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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
4部1章『天界の異変』
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1話 「はじまり」

 それはほんの僅かな違和感から始まった。


「レーチェル様・・・最近みんなの様子なんかおかしくないですか?」


 そう不安そうな顔を見せて私に聞くのはレミー。この子も見ているところはちゃんと見ている様ね。でも、ちょっと聞いてみようかしら?


「おかしい? 具体的にはどんな感じかしら?」


「ム~、良くわかりませんが・・・何となく変だなぁって感じです。」


 ・・・ようは勘で察知したのね。これは褒めるべきか呆れるべきかどっちなのかしら?


「まぁ、察知したって事には変らないから良しとしておきましょう。レミー、詳細は教えられないけどね・・・おそらく数日中に大きな異変が起きるわ。そしたら、私もコクトくんも無視してすぐにリュウトくんに助けを頼みに行きなさい。わかったわね?」


「ちょ、ちょっと待ってください! レーチェル様の方がリューくんより強いじゃないですか!? なんで、リューくんに・・・」


「レミー・・・2度は言わないわ。いいわね、すぐにリュウトくんに助けを求めること。わかった?」


「わ、わかりました・・・。」


 ふぅ・・・まさか、こんな手段でくるとはね。遊んでいる? それとも、他の何かを狙っている? でもね、リュウトくんはあなたの思い通りにはならないわ。だって、あんなに頼もしい仲間がいるじゃない。直接じゃなくても・・・私もあなたの力にならせて貰うわ。




 そして数日が過ぎて・・・


「せ~んぱい! おはようございます!」


 みーちゃんが背中からわたしに抱きついてくる。やっぱりおかしいよ、みーちゃんは確かに明るいけど、こんな事をする子じゃなかったはず・・・。


「ど、どうしたの? みーちゃん??」


 あ、あれ? 体が上手く動かないよ?


「フフ、先輩動けないでしょ? 私、教わったんですよ~。こうやって抱きつくと~、よっぽど力が強い人じゃないと動けないんですよ~。」


 み、みーちゃん!? い、一体どうしちゃったの~!


「あはは~、せ~んぱい? 先輩も私たちの仲間になりましょうよ~? うんって言ってくれなかったら・・・折っちゃいますよ?」


 みーちゃんが私の首の辺りをつつく。・・・折るって・・・首? え~? いくらわたしでも首を折られたら死んじゃうよ~! たぶん。


「はい、そこまでよ。」


 あれ? 急にみーちゃんがいなくなったよ? あれ? 正面に? みーちゃんもわからないって顔してるし? それにさっきの声は・・・レーチェル様?


「強制転移で関節が極まってるのを抜けさせるってありですか? レーチェル様?」


「さぁ、どうかしら? どこかに反則とでも言えば、なかったことになるのかしらね?」


 レーチェル様もみーちゃんも笑顔だけど・・・なんか怖いよぉ~。


「レミー! 何をやっているの! 言ったでしょ!? 異変があったら彼のところへ行けって!」


 え、えっ? これが異変なんですか!? りゅ、リューくんに助けを求めに・・・


「そうはさせませんよ、出てきてちょうだい!」


 みーちゃんの言葉と共に周りから天使がいっぱい・・・でも、みんな目がうつろな気がする。


「あらあら、随分数をそろえたのね? でもね、私の転移を甘く見てるでしょ?」


 えっ? 視界が揺らいで・・・うにゃぁぁぁぁ! れ、レーチェル様~! なんで空なんですか~~~!!




「さ、それで次はどうする気かしら? もっともあなたに問うても仕方ないのかもしれないけどね。」


「そうでもありませんよ~。私はちゃんと自意識ありますから。でも、そちらもどこに先輩を転移させたかは教えてくれませんよね?」


 自意識がある? なるほど、なかなか面白いわね。答えるかはわからないけど、聞いてみようかしら?


「教えるぐらいなら転移はさせないわね。で、自意識がありながらあなたは何の為に行動しているのかしら?」


「知りませんよ~。私はあの方に忠誠を誓っているだけですもん。」


 あの方・・・私やコクトくんが警戒しているあいつとは違うわね。いえ、間接的には関わっているのでしょうけど・・・これだけのことが出来る存在となると限られてくるはずね。


「忠誠? 洗脳の間違いじゃないかしら?」


「そうかもしれませんね~。でもどっちでも同じですよ~。今の私はあの方のお役に立つことしか考えられませんし、すっごい幸せですから。」


 ふ~ん、本当に面白いわね。自身が操られていると自覚しながらも、それで良しとしているわけか。大元を倒すしかないんでしょうけど、まずは天界の司令官から倒さないと駄目でしょうね。


「レーチェル様~? 先輩には逃げられちゃいましたけど、レーチェル様も仲間になりましょうよ~。今までの生活が馬鹿みたいに感じますよ~。」


「残念だけど、私は今の自分が気に入っているの。それに・・・まだライオスの遺志を捨てる気もなくてね。」


「じゃあどうします? 私たちを殺しますか? レーチェル様にとっては私たちはただ操られているだけですよねぇ? 私たちは兵であると同時に人質ですよ~。」


 ホント、上手い手だわ。リュウトくんなら手が出せなかったかもね・・・そう、リュウトくんならね。


「フフフ、じゃあ抵抗できないぐらい痛めつけちゃいますね~。『ライトキャノン』!!」


 一斉に周囲の数十人の天使から繰り出されるライトキャノン。・・・この子は私を馬鹿にしているのかしら? それとも洗脳って知能低下でも引き起こすのかしらね? 転移で避けるまでもない。もし、何の能力もなくてもこの程度じゃ問題になるほどのダメージは受けないわ。それにね・・・


「えっ? 何が起きたの!?」


「下調べはしておくものよ。私が光の魔法を全反射できるのは結構有名な話よ? どれほど数が多くても光の魔法じゃ私にはダメージは与えられないわ。さ、じゃあお仕置きの時間よ?」


 手にほんのちょっと力を込める。そうほんのちょっとよ・・・私にとってはね。


「あ、あの・・・レーチェル様? それ、私たち死んじゃいますけど?」


「大丈夫よ、この程度で死ぬような柔な天使を抱えたつもりはないわ。・・・万が一があったら柔な体をしてたのと簡単に洗脳なんてされた自分を怨みなさい。」


「あ、あなたは鬼ですか~~~!!?」


 一瞬の閃光が晴れて・・・


「ほら? 生きてたでしょ? って聞こえてはいないか。う~ん、あっちの子はちょっとまずいかも? あっ、向こうの子は・・・見なかったことにしましょ。」


 さすがに魂が消し飛んじゃっているのはどうにも出来ないわ。しかし、もうちょっと手加減するべきだったかしら? 私の神殿まで・・・壊れちゃったわ。


「う~ん、リュウトくんが来る前に雲隠れしたいところだけど・・・簡単な治療と何人かの死体の隠滅はしとかないとまずいわね。神殿の修復は諦めましょう。」




「リューく~ん!!」


 ん? 空から聞こえるはすでにお馴染みになった感がある声。・・・だが、いつもよりも余裕のない気がするな?


「ほいっと。で、どうしたんだ?」


 空から高速で降りて・・・いや、落ちて来たレミーを受け止めて俺は聞く。聞かなくてもただ事でないのは、その雰囲気や顔からもわかるがな。・・・さすがにこれでおやつが~とかなんとかってことだったら怒るぞ?


「あ、あのね! わ、わたし良くわからないんだけど!!」


「落ち着け。ゆっくり話してくれれば良いから。」



 ・・・レミーの話は要領を得ない点が確かに多かった。本人も言っているようにレミー自身が理解できていない点が多いのだろう。だが


「おそらくそのみーちゃん? って言う子は何者かに操られているんだろうな。」


 とりあえず俺の出した結論はそれだ。多少の違いはあるかもしれないが大筋では間違っていないはず。そして、レーチェルはそのことに大分前から気がついていたはず。その上で対処をしていなかったということは何かを探っているのか、俺に解決させることに意味があるのか・・・いずれにしても相当数がすでに操られている状態であり、俺に行かないという選択肢がないと見るべきだろうな。


「よし! とりあえずはレーチェルの神殿に行くぞ!」


「えっ? その、あーちゃんたちは?」


「こんな得体の知れない状況にあいつを連れて行けるかって。心配はかけちまうが、言ってから行くとあいつはついてくるからな。とりあえずは黙っていくぞ。」


 こうして俺の新しい戦いの日々が始まることになる。

さぁ、始まりました! 第4部!!


レーチェル「うん、やっぱり私が最強ね。」


まぁ、確かに。ですが、4部が始まっていきなり犠牲者が出ているんですが(汗)


レーチェル「・・・そんなの知らないわ。」


し、知らないって! まさか、神の癖に闇から闇に葬る気じゃ・・・


レーチェル「世の中にはね、尊い犠牲っていうのはつき物なのよ。私の名誉を守る為に作者くんの命が犠牲になっても仕方ないことなのよ・・・。」


尊いってあなたがちゃんと加減していれば・・・ん? 作者の命? って僕の口封じをする気か!? いやいや、あんたの名誉と僕の命を天秤にかけないで><


レーチェル「かけてないわよ? だって、私の名誉>>>>>>>>>>>>>>>>あなたの命・・・でしょ? 天秤なんかにかけるほどつりあってないじゃない?」


・・・それはレーチェルの名誉が重いのか、僕の命が軽いのかどっちだ?


レーチェル「ん~? 両方かな♪ 納得がいったところで逝って来なさい♪」


納得がいくか~~~~!!


レーチェル「さて、一丁上がり♪ じゃ、また次回もよろしくお願いね♪」

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