表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
3部9章『永遠を求めて』
218/1378

2話 「姉として」

 

 はぁはぁはぁ、迷いの森を私はひたすらに走り続ける。目指すはここから1000キロ北、往復2000キロってことを考えると4日はかかると見たほうが良いと思う。きっとリュウトとお姉ちゃんは心配するよね。お姉ちゃんはそれにプラスで怒るよね。でも、それでも私は止まれないの!


「ア~キ~、そんなに急いで何かあったの? そもそも1人で出歩いてるなんて珍しいよね?」


 だからかな? まったく近くにいたママナに気がつかなかったの・・・。


「ま、ママナ!? そ、そのじゃな・・・そう! ちょっと急用があって急いでいるのじゃ! で、ではの!!」


 ママナに知られるとそのままリュウトにばれる危険性が高いから。私とリュウトじゃ圧倒的にリュウトの方が足が速い。ここでばれたら確実に連れ戻されてしまうの。そのためにわざわざリュウトに感知されない場所を選んで走ってきたんだから! そう、今の私ではずっとリュウトの傍にいられない。そんなの嫌なの・・・だから私はママナに背を向けて走り出したの。




 う~ん、なんかアキの様子おかしかったよねぇ? よし! ここは着いていくとしよう! コーリンさん直伝の隠密術ならアキには見つからないよぉ~! 空飛んでいけば移動速度だけならアキよりも私は速いし! それにイザとなったら・・・




 一方、それからしばらくたち日も落ち始めたエルファリア宮殿では


「ん? なんか騒がしいな?」


 俺が鍛錬から帰ってくると宮殿がいやに騒がしい。嫌な予感がするな、以前こんな感じだったときはアキが風邪で倒れた時だった。・・・というよりもエルファリア宮殿に常時いるメンバーで問題を起こすのはアキかメイぐらいなものだ(リュウト殿? なんでそこに私が入っているのでしょう? むしろそこはあなたではありませんか? メイ談)。レミーやレーチェルでも来てるならその限りではないが、そんな気配は感じないしなぁ。


「あ! 竜神様! 女王様を! 女王様をお見かけしませんでしたか!?」


 俺の顔を見るなり血相を変えて迫ってくるメイド・・・俺と話すのはいつもこの子のような気が・・・いや、そんな場合じゃなくて


「いや、見てない。まさか、アキが?」


「はい、お姿が見えないのです!」


 誘拐? いや、俺の察知網もあり警備もしっかりしている・・・まして誘拐ならば今までなんの声明もないのもアキが大人しく捕まるのも解せない。ということは・・・


「ええ、アキは・・・女王様は自分からどこかへ行かれたと思います。リュウト殿、心当たりはありませんか?」


 俺の考えを先読みしたのはメイ。さすがの彼女も焦りの色が隠せないみたいだ。今までにもアキがいないことはあった。この国のためというだけなら手はいくらでもある。だが、俺と彼女にとっては代わりなど世界中探してもいないのだから・・・


「いや、すまないが皆目見当がつかない。」


 突然の事態に気ばかり焦る。落ち着け・・・そうだ、今朝アキの様子はおかしかったじゃないか! たしかあの後、アキの気配は蔵書室のあたりでしばらくの間、感じられたな。


「ひょっとしたら情報を持っているかもしれないものがいる。すぐに当たってみる!」




 そして蔵書室


「ミル! いるか!!」


「きゃ! りゅ、竜神様? ど、どうかなさりましたか?」


 入るなり大声で声をかけた俺に司書員のミルが驚きの声をあげる。俺はこの部屋にこもっている時間がそれなりに多いために仲良くなったのだが


「そろそろ竜神様って言う呼び名は・・・いや、そんな場合じゃない。今日、ここにアキが来ていただろ? その時に何か変ったことなかったか!?」


「え、ええ。たしかに女王様はおいでになっていましたが・・・」


「そ、それでアキは! 女王様はどんな様子でしたか!?」


 ミルの発言を遮るように言ったのはメイ。どうやら俺の後を着いてきていたらしいな。こんなにも余裕のないメイは珍しい・・・いや、メイの気配に気づかなかった俺も同じか。


「め、メイ様!? え、えっと・・・女王様は神族のことを、特に不老の力についてお調べしていたようで・・・。私が不老の力を手に入れられるという森の御伽噺を話したら出て行かれましたが・・・」


 !? 不老の力・・・まさか、アキ・・・キミは。


「不老の森? というとここより北に1000キロほどのところにあると言われているあの森のことですか?」


「は、はい。そのとおりです。」


 不老の森? そんな地名は聞いたことがないのだが・・・いや、御伽噺だと言っていたな。通称のようなものなのかもしれない。


「メイ? 知っているのか?」


「ええ、エルフ族なら多くのものが知っていると思います。ですが、あの子は・・・女王様は幼い時から女王としての責務やその前は適正を図る試験・・・さらには私たちの親が早くに死去しており、私も御伽噺(怪談は反応が楽しいからよく聞かせてたけど)を語って聞かせる余裕はありませんでしたので・・・。」


 なるほどな。とりあえず、アキがどこに向かったのかはわかった。問題は・・・


「そこは危険なのか?」


「わかりません。もう大分昔から聖域とされてきた場所ですので。ですが、そこが聖域とされたのは不老を求め入った者が帰ってこない・・・その危険ゆえという説も確かにございます。」


 だったら、悠長に構えているわけには行かないか。できれば森に入る前に捕まえる! 最悪でもアキに危険が迫る前には何とかしなくちゃいけないな。


「よし! わかった。なら俺がアキを連れ戻してくる。俺の足ならばまだ追いつけるはずだ!」


 アキも俺の仲間の一員。たしかにあのメンバーの中では一番遅いがそれでもそこいらの兵なんかよりはずっと速い。こちらが出遅れている以上は俺以外ではまず追いつけないだろう。・・・もっと速いアシュラや転移が出来るレーチェルが協力してくれれば話は別だが、そんなことを手伝ってくれる奴らじゃないからなぁ。特にレーチェルは手伝う気ならとっくに自分から出てきているだろうし。


「リュウト殿! ま、待ってください! 私も、私も一緒に行きます!」


 出て行こうとする俺に慌てて声をかけるのは勿論メイだ。・・・だが


「メイ・・・キミまでここを離れたら誰が・・・いや、わかった。」


 誰が指揮を取るのか。そういうつもりだった。だが、そんな真剣な目をされたらそんなことはいえないな。ここにいるのはメイド長のメイじゃない、アキ=シルフォードの姉であるメイ=シルフォードなんだから。


「ありがとうございます! リュウト殿!!」


「だが、早くアキに追いつかないといけないからな。ずっとおぶっていくぞ? 無論、速度も緩めない。速すぎるなんて泣き言は聞かないからな。」


「勿論です。追いつくまで全力で走り続けてもらわないと困ります。」


 お互いににやりと笑う。アシュラやアキとは別の意味で頼りになるパートナーだな。さぁ、行こう! 俺たちの大事なものを取り戻すために!!


アキ&ママナ(勝手についてきてるだけ)チームとリュウト&メイチームの鬼ごっこの様子を呈してきました!


ママナ「ぶ~! 勝手についてきてるって何よ~。私はアキを心配しているんだよ~! ちゃんと切り札だって持っているんだから~!」


で、でもアキとママナじゃ実力が大分・・・


ママナ「戦う力だけが大事じゃない・・・リュウトの言葉、私は忘れてないよ。大丈夫、戦えなくても守る力はあるよ。私はリュウトのお姉ちゃんだもん、メイさんがアキの幸せを守ろうとするように私もリュウトの幸せを守って見せるよ。だって、それが私の幸せだもんね。」


・・・ある意味、一番姉らしいのはママナなのかもしれないな。


ママナ「えへへ、嬉しいなぁ。でもね、そういうことをいうときは周りを見たほうが良いと思うよぉ?」


えっ? ・・・あわわわわ(ガクブル)


メイ「それは私よりもママナ殿の方がいい姉ということでしょうか?」


マリア「リュウトくんの姉は私! って何回言えばわかるのかな~♪」


そ、それは・・・その~~~・・・


メイ「では、少々こちらに・・・」


マリア「来てくれるかな~♪」


い、嫌だぁ~~~~!!


ママナ「ってことで今回は私がしめるよ~。ひた走るアキと追うリュウトたち! そして見守る私、3者3様の物語を楽しんでね~。バ~イ♪」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ