1話 「苦境?」
「レミー、朝だぞ~。起きろ~。」
ううん、お兄ちゃん? もうすこしだけ~。
「うう、あと1時間~。」
「レミー、1時間も眠っていたらレーチェル様に・・・」
ううん? レーチェル様? ネムネム・・・
「うきゃぁぁああ! つ、冷た~い!」
うう、冷たい水が振ってきたよ~! 目が覚めちゃった・・・レーチェル様~~~!!
「だから言っただろう? あの人はどうやってか俺たちの行動は把握してるんだから・・・」
「あ、おはようございます! レミー先輩!!」
ちょっとブルブル、たぶん少し顔色が悪いわたしがレーチェル様の神殿を歩いていると天使のみーちゃんがわたしに挨拶してきた。
「うん! おはよう! みーちゃん!!」
「せんぱ~い、みーちゃんはやめてくださいよ! 猫じゃないんですから! それに私の方が階級は高いんですよ~?」
ム~、たしかにみーちゃんはわたしよりも1階級上の準天使(というよりもレミーの階級である見習い天使は最下級)。でもレーチェル様の方針が実力主義とかって言っていたかな? 階級じゃなくて実戦での力を重視してるからとかで一応ここではわたしをみんな立ててくれてるらしいの。他の神からは『天使の仕事は戦いだけじゃない!』なんて苦情も来てるとかって聞いたけど。
「ム~、学科が難しすぎるんだよ~。そういえばみーちゃんってなんて名前だっけ?」
「私の名前覚えていなかったんですね・・・。私の名前はミミ=シシェルです。今度こそ覚えてくださいね?」
ミミ=シシェル・・・うん、やっぱりみーちゃんだね!
「うん、これからもよろしくね、みーちゃん!」
「・・・はぁ、もういいです。それよりレーチェル様が呼んでおられましたよ。きっと、その昇級試験・・・学科についてじゃないですか?」
うう、また勉強会なのかな~。みんななんであんな難しいことできるんだろう。実技だけなら簡単なのに・・・レーチェル様の特訓はそっちも遠慮したいけど。
「さぁ、さっそく始めましょうか? 今年こそは絶対に受かること! あんまり長い間見習いだと私も庇いきれなくなるわよ?」
それはわかっているんですけど~、なんであんなに難しいんですか~! というよりもレーチェル様、庇っていてくれたんですね。あんまり他の神やそのお付きの天使には会わないからわからなかった。
「うう、問題とかわからないんですか~?」
あんなにいっぱい覚えなくちゃいけないなんて無理だよ~。
「あのねぇ、そりゃ無理やり出来ないこともないけど、そんな方法で受かったって誰も認めてくれるわけないでしょう! そもそも問題を知っていればどうとか言うレベルじゃないわよ・・・あの問題は。」
「ム~? それってどういうことですか?」
問題知っていれば覚える量もずっと減って楽になるんじゃないかな~って思うんだけどな??
「は~、計算問題なんて問題覚えて解くものじゃないでしょうに。それにね、他の問題・・・まぁ天使族や神の歴史ぐらいならともかく、他の問題は知らないと色々問題があるのよ。・・・あなたの起す騒動の大部分はそこらへんに原因があるんだし。」
ム~? 良くわからないけど、レーチェル様は協力してくれないってことみたい。
「・・・レミー? あなた、やっぱりわかっていないでしょう? 私がこうやって教えていることが何よりの協力だってこと! さぁ、喋っている暇にはやるわよ!」
第一問
店先に並ぶ色とりどりのお菓子たち。それをみた時のあなたの行動は?
「は~い! しっかり味わって食べます!」
バコン!! レーチェル様が安全に頭を叩く為の道具だとかで作ってきたハリセンとかっていうのでわたしの頭をはたく。レーチェル様、それ本当に鉄製であっているんですか? 凄く痛いです・・・。
「天使が下界でお菓子を食べてたりしたら威厳も何もないでしょう! 私としては天使だからどうこうって言うのは賛成しないけどね。一応、一般的なイメージっていうのもあるのは事実よ。他種族と付き合う上ではそういったイメージを知っておくこと自体は必要だわ。・・・それにね、せめてお金を出して買いなさい! いきなり食べるなんて真似をしないように・・・」
「あ、あの~、お金ってなんです?」
「・・・さぁ、次に行きましょう。」
ム~? なんで間違いなの~~~!!
第2問
13+26=?
「え、えっと・・・8?」
バココン!! うう、2連続で叩かれた・・・。だって、だって! こんなのわからないよ~~!!
「とりあえず聞いておくわ。どんな計算をしたら、そうなったのかしら♪」
「え、えっと+26って・・・2と6足したら8?」
ガココココン! うう、何連続かわからないほど叩かれた・・・。な、なんで~~!!
「どうしてそこを足すのかしら! その前の13はどこに行ったの!?」
えっ? あ! そうか・・・じゃあ
「答えは4です!」
ズゴゴゴゴン!! ふにゃ~、なんか段々叩く力が強くなってきてるよ~!? なんでなの~!
「今度は26がお留守になっているようだ・け・ど!!」
え、えっと・・・じゃあ
「3・・・ですか?」(作者注:レミーの思考は13+26→1+3+2+6=12 ここは何故かあっている。そして12→1+2=3・・・というものだったりします)
ドゴゴゴゴン!! うにゃぁぁぁぁああ!! な、なんか音が凄いことになっているよ~!?
「あなたには2桁目という言葉は存在しないのかしら!! もういいわ、次に行くわよ!」
そうして2時間ほどたった頃・・・
「100問やって正答が0ってどういうことかしら?」
呆れたように呟くレーチェルの前には大量のたんこぶをつくって目を回しながら気絶しているレミーがいたとかいないとか・・・
「はぁ、今日のところは勉強の方はこれぐらいにしておいて、特訓の方にしておきましょうか・・・。」
・・・まずはタイトルに偽りがあったことをお詫びいたします。
レミー「ええ~! タイトルどおり『奮闘記』で『苦境』だったよ~!」
レーチェルのやり方は正しいとは言わないけどな、どうみても幼稚園から小学生低学年程度のレベルでつまずかれていて奮闘とか苦境って言われるのも・・・
レミー「うう、サーくんが難しいこと言って虐める・・・。」
いやいやいや! そんな難しいこといってないよ? はぁ、とりあえず次回は特訓・・・こっちなら問題なしでしょ?
レミー「ム~、でも! レーチェル様の特訓なんだよ~!? うう、誰か助けてよ~><」
まぁ、こっちに関しては気持ちはわかる。以前(3部4章2話)に出てきた内容から考えて尋常じゃないのは事実だし・・・。
レミー「で、でしょ!? あの~サーくん・・・」
助けるのは無理だぞ? っていうかあのレーチェルに逆らえる存在が作中見渡しても現状いないんだが・・・
レミー「・・・くすん。」
とりあえず、レミーが生き残れるように祈ってあげていてください。では!




