2話 「VSレーチェル」
・・・アレ? ここは・・・レーチェル様の特訓部屋?
「ようやく気づいたのね。さぁ、次は特訓よ・・・あなたには強くなってもらわないとね。」
「ええ~!? と、特訓ですか・・・。」
レーチェル様の特訓は特訓の名を借りた実戦もしくは拷問だってみーちゃんも言ってた・・・。今日は水攻めですか~? それとも矢の雨? 火あぶり? うう、どれが来ても命がけだよ~。
「そうね、今日は久しぶりに私との一騎打ちにしましょうか。」
その言葉を聞いたわたしの目からはきっと滝のように涙が溢れてたと思うの。だって、レーチェル様と戦うのが一番危険が大きいんだよ~。
「あらあら、大丈夫よ? 手加減はしてあげるから!」
手加減してもレーチェル様はわたしどころかリューくんたちよりも強いじゃないですか~~!!
「うう、私もね、ホントはこんな事したくないのよ? でもね、これもあなたのためなのよ。」
レーチェル様~、いくらわたしでもそれは騙されませんよ~。せめて、せめて涙をぬぐうしぐさの下の楽しそうな笑みぐらいは隠してください・・・。
「と、言う訳でいくわよ♪ シャインレイン!」
うわわ、いきなりですか~~!? た、たしかレーチェル様が言うにはこの技の対処法は・・・
「ウォーターシールドです!」
良くわからないけど、水の盾は光を屈折?とかなんとかで光の防御に優れているとか・・・言ってたような気がするの。
「レミー、守るだけじゃ駄目なのよ? ライトキャノン!」
「きゃぁあああ!」
シャインレインは上空からの雨のような光を撃ち降ろす技、ライトキャノンは横に打ち出す圧力の高い光。シールドを上に向けてたわたしは思いっきりライトキャノンの直撃を受けたの。
「レミー、せめて私にオリジナルの技を使わせる程度には善戦してみせなさい。」
そう、シャインレインにしてもライトキャノンにしても基本技だよ~。つまり、レーチェル様はまったく本来の戦い方をしてないってことで・・・
「ム~、じゃあ! これでどうですか~!」
ちょっと卑怯かもしれないけど、わたしと話すために近づいてきたレーチェル様を水で作った剣で斬りかかった・・・んだけど
「えっ?」
レーチェル様は剣が当たる直前にフッと消えるようにいなくなって・・・な、なんで!? 今のは幻には見えなかったよ~!?
「ん~、あんなにわかり易い挑発にあんなに単純な攻撃を仕掛けるようじゃまだまだね。いい? 水の力は幻惑・・・と『転移』よ。水は変幻自在、実体も幻もどこからともなく現れ消えていく。水ほど戦術と戦略が重要な属性はないと知りなさい。」
うう、良くわからないけどレーチェル様は転移魔法で避けたってこと? ム~、だったら~!
「ウォーターランダムショット~!!」
元々狙いなんてないこの技だったら問題ないよ~! あれ?
「あのねぇ、狙いもつけずに辺りにばら撒くなんて・・・自分よりも弱い相手の群れを蹴散らすならまだしも自分よりも強い1人に使うような技じゃないわ。」
レーチェル様はあっさりとウォータショットの連撃を興味さえもないという感じで転移してきてわたしの体を蹴りつけて来た。うう、エネルギー量も技術もリューくんよりもずっと上で、体術までアーくん以上なんて反則だよ~!
「さ、レミー・・・次はどうするのかしら?」
ム~、レーチェル様は完全に楽しんでいるし・・・わたしだって何時までも弱いままじゃないよ~!
「行きますよ、レーチェル様・・・イリュージョンアロー!」
わたしの必殺の一撃・・・でもレーチェル様に通じるなんて思っていない。でも、防御不可のこの技だったら、レーチェルさまでも避けるしかないよね?
「これならどうです! シャインショット!」
えっとね、これもレーチェル様から聞いた話だけど、シャインショットは光の基本技の中で志向性を持った最速の技なんだって。だからこの技をレーチェル様が避ける可能性がある場所に撃っておけばきっと当たるはず!
「そうね、転移をすることに今回も頭が回っていないのは減点だけどあなたにしてはそれなりに考えた・・・と言ってあげたいんだけどねぇ?」
へっ!? レーチェル様に確かに当たったはずのシャインショットが・・・わたしに跳ね返ってきた~!? あ、そういえば・・・
「私の周りに常に張られているこの膜・・・『リクレクト』は威力や特性に関係なく、あらゆる光の攻撃魔法を跳ね返すものよ。あなたには何度か教えたはず、持っている情報を生かしきれないのは最悪よ。」
わたしはこの言葉を半分も聞けなかったの。だって、レーチェル様のライトキャノンの連発に当たって気絶しちゃったみたいだから・・・
ふう、もう少しぐらい強くなっているかな~って思ったんだけど、まぁ以前よりは考えているし強くもなっているで良しとしておきましょうか。
「さてと、じゃあ本命の方にそろそろ出てきてもらいましょうか。」
レミーの状態は普通なら致命傷。他の天使だったら大慌てで治療をしてあげるところだけど相手がレミーとなると少し勝手が違う。ほら、もう大分回復してきてるでしょう? あの子にはこの程度のダメージは何の意味もないわ。そう、レミーに隠された力・・・もう一つの人格って言っても良いのかは微妙なんだけど、彼女の力をレミーが使えるようになるかどうかが1つのポイント。
まぁ、今日のところはレミーの成長に合わせて彼女の方も成長しているのかどうかってことを確認したいだけなんだけどね。
レミーVSレーチェル! 実はレーチェルがまともに戦っているのって今回が初なんですよね。
レーチェル「作者くん? あなたは何を言っているのかしら? 今回の私の戦いなんてただの遊び。そうね、精々がリュウトくんがヤマトくんの相手をしてあげるのと変らないぐらいよ。」
・・・レミーもあれでも並みの上級悪魔なら手も足も出ないようなレベルなんですが?
レーチェル「そりゃ、私の弟子みたいなものだからね。世界的にみれば相当な実力者でしょう。でもね、上には上がいるの・・・私よりもさらに上もね。レミーもリュウトくんもそういった相手と戦えるようになってもらわないと困るのよ。次世代のヒーローとしてね。」
あなたが戦うわけには行かないんですか?
レーチェル「そりゃ、私だけで勝てる相手ならそれで良いかもしれないわ。でも、そんな相手じゃないのよ。だから当然私もより強くなるし、戦いもする。でもね、他の子にも今の私よりは強くなってもらわないといけない・・・そういうことよ。」
そのためにはあのモードの謎を解かないといけないということですか。
レーチェル「謎って言うほどのものじゃないわね。それに解いただけじゃ駄目よ。使いこなして発展させないと・・・ね。」
なるほど、では皆様もその過程を共に見守っていただければと思います。ではまた次回で会いましょう♪




