたような奴が何を言う。もっとも、おそらくこいつらもリュウト級の闘神・・・いや、竜神剣の強化を考えねばリュウトよりも上の連中たちだろう。そいつらを操っている奴に脅威を感じるべき矢も知れぬな。
「ならばこのオレを楽しませてみろ! このオレをリュウト以上に楽しませて見せれば生かしてやってもいいぞ」
下らぬ戦いだとは知っている。こいつらの目は生きていない・・・目的のために死を覚悟したぎらついた目でさえもない。こんなやつらに負けてなどいられんな。
正面に3人、左手に4人、右手にも同じく4人・・・そしてさらに後方に3人か。闇属性のコクトの奴は元より、リュウトたちも多少は耐えられるだろうがレミーの位置的にオレの全力は使わんほうがよかろう。ふん、こういうハンデ戦もなかなか面白いものだ。
「行くぞ・・・修羅烈風脚!」
正面の一人を一撃・・・本来ならばそのまま8連撃に持っていくこの技だが、数が多いので3連撃の後に迫ってきた奴に蹴り落として追撃をかわす。直後におじぎをするような形で背後に迫っていた奴の剣をかわし回し蹴りではじき返す。
「ふむ、たかが悪魔と思っていたが、なかなかやりおるわ」
「下らぬ戯言はやめろ。貴様らを審査しておるのはオレだ。この程度ではこのオレを楽しませることなどできぬぞ」
ふん、リュウトやアキの奴ならばもう少しうまい舌戦もやってのけるのだろうが、オレには性に合わんな。洗脳の影響かどうかは知らぬが、この程度で感情を乱す未熟者でないということが分かっただけで十分だ。
「『天と地の理において汝らを封ず。地の底よりの封に逃れる術べ無し』セイントメサイア! 我の結界より逃れた悪魔はおらぬ。我らに弓引いたことを後悔して冥府へ逝け」
・・・光と地の合成呪縛と言ったところか。だが、こいつらはオレを舐めているのか? この程度でこのオレを封じられると?
「やはり貴様ら程度ではオレの相手には不足だな。リュウトの奴ならば竜神剣がなくとももう少しまともな攻めをしてくるぞ」
結局そういうことなのだろうな。奴は力だけではない・・・いや、あいつの力は純粋なパワーだけではないということ。あの気迫と意思、そしてとっさの切り替えし、ゆえにあいつとの勝負は面白い。
「ふっ、今までの悪魔どもも皆似た様なことをほざいたものだ。このような方法で勝利するのは弱気証拠だと・・・愚かなことだ。我らは正義、いかなる手段を用いても悪たる悪魔を滅ぼせばいいのだ」
・・・どうやら面倒な誤解をしているようだな。そしてどこの低級悪魔だ、そんな寝ぼけた発言をするのは。戦いとは最後までたっていたものが勝者、その過程などどうでもいい。いや、その戦略・策略に対処できぬがゆえに敗者なのだ。だが
「惜しいな、だがな貴様ら程度が正義を語るは認めんな。正義は必ず勝つというのならば・・・オレを打ち破って見せろ!」
拘束など関係ない、結界など無理やり壊してみせる。この程度の実力差があることさえも歪んだ正義に目がくらみ気づけぬから雑魚だというのだ。
「貴様もそう思うのだろう・・・リュウト」
「あ~、やっぱ気が付いていたか。こっそり近づいて手伝う気だったんだがな」
「貴様がオレに気づかれぬように近づくなど1万年は早い。・・・奴らが心配するのではないか?」
「ん~、まぁ戦っているうちにくるだろう。というよりも何故か一直線に来ようとしているのが2人いるぞ?」
フッ、やってきているのはあの2人だ。理由などさして知るべしだ。そして、その2人を目標に動いている奴らが2人・・・全員集まるのも時間の問題か。この人望もこいつの力やもしれぬな。
「馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な! 何故、これだけの数の正義の軍団が!」
そして、この手の手合いが言うセリフはいつも代わり映えがしないものだ。もっとも、返すこいつのセリフも同じようなものだがな。
「数に頼った自分が正義なんて言う幻想だけで支えられた軍団だからだろ? いや、操られの集団にそんな幻想さえもなかったのやも知れないけどな」
やはりこいつがリーダーなのはこういうところなのだろう。誰とも知れず人を集めて人を動かす・・・ククク、さて、役者がそろったところで本当の闘いというものを始めるとしようぞ!
さて、今回は久しぶりのアシュラ視点ですね。
アシュラ「だからと言ってこのような場所に呼び出しおって・・・」
あはは、以前も言いましたがアシュラが一番安心できるゲストなんですよね。敵側は元より、レーチェルだろうがアキだろうがリデア、メイにレミー、マリアと誰も安心できないというこの悲しさ
アシュラ「それこそ知ったことではないな。オレは戦えればいい・・・だが、今回の戦いは楽しめそうもないな。期待できるのは奥にいる3人か・・・ふっ、3人ということは」
おっと、そこまでにしておいてください。一応それもネタバレですからね。
アシュラ「よかろう、ただし組み合わせはよく考えることだ。オレは1人でも一向に構わん・・・いや、その方がありがたいがな、ククク」
・・・言うなって言ったのにしっかり言って行くし。え~、ゲストが帰ってしまったので、今回はお開きです! では、またをよろしくお願いします~。




