3話 「未帰の洞窟」
「女王様、女王様! いかがされました?」
はっ!? え、えっと私は・・・あれ? どうしてたんだろう? 何か凄い怖いことがあったような? うん、思い出さないほうがよさそう。だって、お姉ちゃんが言葉とは裏腹に凄いニヤニヤしてるもん。
「いや、なんでもない。なんでもないぞ、メイ。」
「そうですか? ならば、続きをするといたしましょう。」
うう~、まだやるの~~!?
「じゃあ、次はアーくんが話してよ?」
「ぬっ? オレはそのような話など・・・いや、一つ聞いたことがあるな。いいだろう、話してやる。」
アシュラの話・・・怖いのか、そうじゃないのか判断がつかないよ~!
「あれはまだオレが下層魔界の番人などではなく、コーリンと共に魔界を彷徨っていた頃に聞いた話だ。」
き、聞いただけだよね? リュウトの例があるから油断できないけど。何だかんだいって、この2人って行動力は大して変らないのよね・・・。
「中層魔界の外れに現地のものが未帰の洞窟と呼ぶ洞窟がある。そう、未だ帰らずの名のとおり、この洞窟に入ったものは総じて帰ってこない。」
誰も帰ってこない? でも、それだけならいろんな理由がありそうね? 危険ってことには変らないんだろうけど。
「当時現地でも色々な憶測が流れていたな。あるものは毒ガスの発生を疑い、あるものは強力な魔物の存在を疑った。」
うんうん、そうだよね♪ 別に帰ってこないからってゆゆゆ、幽霊なんてことはないわけだし!
「だがな、あるとき一人の悪魔が無事に帰ってきてから話は一転したのだという。その悪魔は数人の仲間と共に洞窟へと入った。そして洞窟の中ほどに差し掛かったとき、ほんの1秒にも足りぬ時間目を離した仲間の姿が消えていたのだという。そして、辺りには見えてもいない仲間の苦痛の悲鳴が響き渡っていたそうだ。」
はわわわ! やっぱり幽霊なの!? いや~~~!!! なんで!? なんで魔界にまでそんな奴がいるのよ~~~!
「ふん、話はこれで終わりだ。」
えっ!? だ、駄目! オチが! オチがあるんでしょ? 実は幽霊じゃなくて・・・みたいなのが。あるって言ってよぉ~~!
「フフ、アシュラ様? 最後まで語ってあげないと可哀想な方がいらっしゃるみたいですよ?」
えっ? コーリンさん? あ、あるの!? なんかオチがあるのよね!?
「ならば貴様が話せばよかろう。」
「では、そうさせていただきますわ。そんな話を聞いてアシュラ様がじっとされているはずもなく、さっそく洞窟に行かれたのです。結果としては・・・そこには洞窟の床に擬態した悪魔がいました。上を通りかかったものを大口を開けて飲み込んでいたのですね。」
あ、なるほど! まるで食虫植物とかそんな感じの性質を持った悪魔だったのね。そんな悪魔にアシュラが負けるはずもないか。
「ふん、どっちかといえば奴を倒した後の方が面倒だったがな。」
へっ? なんで??
「奴に食われた悪魔どもが地縛霊化していてな、うっとおしいことこの上なかった。」
・・・えっ? イマ、ナンテイッタノ? じ、ジバクレイ??
「あらあら、じゃあレミーを派遣しようかしら?」
「え~? そんなに多いと一人じゃ大変だよ~。」
「ふん、まとわりついてくる奴らはあらかた引き裂いたからな。大分数は減っているだろう。」
あ~、そうなんだ。アシュラの爪って幽霊も攻撃できるんだ・・・。きっと、竜神剣も出来るんだろうな~。
「アレ? どうしたの? あーちゃん??」
「レミー殿、気にしないで下さいませ。女王様はこの手のお話を楽しまれるときはいつもこうなのです。」
お、お姉ちゃん~~~!! 勝手なこと言わないでよ~~~!! そもそも、私がこんなにこういった話が苦手なのはお姉ちゃんが嫌がる私に散々語って聞かせた所為だし! おまけに手の込んだ悪戯まで仕込んで怖がらせたんだし!! 今だって自分が(こんな私を見て)楽しむためにひゃ、百物語なんてやってるんじゃないの~~~!! もう、嫌だよ~! 逃げたいよ~~!! でも・・・あんな話を聞いた後に一人は怖いよ~!!
話としてはけして怖くはないのに、段々と追い詰められているアキです^^
アシュラ「ふん、情けない奴だ。この先、そんな敵と戦うことがないともいえまい。」
たしかに^^ というよりも予定では・・・おっと、これ以上は言えませんね。
アシュラ「ほう? ならば楽しみにしておくとしようか。」
それでお願いします。しかし、今までは本当の意味で怪談ではなかったですが・・・残っているメンバーはどんどん本当に怖い話をしそうなメンバーばかりになってきてるんですよね。ある意味、リュウトに似てるコクトと妙なサプライズを効かせてオチを用意していかねないレーチェルぐらいでしょうか安全そうなのは・・・。
アシュラ「ママナの奴も意外と能天気だ。奴もそれほど怖い話は知らなさそうだな。」
鬼門は・・・コーリンとメイか。特にメイはアキを怖がらせるためなら何でもやりそうだし^^ といったところで今回はお開きです♪




