5話 「とある日記」
「もう! 折角これから面白くなるところだったのに、アキちゃんたら! まぁいいわ、じゃあつぎはコクトくん、あなたが話しなさい。」
ご、ごめんなさい。でも、悪霊とか! とりつかれるとかなんて駄目! おまけに実話! しかも体験談なんて絶対駄目! 聞きたくないもん! その点、コクトの話は怖くなさそうだから安心かな?
「お。俺ですか!? じゃあ、これでも読んでみようか。」
そう言ってコクトが闇の中から取り出したのは古ぼけた本。なにかの逸話か何かなのかな?
「その本はなんじゃ?」
「アキさん、これは本ではない。いや、本といえば本だが・・・日記なのだ。だが、この最後の部分はこの場の雰囲気にあっているからな。」
そう言ってコクトが話し始めた・・・いえ、読み始めた日記は
『12月4日
今日、船で原因不明の病が発生した。船長と航海士が高熱で倒れる。早く2人には良くなってもらわないと・・・
12月5日
高熱でうなされていた2人の声が聞こえなくなったことに疑問を感じ、様子を見に行くと2人が死んでいた。本来なら水葬にするのが慣わしだが、予定なら5日後には陸に着く。この時期、この場所ならば腐る心配もないとのことなので家族の下まで送り届けることにする。
12月6日
船は濃霧の中に入ってしまった。航海士がいないので進路があっているかどうか心配だ。もし進路を外れてしまっていたら・・・いや、そんなもしもは考えないようにしよう。
12月7日
霧はまだ晴れない。そして、船員が2人行方不明になった。海上の船から消えることなどできるはずもない、おそらく2人は海の中なのだろう。だが、この氷点下の海、まして濃霧の中での探索など出来ない。どうか、怨まないで欲しい。』
たんたんと読まれる船乗りの日記。それだけなのになんだろう? もの凄く背筋が寒くなるよぉ~。
『12月8日
ようやく霧が晴れる。だが、予定通りならそろそろ見えるはずの陸地が見えない。どうやら不安が的中してしまったらしい。夜になるまで船を停船する。晴れてさえいれば、北極星を目印に正しい方向に進めるだろう。
12月9日
船倉で何かが動く音がする。あそこには船長たちの遺体しかないはずなのだが? ネズミでもいるのだろうか? もしそうならかじられないうちに2人の遺体を別のところへ移さねば・・・
12月10日
陸地は今日も見えない。そしていつの間にか30人は残っていたはずの船員が18人にまで減っていた。・・・ガサゴソと何かが這い回る音が段々と大きくなっている。一体何がこの船に起こっているのだろう。』
ひっ!? も、もうこれ以上読んで欲しくないよぉ~。で、でも中途半端で終わられるのは余計怖い気もするし・・・。うぇ~ん、どうしたらいいの~~!!
『12月11日
とうとう残っているのは僕一人になった。でも、何かが這い回る音は大きくなっていく一方だ。・・・こうして日記を書いている今も外から部屋の扉を引っかくような、ガリガリ・・・という音が聞こえる。部屋の外にはおそらく出れない。飢えて死ぬのと彼らの仲間になるの・・・どっちが早いのだろうか。』
う、嘘よね? だってこんなの本当の・・・な、なんで続き読んでくれないの? 次の日当たりで救助されたりするんでしょ!? ゾ、ゾンビなんていないよね!?
「どどど、どうしたのだ? コクト、続きを・・・」
「悪いがこの先は読めない。」
えっ!? ど、どうして!!?
「自分の目で見たほうが早いな。」
そう言って、コクトが私の方へ向けた日記のページは真っ赤な血で染まっていた・・・。それを見た私の意識がどんどん遠くなっていくのが自分でもわかった。
「あらあら、女王様ったらこんなところでお眠りになるなんて♪ そんなにお疲れだったのかしら?」
いや、メイ? どう見てもアキは気絶してると思うんだが? う~ん、途中から気づいていたけど(まぁ、たぶん全員気づいてるよな。)ここまでアキが怪談が苦手だとは・・・。一体、幼い時にどんな話をメイから聞かされてきたのだろうか?
「まぁ、そのうちお寝覚めになりますわ。それまで休憩にしましょう。しかし、皆様はまったく怖がられませんのね?」
まだ続ける気ですか? 悪い、可哀想だとは思うが俺にはメイは止められないよ。・・・まぁ、怖がらないのは当然なんだが
「わたし天使だもん。」
「私は神だからね。浄化位はできるわ。」
「俺は悪魔の血が強いからな。霊体だろうと切り裂ける。」
「オレも同じだ。」
「アシュラ様がおられますし・・・」
「そこらへんの幽霊ぐらいならなんとか・・・」
それぞれに告げられる理由。俺は勿論
「リュムに切り裂けないものなんてないからな。」
結局、幽霊だろうがゾンビだろうが返り討ちに出来るメンバーなんだよな。ここにいるのって・・・
「・・・なるほど、ですが女王様にも出来るはずなんですけどね? エルフ族に伝わるあの杖は浄化の力もあると伝わってますから。もっとも、お教えしたことなかったかもしれませんが♪」
・・・たぶん、ここにいるものの感想は一様に同じだろうな。メイ・・・あんたが一番怖い。
え~、アキが気絶したので話は一端終わったらしいです。あくまで一端ですが^^
アキ「う、う~ん。こ、ここはどこ?」
あとがきです♪ とりあえず幽霊の類はいませんのでご安心を^^
アキ「そ、そう? よ、よかった~。うう、みんな寄ってたかって私を虐めるよ~!」
う~ん、まさかアキが僕に抱きついてくるような日が来るとは。・・・逆に後が怖いけど><
マリア「お、アキちゃんじゃない♪ (本編では)久しぶりね♪」
アキ「(顔面蒼白)あ、ああ・・・いや~~~!! 幽霊~~~!!」
マリア「ちょ、ちょっと! 人の顔見て、いきなり気絶って失礼じゃない!?」
あ~、そうか。たしかにこの人は幽霊だった。あまりにも普通に出てるから忘れてたけどタイミングが悪すぎだよなぁ~^^
マリア「どういうことよ?」
まぁ、気にしない方向で^^ ではアキの受難はまだまだ続きそうですが次回も読んでくださると嬉しいです♪




