7話 「悪魔と天使の関係」
戦いが終わったばかりとはとても思えぬ雰囲気で話すリュウトたち。下らぬと思う反面、心の底でうごめく感情も確かに感じる。・・・ふん、オレも甘くなったものだ。
だが、真の戦いはまだ終わってはいない。そう、オレが今回戦っていないのはこいつとの戦いが残っているからに他ならない。
「とっとと出てこい! それとも不意打ちなどという下らぬ真似事をするか?」
他の奴らから見れば、唐突に張り上げられたオレの声。唖然とオレの方を・・・いや、さすがにあの2人は気が付いていたようだな。
「ふん、貴様らは気が付いていたようだな。」
「かすかに違和感を・・・程度だがな。」
「おまけにお前が戦おうとしないとなれば何かあると思うさ。」
名にが気に要らぬというのか先に憮然と返したコクトと少々情けなさそうに笑みを浮かべるリュウト・・・まぁ、後者の理由はわからぬでもないが、この気配に気づけるところまで成長しただけでもなかなかとも言えよう。
「ふむ、なるほど・・・我らが気配に気が付くとは思った以上にやるようだな、悪魔よ。」
転移系の魔法だろうか、空間から溶けだすように現れた2人の天使があざ笑うように言う。
「ふん、天使だ、悪魔だとやかましいことだ。そのような下らぬことはどうでもいい。それともやはり不意をついての戦いしかできぬ臆病者か?」
「愚劣な悪魔と言えども、我らをあまり愚弄しないで頂こう。何、あの4人で汝らの相手は十分すぎると思っていたのだがな、想像よりは汝らが強かった・・・それだけのこと。」
「オレたちがあの程度の相手に? ふん、愚弄しているのはどちらだか。いや、相手の戦力を見誤る時点で貴様らの失態に他なるまいか。」
リュウトの奴ならばもっと相手を怒らすようなセリフで挑発するのだろうが・・・もっともどうやらそこまで底の浅いやつらではないようだ。
「くっくっく・・・あっはっは! 認めよう、認めようぞ。だが、我らがここでお前たちを倒せば同じこと。さて、此度の勝負はタッグバトル。我らは見ての通り2人いる。貴様らももう1人出してもらおうか。」
「ならば無論、私だな。」
相手の言葉に即座に反応して出てきたのはアキ。奴のことだ、コクトが、そしてリュウトが傷つくところをやきもきしながら見ていた口だろうから当然ともいえる。
「ふん、オレ1人で十分・・・と本来ならば言いたいところだがあえて敵の舞台に乗ってやるのもまた一興。貴様にも協力とやらをさせてやろう。」
「ふう、相変わらずだな。だが、それでこそそなたとも言える。私としてもここで引き下がるような精神状態ではなくてな、ここは是非にも協力させてもらおう。」
変わらぬ言葉と変わらぬ関係・・・やはりそんなものは存在しないらしい。アキの言葉は字面よりもずっと柔らかな口調と笑みをたたえ、オレもそれを感じて思うものがあるというのもまた隠しきれない事実だ。よかろう、ならば此度の戦い、オレがリュウトに代わりに貴様を守ってやろう。
「くっあっはっは! やはり尊大な態度よな、悪魔よ。そして愚かなり、悪魔に組しす者よ。偉大なる神王に代わり貴様らに天の裁きを・・・!?」
「ふん、敵を前にしてごちゃごちゃと能書きを垂れている奴に言われる筋合いはない!」
リュウトの『刹那』程ではないがオレも高速突撃は得意技の一つ。もっとも2人揃ってかすった程度で後ろに引いたあたりは認めてやらんでもないな。
「くっ悪魔め・・・がはっ!」
なお戯言を言う天使どもを回し蹴りで弾き飛ばす。たしかにオレは悪魔だ。そして悪魔には悪魔の誇りがある。だが
「悪魔がなんだというのだ? 天使がなんだというのだ? 下らぬ、実に下らぬ。天使だろうが悪魔だろうがオレの行く手を遮るものならば戦おう。強者ならばなおよし。そして・・・いや、これこそ下らぬな。」
ふん、オレとしたことがこんなことを言おうとするなどとは。天使にも・・・同じ道を歩む仲間がいるなどと。
「アシュラよ、気持ちはわからぬではないが1人で突っ走るでない。これはタッグバトルなのだ、私の活躍の場も用意してもらおう。」
「ふん、知らぬな。活躍したければ自分で何とかすることだ。」
ふん、戦いなどまだ始まってもおらん。だが・・・何かが変わる戦い、そんな予感が何故かするな。
おまけ
「ねぇ、兄さん? ワタシよりもアシュラの方に協力するってことを教えた方がよかったんじゃ?」
「ん? 大丈夫さ。あいつがああいうのは口だけのこと。こと戦いにおいてあいつ以上な奴などそうはいない。そう、チームバトルやタッグバトルであってもな。」
それでもなお、不思議そうで不安そうな顔をのぞかせるリデアだが・・・見ていればわかるさ、アシュラ流のチームバトルって奴がな。
戦いにおいてアシュラが何もしないはずはない! ってことで珍しいアシュラとアキのコンビでの戦いです。
メイ「まぁ、女王様は意外と器用なところがありますから誰がコンビでも大丈夫でしょう。アシュラ殿も意外と面倒見がいいですしね。」
・・・そりゃメイに比べれば・・・いや、ある意味一番面倒見がいいとも言うし・・・う~ん。
メイ「あら? 何を言うのです? 私ほど妹を大切にしている姉も珍しいと思いますよ?」
たしかにそうなんだけど・・・両極端というか。無敵のお姉さまを地で行くというか・・・
メイ「ふう、まだお分かりでないようですね? 私のイメージアップに協力をしていただけない方は・・・お仕置きです♪」
え゛!? ちょ、ちょっと・・・ちょっとまった~~~!! それは死ぬ! 絶対に死ぬ! だからまっ・・・ぎゃぁぁぁあああ!!
メイ「読者殿も覚えておいてくださいね? 口は災いの元・・・では次回は女王様のご活躍をお楽しみくださいませ。」




