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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
4部1章『天界の異変』
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4話 「星の名を」

 レーチェル神殿から出て1歩。さぁ! じゃあゼウスのところへ・・・アレ?


「なぁ、レミー? ゼウスってどこにいるか知っているか?」


「ム~? リューくんが知っているんじゃないの?」


 ・・・本当に俺は馬鹿か? 目的地だけわかってて位置がわからないとは。う~ん、仕方がない・・・さっきの権天使が逃げていった方向にいってみるか。奴が真実ゼウスの元に行ったとも、そうだとしても真っ直ぐに行ったとも限らないのだが闇雲に歩くよりは幾分マシなはず。


「・・・とりあえず、さっきの天使が逃げていった方向にいくぞ。」


「あっ、そうか! きっとそっちの方向にゼウスはいるんだよね! リューくんあったま良い!」


 ・・・これぐらい単純な頭をしていれば悩みもないんだろうけどなぁ。いつかとんでもない地雷踏みそうで怖いけど。いや、こいつなら思いっきり踏んで爆発しても気がつかないかも知れない。それに・・・レミーの立場で神々の王のゼウスを呼び捨てにして良いのだろうか? まぁ、一応は神の俺もそうかもしれないが、やっぱり気がつかずに地雷踏んでいるかもな。


「・・・ねぇ、リューくん? なんか妙な気配感じない?」


「・・・レミーもそう思うか? 出来れば気のせいであって欲しかったんだが。」


 俺たちがこの方向に進みだしてから露骨に感じる視線。それも10や100なんて数じゃない。少なく見ても万は遥かに超える・・・。だが、俺がどうにも確信を持てなかったのはそこに敵意・・・いや、感情を感じないからだ。俺の気配探知網は敵意のないものや知人以外には感度が鈍い。


「だがなぁ、敵対しているものが『操られた存在』だということを考えると敵意がなくても不思議はないんだよなぁ。」


「ム~? そうなの?」


「そうなんだ。」


 レミーには細かく説明するよりもフワッとした説明の方が理解されるらしいということが最近わかってきた。・・・単純に判った気になっているだけとも言うが。しかし、この監視は厄介だな。こちらからは感知しにくく、何時襲われるかもわからない。こっちから気づきしだい攻撃していくって言うのもやりたくないし・・・。


「!? リューくん!」


「わかっている! まさか早速仕掛けてくるとはな!」


 いや、全体が襲ってきているわけじゃない? 一部はどこかに飛び去っているな・・・。これはさらなる援軍があると見ても良いかもしれない。ちっ! たしかに気配だけから判断すると大した実力の奴らとは思えないが、まさに捨て駒ってわけかよ! 気分が悪いぞ!!




 一方、こちらのチームは


「こ、これは一体どういうことじゃ!?」


 私たちがやってきたレーチェル神殿。見る影がないと言うか、場所を間違えたかと本気で思うほど変わり果てている。何事か起こっているとは思ったけど、ここまでの事態だとは予想もしてなかった。・・・おかしいわ。ここまでの事態ならなんでレーチェルさん本人がもっと大々的に動かないの? なにか裏でもっととんでもないことが起きているんじゃ?


「ふん、建物などどうでもいい。だが、人の気配がまったくせんな。どうやらここにはリュウトたちはいないらしい。」


 淡々と話すアシュラだけど、ほんのちょっとだけ表情が変わった。それは手がかりがなかったことになのか・・・それともあの子の安否を気遣ってのものなのかどっちなのだろう?


「うむ、だがこの場にリュウトがいたのは確かだな。まだ僅かに気配が残っておる。」


「ほう? 貴様はリュウトに対してのみは優れた感知能力があるな。では、今どこにいるかはわかるか?」


 う~ん、リュウトもよく『俺に対する探知ばかりどうしてそう鋭いんだ?』なんて聞いてたけど、そんなに異常なのかな? わ、私は、あ、愛する人のことが判るのは普通だと思うんだけど。でも


「だ、駄目じゃ。それほど離れてはおらんと思うのじゃが、なにか妙な隔たりを感じおる。」


「ふむ、それは天界を包む込んでいる結界の所為だろうな。普段から結界自体はあったが、妙な細工がされているようだ。」


 そ、それが私とリュウトの繋がりを阻害しているの? せ、せめてリュウトが力を使ってくれれば! 気配が強くなれば感知・・・!?


「いや! 見つけたぞ! ここからこの方向はどっちだ? ええい、この方向に100キロちょいのところで戦っておる!」


「・・・わかった。ではいくぞ。・・・どうした? 早く乗れ!」


「う、うぬ? それは、私に負ぶされと?」


「ふん、貴様の足でのんびりいくというのならそれでも良いがな。おいてかれて泣くなよ?」


 だ、誰が泣くって言うのよ! でも、確かに私の足よりもアシュラの方が遥かに速い。ちょっと悔しいけど私じゃ1時間ぐらいかかるけど、アシュラなら1分もかからないのは事実。ここは実を優先しましょう。


「いや、頼む。」


「ふん、全力でいく。落ちるなよ・・・。」


 待ってて、リュウト! レミー! すぐ、すぐ助けに行くから!!




「くっ! 竜神流! スタースクリュー・タイプA! 竜爪閃!」


「ム~! シャインショットだよ~! ま、まだこんなにいるの~!?」


 わらわらとどこから出てくるんだって思うほど溢れかえる天使たち。おそらくかなり下級の方の相手のようで1人1人は怖くないが、これでは手加減している余裕なんて・・・いや、威力自体は大分抑えているぞ? 本気で撃っていたらあっという間にこっちがばててしまう。だが、上手く力をコントロールして気絶レベルに全員を抑えていられるわけではない。・・・おそらく、かなりの人数が・・・くそっ!


「ファイヤーバード!」


 突然聞こえた聞き覚えのある声。・・・まさかという思いと、背中を伝わる冷や汗を感じるが、空を舞う8匹のフェニックス・・・この技を使えるのはあいつしかいないよなぁ。


「大丈夫か!? リュウト! レミー!」


「あーちゃん! それにアーくんも!!」


 予想通りのアキとそのアキを背負ったアシュラ・・・アシュラはちょっと予想外だったがおそらくメイあたりが手を回したんだろう。


「ふん、詰まらん相手と戦っているようだな。」


 まぁ、たしかにアシュラからみればそうだろうな。スタミナの多い長期戦タイプのアシュラから見れば苦戦する要素など何もない相手だろう。そして


「言いたいことは多々あるが、まずはこの場を何とかしよう。ここは私に任せておれ。」


 アキ? キミは俺ほどじゃないが短期決戦スタイルだったはずだが?


「フフフ、私とて新技の一つぐらいは作っておる。・・・星の子の祈りを受けて、大いなる光よ、万の敵を打ち倒す戦輪となれ! スターループ!」


 キュルキュルと高速に回転する光の輪・・・それが無数にアキの周りに生じる。そして器用に俺たちだけを避けて縦横無尽に動き、敵を打ち倒していく。まさか・・・自動追尾型の技なのか? 数多くいた敵はあっという間に数を減らし・・・あたりに静寂が戻るのはそれからすぐのこと。


「アキ・・・それは?」


「え、えっと・・・ほら? リュウトの技にあったであろう? スタースクリューって技が・・・。だから少々名前を借りさせてもらった。」


 おお、それで! じゃなくて!


「いや、名前は別に良いんだけどな。」


「えっ!? わ、技の方か? ウム、私も常々思っていたのだ。私たちの中には安全に広範囲を攻撃できる手段が乏しいのではないかと。」


 まぁ、広範囲系の攻撃といえば各属性の爆発魔法やらレミーのウォーターランダムショットやら味方を巻き込む技ばっかりだからなぁ。


「この技はそういった欠点を埋める為に作った技で、私の周囲・・・1キロほどの私が敵と認識しているものを高速自動追尾するという性質がある。その反面威力は大分低いがコストも低く、数も多いゆえに総合的な威力はなかなかだと思っておる。」


 なるほど、確かに便利な技だな。今までにも実力的には怖くなくても数が多いって相手には苦しめられたことがある。他にも多々応用のし甲斐がある技だしな。


「ところで、なにゆえ天使たちと戦っておったのだ? 状況がわからぬゆえに命までは奪わぬように戦輪たちには指示しておいたが・・・問題だったじゃろうか?」


「いや、むしろ助かったよ! しかし、そんな細かい指示まで出来るんだな。・・・で何があったかというとだな。」




 そして


「ふむ、なるほど。状況はわかった・・・でだ! なんでそなたは私を置いていったのじゃ?」


 ・・・あ、アキ? 確かに口調は優しげなんだが・・・その、目が怖いぞ? あははは、これは本当の戦いはこれからだってことかなぁ? だ、誰か助けてくれ~!

アキが新技を引っさげて合流です!


リュウト「た、たしかにあの新技は凄い。それは認める! アシュラが目立っていないのも相手が相手だからわかるが・・・」


ん? わかるが??


リュウト「アキがやってきたほうが俺は大ピンチなんだが!?」


ん~、それは黙ってやってきたのが悪いということで^^ 自分だって同じことをアキにやられたら怒るだろうに。


リュウト「そ、そりゃそうだが・・・。しかし、アキは女王で俺は騎士なんだぞ! アキを守りたいと思うのは・・・」


それで大人しく引くような女王様じゃないでしょう、彼女は。まぁ、死ぬことは(きっと)ないさ。頑張ってお勤め果たして来い!


リュウト「お勤めってなんだ~~~!!」

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