4話 「レミーのお仕事」
「・・・ミー・・・レミー・・・なさい!」
うう、一体誰~。なんなの~?
「レミー! いい加減に起きなさい!」
うひゃあああ! つ、冷たいよ~! あれ?
「レミー、ようやく起きたわね!」
レーチェル様? ・・・あっ! そうだ! わたしはレーチェル様のライトキャノンの連発を受けて気絶して・・・あれ? その後も何かあったような?? よくわからない。まぁいっか♪
「でも~、レーチェル様がわたしを気絶させたんじゃないですか~。」
「あら? 私は気絶して良いなんて言ってないわよ? ただの特訓で勝手に気絶したんだからあなたの責任♪」
笑顔でニコニコと話すレーチェル様だけどレーチェル様と戦って気を失わない方法と人がいたら教えて欲しいの。
「さてと、じゃあ私は仕事に戻らせてもらうわ。勉強はまた明日ね。」
うう、また明日もアレあるんですか~!? もうしばらくは本なんて見たくないよ~!! はぁ、今日はすぐに帰って寝るの~。
「ああ、倉庫の書類の整理お願いね。その後この手紙をリュウトくんのところへ届けてちょうだい。それが終わったら帰っても良いわよ。」
・・・そうだよね、レーチェル様がそんなに甘いわけなかったよね・・・。
というわけで倉庫にやってきたよ~。倉庫の入り口、未分類とかって書いてある箱の中の書類を重要度別、日付順に片付けておくのも見習い天使の仕事。というよりも見習いのうちは下界には基本的に関わらせてもらえないから、これが主な仕事ってことになるのかな?
・・・えっとね、なんか不安そうな視線を感じるんだけど重要度を判断するのはわたしじゃないよ? というよりも書いてあることが難しすぎてわたしにはさっぱりわからない。お菓子の供給とかだったら迷わず最重要のSSの箱に入れるんだけど、そんなのは見たこともない。あ、じゃあ誰が判断してるのかって言うと~、下級天使ってクラスの子がね内容を見て判子を押してあるの。だからわたしは判子と日付だけ見ればOK!
「ム~、でもなんでこんなに多いの~!!」
大き目の箱3つにめいいっぱい入っている書類! 他の見習い天使は何してるの~! ってレーチェル様付きの見習い天使はわたしだけだった・・・。うう、これというのもレーチェル様があんまり天使を召抱えていないからだよ~。原因はレーチェル様の過酷な特訓が怖がられて天使がやってこないからなんだけど・・・。
「きゃあ!」
綺麗に磨かれた床につるって滑って舞い散る書類・・・。うう、何時になったら終わるんだろう。
・・・結局わたしが終わらせたのは夕日が綺麗に見える時間だったの。でも、後はリューくんのところに行けば終わり!
「リューく~ん!」
いつもどおり下界にダイブ! 森で鍛錬をしていたらしいリューくんは以前(番外編 『ゲームを作ろう』参照)と違ってリューくんは落ちてきたわたしを受け止めてくれた。
「えへへ、今日は受け止めてくれたんだね、リューくん♪」
「ん? ああ、今日はアキが近くにいないからな。両方は難しいがレミーだけなら何とかなる。・・・ところでなんで毎回落ちるんだ? 毎回言っている気がするが、その羽は飾りか?」
ん? そういえばわたし飛べたっけ! えへへ、どうも忘れちゃうんだよなぁ。
「う~ん、やっぱり10分ぐらいじゃ思い出さないよ~。 でね、今日はリューくんにこれを届けに来たの! はい、レーチェル様からだよ。」
リューくんがなんか微妙な顔をしながらも、わたしが渡した手紙を受け取る。ますます可笑しな顔をしていたリューくんだったけど、最後の方に柔らかい笑顔になって
「レミー、今日は時間あるんだろ? 今日は俺が食事を作るつもりだから久しぶりに食べに来いよ。積もる話もあるだろ? お互いにな。」
「うん!」
リューくんのご飯は美味しいもん! 行かない理由なんてないよ~!
でね、エルファリアでリューくんのご飯を食べながら、あーちゃんやめーちゃんたち・・・勿論リューくんともいっぱい喋って、すんごく楽しかったよ。
「そうか、もうじき昇級試験があるのじゃな? 私たちの仲間だったそなたが何時までも見習いというのも具合が悪い。私も応援するゆえに受かってくるのじゃぞ?」
「そうですね、レミー殿? 私たちには天使の試験のことはわかりませんが、合格をお祈りしております。」
「辛いと思うことがあったらいつでも来い。俺たちはこれまでも、そしてこれからも仲間だし、レミーは俺の妹なのだろう?」
みんなが優しい言葉をくれる。そうだよね、わたしはもうどんな時でも、どんなことでも1人じゃない。うん、もう1人で抱えていなくちゃいけないことはないんだよね? さ~、明日からも頑張るぞ~!
ん? レミーが俺に届けたレーチェルの手紙には何が書かれていたかって? 別に大したことじゃないさ。そこに置いてあるから読んで行っても良いぞ?
リュウトくんへ
お久しぶりね。今日はちょっとお願いを聞いてもらえないかしら? 実はね、レミーがもうじき昇級試験を受けるのよ。私は教える側、そして上司として甘い顔は出来ないから、あなたたちに少しレミーを慰めて欲しいの。
あの子は本人も気づいてないのか、妙に我慢強いところがあって表には出さないけど、それなりにストレスを抱えちゃっているはずだからね。じゃあ、よろしくお願いするわ。
それと、たまにはあなたたちも遊びに来なさい。息を抜かなきゃいけないのはあなたたちも一緒よ? 何時来てもしっかり歓迎させてもらうわ♪
レーチェルより♪
ん? この手紙が来たからあんなことを言ったのかって? まぁ、きっかけではあるさ。だが、俺もアキもメイも嘘もお世辞も下手な慰めも言ったつもりはないぞ。全部、心からの本心。それだけは間違いないことだ。手紙なんて来なくても・・・今の状況さえわかっていたら同じことをしていただろうさ。もっとも、気づけなかった時点で仲間としても兄としても情けないのかもしれないけどな。
そうそう、レミーには内緒にしてやってくれ。レミーもだが、こんな気遣いをしたなんてことがばれるとレーチェルが恥ずかしがるからな。・・・その反動で何かとんでもないことでもやられたら洒落にならんし。
レミーのちゃんとお仕事をやってい・・・る?
レミー「ム~! なんでそこで疑問系なの~!?」
いや~、だってやっているのは書類の仕分けとお使い? 仕分けの方は機械的に分けるだけで誰でも出来るものだし、これを天使の仕事って言うのはちょっと違和感が・・・。
レミー「ム~! それでも誰かがやらないと駄目なの! これも立派な仕事だよ~。」
まぁ、確かにそうですね。これをより効率化ってことが出来るわけではなし、裏で黙々とやる縁の下の力持ちってやつですね。
レミー「えっへん、レミーちゃん力持ち♪」
いや、物理的な力ではないのだけど・・・。え~、今回はレミーを取り巻く環境的な話ですね。持つべきものはやっぱり仲間なのです!
レミー「うん、やっぱりね人も天使も神様だって1人じゃ生きられないの。わたしは皆がいるから生きてられるしレミーなんだよ。だからきっと、わたしも皆を皆らしくしているものの中の一部なんだと思うの。・・・そんなに大きくないかもしれないけどね。」
いや~、レミーはかなり大きいほうじゃないかな?
レミー「ホント!?」
うん、いるだけで回りはハラハラドキドキ。いろんなトラブルを巻き起こしているんだ、良いほうにも悪い方にも影響力大でしょう!
レミー「・・・サーくんの・・・サーくんの馬鹿~~!!」(作者を殴り泣きながら走り去る)
グハァ!? れ、レミー・・・自分の力が普通ではないということぐらい・・・気づいてくれ・・・><
レーチェル「さ、作者くんが気絶したところで今回はお開き。次は自宅・・・ってことはあのレミー至上主義者が出てくるわね(汗)」




