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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
1部3章『思い抱きしめて』
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3話 「光と闇 正義と悪」

 

「ふう、疲れた~!!」


 何故か執拗に先生に俺の事を聞くアキと、嬉々として話す先生の話はあれから5時間ほど続き、今ようやく俺たちは与えられた部屋に戻ったところだ・・・勿論、俺とアキの部屋は別だぞ? 今は一緒にいるが。


「いや、すまぬな。つい面白くなって色々聞いてしまった。」


 俺の過去を暴いて何がそんなに楽しいのかはわからないが、実際に楽しそうだったからよしとしよう。エルフ族に含むところはないが、俺としてはアキにはせめて、この旅の間ぐらいは歳相応の少女でいて欲しいのだ。・・・そう彼女自身の本来の姿でな。


「まぁ、いいさ。そもそも悪いのはべらべら喋る先生だ!」


「そのように呼ぶとまた仕置きされるのではないか?」


 聞かれていたら確実にされるだろうな。・・・わかってはいるんだが、何故か先生と呼んじまうんだよな。


「いくらあの人だって部屋の中の会話までは聞いていないだろうさ。・・・たぶん。」


 聞かれていても不思議とは思えないところが怖いけどな・・・。


「そうか・・・だが少々羨ましいな。」


「おいおい、アレのどこがいいって言うんだ?」


「そなたは口で言うほど厭うてはいない。・・・本当に嫌ならば先生と呼ぶこともなければ、ここに自分から帰ってくることもあるまい。」


「・・・まぁな。」


 確かにそうだな。実際俺はアレを楽しんでいるところがある。・・・きっと先生もな。


「心の底から繋がっている。だから嫌なところも全て・・・見せ付けることが出来る。本当に温かい、羨ましい限りじゃよ。」


「アキ・・・。」


 だが、君だって持っているはず・・・。そう続けたかった。だが、アキは立場ゆえにそういう絆を失ったのかもな・・・。


「そんな顔をするな。それに良くわかった、ここが・・・彼女らがそなたの守りたいもの。戦う理由じなのじゃな・・・。」


「ああ、アキのエルフ族って言うものに比べたらずっと小さな俺の世界だ。・・・幻滅したか? 俺の思いの小ささに・・・。」


 されても仕方がないと思った。アキにとって俺は竜神、世界を救うものなはずだからな。・・・それが自分の小さな世界を救いたいがために力を得たなんて容認できないだろうと・・・。


「幻滅などせん!・・・いいではないか、自分の小さな世界を救うついでに大きな世界を救っても。私とて・・・似たようなものだ。」


 エルフを救うついでに世界をか?・・・規模が随分違う気もするけどな。




 リュウト・・・ちゃんとわかっているかな? 私が本当に救いたいのは世界でもエルフでもなくて・・・それも大事だけど、一番救いたいのはあなただって事。


「そうだ、もう一人・・・俺が守りたい奴がいる。会っていかないか?」


 えっ?・・・もう外は結構暗いよ?・・・リュウトと夜の散歩、ちょっとドキドキするな。



 そして迷いの森の入り口


「ここら辺かな?」


 えっと・・・こんな場所に人なんかいるの?って思っていたらリュウトは大きく指笛を吹く。そして・・・ガサガサガサと草が揺れて


「あ~! やっぱりリュウトだぁ♪ 最近会いに来てくれないから心配してたんだよ? どこかに出かけてたの?」


 飛び出てきたのは私と同年齢ぐらいの女の子。ただし、背中にあるこうもりの羽と頭の角が魔族であることを主張している。


「ああ。俺は今、旅に出てるんだ。ここへも途中で寄っただけだからまたしばらく会えなくなるな。」


「りゅ、リュウト!!! そやつは魔族だぞ!!?」


 だというのにリュウトは極普通に話しかけていた。


「ぶ~! 確かに私は魔族・・・一応下級悪魔みたいだけど人間もエルフも襲わないよ! エルフの女王様?」


 !? 私のことを知って・・・いてもおかしくないのか。この森に住んでいるのなら。


「この子の名前はママナっていってな、俺が子供のときに森で魔物に襲われていたのを助けてもらったことがあるのさ。」


「あの時は吃驚したよ~。悲鳴を聞いて見に来たら小さくて可愛い子が魔物に教われてたんだから。でも、あのリュウトが今では私よりも大きいんだもんね・・・人間ってやっぱり成長早いんだね~。ちょっと・・・寂しいな。」


「ところで、最近このあたりはどうだ?」


「ん~、やっぱり邪竜神の所為で物騒だよぉ。魔物・魔族と見れば問答無用で襲ってくる奴が増えたからね~。大体考えることが単純すぎるよ、光=正義で闇=悪だなんて誰が決めたのよぉ。」


「単純だから・・・分かりやすいからってことだろうな。そういう傾向があるって言うのは事実だしな。もっとも、一般的な光の立場から見ての話だ。正義だとか悪だとかは立場によって変るものだからな。」


 立場によって変る・・・たしかにそうよね。私、魔族たちの立場なんて考えたことなかった。


「冗談じゃないよぉ。魔族に生まれただけで悪にされちゃたまらないよぉ。」


 そうよね・・・私には面と向かって謝ることは出来ないけど、せめて心の中だけは謝らせて。・・・リュウトは光もそして闇も救おうとしてるのね。ひょっとしたら私たちが思っている世界より・・・リュウトの世界は広いのかもしれない。


今回のテーマは光と闇 正義と悪です。実はこれこの物語の中でたびたび出てくる話だったりします。


ママナ「だから私みたいなキャラもいるのよねぇ。」


・・・あとがきトークだからって自分をさしてキャラって言わないで・・・><


ママナ「まぁまぁ。リュウトなんかも自分が正義とは思っていないんでしょ?」


そのとおりです。彼はあくまで自分の守りたいものを守るって立場です。けして自身を正義としているわけではありません。


ママナ「考えれば考えるほど分からなくなる話よねぇ。ちゃんと決着は着くの?」


一応、この世界での答えは出しますが・・・本当の答えは読者様一人一人に見つけて欲しいですね。何が正義で何が悪なのかっていうのは・・・。


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