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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
4部8章『光と闇のロンド』
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4話 「そして伝説を継ぐ」

 

 がやがやと騒がしい塔の周り。そこには多くの人と多くの旗、そして


「いいさね? 絶対に・・・絶対にこの塔の中から出るんじゃないさね。あの連中が用があるのは私だけなんだから」


 ルナ・・・その実力は今の俺よりも上なぐらいかもしれない。現在のリリィに比べれば弱いのだろうが、外を囲んでいる自称神の使いの人間に負けるようなレベルではありえない。ならば、この先の展開はおそらく・・・


「ルナさん・・・」


「ルナお姉ちゃん・・・」


 心配げなリリィとリリカ・・・特にリリィは状況がわかるゆえなのだろう。


「心配はいらないさね。あんな奴ら、私の敵じゃないんだから・・・さ、わかったら奥に隠れているんさね」


 震える2人をぎゅっ・・・と抱きしめてルナは笑う。そして、1人塔の外へと出ていくのだった。




「で、女子供の住む塔にこんな大勢で何の用さね」


「ふん、猫をかぶっても無駄だ! 貴様がこの周辺の村々を恐怖に貶めている忌まわしい悪魔の手先・・・魔女だということはわかっているのだ!」


「周辺の村ねぇ~、このあたりのどこにそんな村があるっていうのさね。そして、どんな被害があったというのさね」


 この塔は砂漠のど真ん中に立っている。少なくても周囲数十キロには人など住んではいないだろうし、ここで文句を言われてはどこに住んでも同じことだろう。無論、真に彼女の所為で起こった被害などあるはずもないだろうな。


「う、うるさい! わが国で今年の雨量が少ないのは貴様が呪いをかけていたに違いない! 他にもさまざまな悪行の証拠があると司祭様が言っておられるのだ!」


「その司祭様とやらの話も聞いてみたいものだけどね・・・あまり私を怒らせない方がいいさね!」


 ボアッと光る炎、どれ1つとっても誰にも害の及ばないようにコントロールされた・・・そしてやる気になればこの場の者たちを皆殺しに出来る炎。


「くっ・・・大人しくするがいい! 伝説の魔女ルナ! その塔には貴様の子が2人いると聞いた・・・貴様が大人しく刑に処されるというのならば、2人は見逃してもよいと司祭様はおっしゃった」


 だが、兵の言葉にルナの発する炎はみるみる小さくなる。彼女ならば守ることはたやすいはず・・・俺のように、かつての俺のように守ることが出来ない無力な存在では・・・


「美味い手さね・・・だが、私がここであんたたちを全滅させれば・・・」


「その時には貴様らが滅ぶまで我らが神の騎士がここを責め続けることとなる。貴様はともかく・・・貴様の子たちはその環境で暮らせるのかな」


 にらみ合いが始まる。有利はルナ・・・しかしそれは彼女の勝ちには結びつかない。逃げることは出来ないのだろうな・・・隠密の術の部類は彼女は知らないのだろうから。


「わかったさね・・・煮るなり焼くなり・・・好きにするがいいさね!」


 だからこそ、彼女は自ら死を選ぶ。もしも・・・もしも彼女の立場が俺だったら? 俺の所為でエルファリアが狙われたら? 俺が死ねばアキたちが助かるとしたら? こんなもしは意味がないのかもしれないが、そうであったらならばきっと俺も・・・と思う。


 積み上げられる薪・・・まさに典型的な魔女狩りというわけか・・・だがな、俺も人のことは言えないのは重々わかっているが、ルナ・・・君は残されたもののことを考えてはいないのではないか? ひょっとしたらリリィはリリカは平穏な暮らしなんかよりも、君がいる生活が・・・。


「やれ・・・」


 ともされる火。あの程度の炎は彼女ならば抵抗する気ならあぶられても死ぬことはない炎だろう。だが、彼女は抵抗しない・・・きっと命よりも大事なものがあるから


「リリィ、リリカ・・・私が教えなければいけないことはもう教えたつもりさね。後はあんたたちで幸せに暮らしておくれさね」


 そうして運命は新たな局面を迎えるのだろう。そう・・・降り注ぐ火、これは兵たちもルナもきっと予想外であっただろう。


「これはリリカ? いや、あの子は技術はあってもここまでの魔力はまだ・・・ならリリィさね! リリィ! 今すぐ力を制御するさね! こんな力は・・・こんな力の使い方は私は教えていない!!」


 それはまごうことなき暴走。それは恐怖と憎悪を振りまくだけの行為・・・そしてリリィもまた伝説を継ぐ魔女となる。そしてリリィも望む、自分たちを憎むすべての生き物の死を。こうして彼女の忌まわしき伝説はその幕を開けることになる。


リリィの負った傷・・・それは心であるがゆえに重い。2度奪われた悲しみ、自分たちを守ってくれない世界への怒り、それが向いた先は闇そのものだったわけです。


ルーン「ただ、表面的に知っただけで彼女を理解するのは早いわよぉ? それだけの子だったら私の相棒にはしていないもの」


くっ、やはり自分の相棒ことは理解しているのか!?


ルーン「そりゃ、そうよ? 竜の坊やとエルフのお嬢ちゃんみたいにうわべだけの付き合いは私たちはしていないの。もっと深い、運命共同体よ」


あ、えっと・・・その発言は色々と問題を引き起こしそうな・・・。


アキ「ほほう? 私のリュウトへの思いが上辺だけだというのか? この章では出番がないからと勝手なことを言いおって」


ルーン「あら? 負け犬の女王様じゃない? 坊やのファーストキスを貰ったのも私だし、あなたの体じゃいつまで坊やをつなぎとめられるかしらぁ」


アキ「うぬぬ、そ、それこそそんな上辺だけの付き合いはしとらんのじゃ! 表に出るがいい、ルーン! 今日こそは完全に滅してくれる!!」


え、えっと・・・被害を受けないうちに退散したいと思います。読者さまもご無事に脱出できることを・・・ふぎゃぁあぁあ!?><


アキ「この、この! ちょこまか逃げるでない!」


ルーン「うふふ、お嬢ちゃんも読者たちもじゃあね~♪」

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