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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
2部14章『死闘のはてに』
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4話 「天竜の咆哮」

 ガキィィィィン・・・ぶつかり合う竜神剣とソウルイーター。俺とサタンではサタンが上でも、竜神剣とソウルイーターでは圧倒的に竜神剣が上だ。・・・少々情けない話ではあるが。


 だが、どういうわけか復活した竜神剣はさらに強くなっている。この第一開放状態が殆ど負担にならないほどに・・・。いや、増幅される力だって、今までよりも遥かに大きい。ざっと、10倍弱ほどだろうか。


 力がみなぎってくる。リュムが・・・みんなが俺に力を貸してくれる。この勝負、負ける気がしない!


「行くぞ! 竜神流・・・風竜斬!!」


 俺の必殺の一撃・・・風を纏った剣の一撃があらゆる障害を吹き飛ばし、サタンの首へと吸い込まれていく。そして当然のごとく、その首は宙を舞った。


「これで・・・俺の、俺たちの勝ちだ!」


 沸きあがる歓声。だが、それを打ち消したのは・・・


「くっくっく、貴様らの勝ち? どこを見てそんなことを言う?」


 馬鹿な!? 何故、何故首なしで立てる? 奴はどうしたら死ぬというのだ!


「リュウト! 危ない!!」


 戦場で絶対にやってはいけないこと。それは思考を止め、足を止めること。俺は・・・両方やってしまっていた。剣士として、戦士として失格もいいところだ。だから、こんな代償を払うことになった。・・・それも俺以外のだ。


 俺を切り裂くはずだった剣は、飛び込んできた少女を胸元から縦に大きく切り裂いた。幸い両断はされていないとはいえ十分に致命傷といえる。


「リュ・・・ウト。無・・・事?」


 ニッコリと笑うアキ。なんで・・・なんでキミはそんなに綺麗に笑えるんだ? そんなに血で真っ赤に染まって、反面肌はそんなに青白くなってしまって!


「私・・・やっとあなたの・・・助けに・・・なれた。こわ・・・かったの。私は私・・・・でいい・・・って言ってもら・・・えても・・・役に・・・立てて・・・いないんじゃ・・・ないかって。・・・だ、だか・・・ら・・・」


「もういい! もう十分わかったから! だからもう・・・喋るな!」


 俺はアキを抱いて皆のところにいく。万全な状態のものなど一人もいない。レミーなど辛うじて息をしてるぐらいの状況だ。回復などできるはずが無い。


「みんな、悪い。無茶を言っていると思う。だが・・・」


「ええ、アキは私たちが絶対に死なせない。だからリュウト君、あなたは奴を絶対に倒しなさい。」


 真剣な顔にほんの少しの笑みをまじえてメイさんがそう言ってくれる。少しでも回復のできるものはアキの周りに・・・回復の出来ないコクトやアシュラさえも自分の力を回復役の者たちに分け与えている。俺は・・・俺たちは本当にいい仲間を持ったよな、アキ。


「くっくっく、今生の別れはすんだか?」


「待っていた様に言わないで欲しいな。貴様は自分の再生の時間にしていただけだろう?」


 奴の首は元に戻っていた。いや、生え変わったというべきか。俺が斬った首は以前変らず奴の足元に落ちている。


「ふん、このような物・・・邪魔だな。」


 その足元に転がっていたさっきまでの自分の頭を奴は踏み潰す。普段なら嫌悪感でも感じていたのだろうが、今の俺には何も感じない。


「戦いに来ておいて、殺しに来ておいて殺されたくなかったのか? ふん、大した覚悟だな。」


「覚悟があるのと、仲間の死を容認できるのとは別だ。だが仇なんていう気も無い・・・アキは・・・まだ生きてる!!」


「今はな・・・だが・・・くっ!」


 最後までなど言わせない。俺の思い・・・それを怒りと言っていいのかさえわからないが・・・それを込めた一撃が奴の左腕を切り落とす。


「腕など切り落としてなんになる? こんなもの容易に再生・・・ば、馬鹿な!?」


 再生? そんなものさせるわけが無いだろう?


「悪いな、竜神剣は斬りたいものを切り裂く剣なんだ。俺が望む限り、この世に斬れないものなど何一つ無い。貴様の再生能力・・・斬らせてもらったぞ。」


「な、何だと? それに・・・何故! その剣は燃えている! 貴様に炎は使えん筈!」


「それこそ驚くことは無いだろう? この炎は・・・アキが俺にくれたものだ!」


 リュムを・・・竜神剣を空に掲げる。アシュラの雷、レミーとメイさんの水、ママナとコクトの地、コーリンさんの氷、そして俺の風とアキの火・・・光と闇さえも加えて今! 竜神剣に天の力が宿る!


「竜神流・・・天竜斬! これが・・・俺の、俺たちの力。俺たちの思いの全てだ!」


「ふ、ふざけるなぁ!!」


 最後の足掻きなのか、奴の足元から生えた無数の触手が俺を襲う。だが、そんなものは警戒にさえ当たらない。剣からこもれ出る閃光が全て焼き払っていく。


「サタン! これが・・・最後の一撃だ!!」


 脳天から足元まで一文字に切り裂いた剣はその体に同時に大量のエネルギーを流し込み、細胞片一つ残さずに奴の体を消滅させていった。


「今度こそ・・・俺たちの勝ちだ。」


 もう二度と再生など出来ない。それを見届けて、俺は仰向けに倒れた。


・・・ ・・・ 都合により今回のあとがきは作者不在でお送りします。


メイ「リュウトくん! いた!?」


リュウト「いや、逃げ出した後みたいだ!」


メイ「素早いわね! アキをあんな目に合わせておいて逃げ出すなんて!」


リュウト「今、レミーとママナが上空から探しているから、すぐに見つかるとは思うが・・・。」


メイ「ええ、他にもコクトくんとコーリンさんも捜索に加わってくれてるわ。絶対に逃がさないんだから!!」


・・・ガクガク、ブルブル・・・。


メイ「・・・みぃつけた♪」


・・・ヒィ!

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