3話 「エルファリアの秘密」
どんな町にもその町の住民以外には知られたくない秘密というものはあるものなようで・・・それはこのエルファリアも同じようだ。
皆様は疑問に思わなかっただろうか? この章の第1話、何故アキは中庭でリュウトが休んでいたことを知っていたのか。まして、普段リュウトはそこにはいないと知っていたはずのアキが・・・。この答えはここにある。
うふふ、レミーもたまには役に立つよね。天使族がこんなに素敵なものを開発してたなんて! レミー(レーチェル?)のつてで大量に貰った通信端末機。それも音声じゃなくて情報を送受信できて保存できるなんて! これで活動がもっと活発化するわ。
あ、早速来た♪ えっと何々・・・リュウト様情報、現在リュウト様は商人の護衛を無事に終えエルファリアに向かっています。・・・あ、リュウトもうじき帰ってくるんだ♪
えっ? それは何かって? 勿論、リュウトファンクラブ(非公式)の会報よ? 交代でリュウトを見張ってこうやって情報を届けてるの。リュウトって起きてる時は知らない人の敵意の無い気配には鈍いから結構簡単に尾行できたりするのよね♪
このファンクラブも今や会員数1万を越える大盛況ぶり! 殆どが若い女の子っていうのが気に入らないって言えば気に入らないけど・・・。1週間に一回の特典リュウトプロマイドは初回の方のは凄いプレミアがついてるとか。まぁ、あの笑顔はクラクラものよね。た、偶に私が見れるあの心からの笑顔に比べれば霞んじゃうけど。ん? ああ、勿論私は初回からずっと会員よ? だって! ほら、見て! この会員NO、0000000の会員証を!
うふふ、この前貰ったリュウト抱き枕(会員NO一桁限定の超プレミア品)なんてもう手放せないし♪ あなたも入ってみない? 年会費10000ジル(10万円相当)でリュウトの私生活がバッチリわかるわよ♪
などと、女王様すらこれほどまでに入れ込んでいるファンクラブ(非公式)が存在するなど他の町のものには絶対に知られてはいけないことである。なお、この町に在住しながらも、その存在を知らないものが1名いるのだが、それが誰かは言わぬが花というものである。
え? リュウトのものしか無いのかって? これはこれは・・・なかなか鋭いですね。たしかに最大勢力はリュウトファンクラブです。ですが、他にも女王様をお助けし隊とか、メイド長に命令され隊とか白衣の天使LOVEなどの存在が確認されています。
はい、皆様のご想像通りです。ここエルファリアはいわゆるミーハーな方々が多くおられるようで・・・誰かの追っかけをしている人、またしたいと思っている人はここでなら同士に出会えるかもしれません。
民明書房刊 『エルファリア(裏)観光案内』より抜粋
「・・・これは一体どういうことです?」
静寂に包まれた執務室に私の声が響き渡る。ふふ、ねぇアキ? なんでこの本にあなたのインタビューが載っているのかしら? しかもすっごい嬉しそうね? あら、どうしたのかしら? そんな隅っこで子猫のように震えなくてもいいじゃない?
「そ、それはじゃの・・・まさか、こんな使われ方をするとは思わなくてじゃな・・・」
「では! 一体どんな使われ方をされるとお思いになったのです!!」
うふふ、ほら・・・そんなところに隠れていないで出てきなさい? あなたは『一応』私の上司でこの国の女王でしょう?
「す、すまぬ。そのリュウトファンクラブのことを聞きたいといわれて・・・つい。」
「つい・・・で話しちゃったんですね?」
だからそんなところで怯えていないで出てきなさい・・・お仕置きはあとでたっぷりしてあげるから。
「とにかく! このような本が世に出回るのは我が国として大変に困ります! なんとしてでも流通を止めて見せますわ!!」
「た、頼む。(うう、お姉ちゃん怖いよぉ。)」
その後、一つの出版社が消滅したとか、エルファリア(裏)観光案内が幻の本としてコレクター同士で高値で取引されるようになったとか・・・本の所持者が鞭を持った女性に襲われるとかという『都市伝説』が生まれたりしたようだが、全ての真相は霧の中である。・・・ということにしといてください。
オチなく終わる・・・。
え~、この話は竜神伝説初の噂話です。真相は作者も保障はしておりません。どうか、どうか双方の身の安全のためにも深く突っ込まないで下さい><
メイ「双方? 少なくてもあなたの身の安全はもうないけど?」
・・・こうして後始末してるじゃないですか~~~!?
メイ「うふふ、折角『平和的な話し合い』で出版を停止したというのに・・・あなたが一部を抜粋なんかするのがいけないのよ?」
あはははは・・・では、生きていたらまた次回お会いしましょう・・・。




