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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
4部6章『勇気の意味』
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1話 「話す勇気・聞く勇気」

 ん・・・ぼやけた視界が映る。同じように靄のかかっていた思考が徐々にクリアになって来て・・・


「ちっ!」


 そんな視界の端には苦々しげな表情を浮かべたアシュラがいた。いや、他のメンバーもいるが全員眠っている? ということは俺を含めて全員眠らされていた!?


 その結論に至った時、まるで冷水を浴びたように背筋の冷えと共に意識がはっきりとする。こんな何が起きるかもわからない場所で眠り込んでしまうとは! だが、あたりには危険はなさそうだな? いや、それどころか全員の傷が癒されている? ああ、なるほど・・・


「レーチェルにしてやられた・・・というところか。」


「・・・ふん、奴はいったい何を考えている!」


 怒り心頭と言った感じのアシュラだが、レーチェルの考えが読めないのは今に始まったことじゃないしなぁ。そもそも、アシュラが怒っているんはそんなことじゃない。おそらくは眠らされていたのはアシュラも同じ。プライドの高いこいつにとってはやすやすと眠らされたのは腹立たしいことだろう。


「さぁな、レーチェルの行動はどうにもわからんさ。それよりもまずはみんなを起こさないとな。」


 そう、一見危険はなさそうだがここが敵地であることには変わらない。まずは起こす、そして・・・聞き、話さねばならないんだろうな。




「くっ、またあの女にやられたわ!」


「相手がレーチェル殿では仕方なかろう。あの人をどうにかする手段など私たちにはありはしないのだからな。」


「なによ、アキ! あんたはそれでいいってわけ!」


「ムッ! そうは言っておらぬ!」


 と、起きて状況を理解するなり言い争いをするリデアとアキ。どうしてこの2人はこうまで仲が悪いのだろう? 聞いている限りは2人ともそう意見に相違があるわけではないと思うのだが?


「ム~、でもレーチェル様は無事だってことだよね? ・・・よかった~。」


 ほっとしたような、見るものをはっとさせるような綺麗な笑顔を見せたレミー。なんだかんだ言ってレミーはレーチェルのことを好きで心配しているのだとわかる。だが、俺はひょっとしたらその笑顔を曇らせるかもしれないことを聞かなくてはならない。


「なぁ、レミー・・・」


「ん? な~に、リューくん?」


 聞きたくないと思う俺がいる。見なかったことに、知らなかったことにしておけば今までどうりにしていられるんじゃと逃げようとする俺がいる。


 だが、それではいけない。旅の安全だけじゃない、もしもレミーが知らないというのならばこれは伝えないといけないことなんだと思う。きっと、それはレーチェルではなくてコクトでもなく俺の役目なんだろう。


「レミー、お前・・・堕天使って言葉に聞き覚えあるか?」


「堕天使?」


 レミーはきょとんとした顔で顔を横に振る。こいつは間違っても上手く嘘をつけるタイプじゃない。ならばこれは本当に知らないのだと俺は確信する。それはいつの間にか俺たちを注視している他のメンバー(リデアやアシュラですら)も同感のようだ。


「じゃあレミー・・・最近、いや最近でなくてもいい、意識が途切れること・・・なかったか?」


「・・・うん。何度かあったよ。でも・・・理由はわからない。」


 やっぱりそうか。知らないってことは変化している間の意識がないのではないかと思ったが・・・。これが話に聞く2重人格に類するものか、全く別の現象なのかは今の俺には判断が出来ない。だが、少なくても俺が知っていることは話してやるべきなんだろうな。




「ム~、よくわかんない。」


 静かに話を聞いていたレミーが開口一番に告げたのはこの言葉。正直、ガクッと来るものはあったが、レミーが静かに話を聞いていたというだけでも奇跡的なことかもしれないと気を持ち直す。


「レミー、あのな・・・」


「リューくんはわたしの中に知らないわたしがいたら怖い? もう・・・わたしを・・・妹だと思ってくれない?」


 俺がレミーを妹だと思っているの下りでリデアが騒ぎ出したがひとまずそれは置いておいて・・・俺はどうやらレミーを見誤っていたようだな。能天気で明るくて・・・でも本当はいつでも孤独を恐れている。それは・・・まるで俺のようだ。


「まさか。もう一人のレミーがどんな奴か・・・まだ俺には言えることはほとんどない。だが、それでも信じるさ。レミーがレミーであることには何も変わらない。そうだろ?」


「・・・うん!」


 嬉しそうにうなずくレミーの表情はいつもと変わらないように見えて・・・だからこそ気が付かなくちゃいけなかったんだろうな。レミーの心の内、あいつが呟いた誰の耳にも入らない・・・あまりに小さすぎるその声に。


「わたしの中にいるもう一人のわたし。・・・わたしは一体なんなんだろう?」

というわけで始まりました第6章! リュウトもレミーもお互いに辛い・・・でも避けても通れない。そんな話でした。しかしレミーが珍しくシリアスをしている!?


レミー「ム~、わたしだって悩むことも心配することもあるよ~!」


いや~、今まで出てきた悩みがおやつだとかばっかりだったもので・・・。まぁ、さすがのレミーも悩みますよね、なにせ対象があれじゃ・・・


堕天使レミー「あれ? わたしのことをあれ呼ばわりなんて・・・クスクス、覚悟はいいかしら?」


ひっ!? な、なんで!?


堕天使レミー「なんでって・・・わたしとレミーは同一人物なんだから当然でしょ? まぁ、ある意味別人だけどねぇ♪」


まぁ、そこらへんは追々・・・でも共通項も結構あると^^ ってことでさようなら~!


堕天使レミー「うふふ、幕を下ろそうとしても無駄よ? ・・・逃がさないんだから。」


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