4話 「雷光、交わる時」
タンッ・・・と軽い音をたてて突撃をしたのはほぼ同時。そして・・・先に攻撃を当てることに成功したのはオレだ。
「どうやらこの状態では俺の方が速いようだな。」
戦いにおいて、特に近接戦闘においてもっとも重視されるのはパワーでもタフネスでもない、スピードだ。オレも、そしておそらく奴もばてることなど知らぬ身なればこの差は大きい。
「確かに貴様の方が速いな。・・・この状態では!」
「・・・何?」
オレが殴ったことで口内でも切れたのだろう、血を吐き出しながら余裕な顔で奴はいう。
「ふん、こういうことだ。」
その言葉と共にあふれ出す瘴気・・・くっ、奴もこの状態を持っていたのか!?
「何を驚く? 貴様が出来たことを我ができないとでも思っていたのか? それより、その瘴気・・・奴らは無事かな? くっくっく・・・」
!? そうだ、オレは同質ゆえに問題ないが、あいつらは! オレ以上の瘴気をふきだす奴が加わった以上負担はさらに大きくなったはず!
「ぐぉぉぉぉおおお! む、無駄な心配をするな。この程度の瘴気なら俺が食い止めていてやる! だから、お前は・・・!」
「わかった。さっさと倒してやる。・・・頼むぞ。」
つい後ろを振り向くと最大出力で光の障壁を発生させているリュウトがこんなことを言う。この手の瘴気を耐えるのは純粋なエネルギー量に依存する。無防備に受けてはレミーは元よりリュウトといえども危ない。そして、あれほどの出力の障壁を長時間張り続けられるはずも無い。
「くっくっく、楽しいよなぁ・・・行くぞ。」
鳴り響く雷鳴と雷光。ちっ、属性どころか戦法まで同じとは忌々しい。だが!
「悪いが、オレも雷光には慣れていてな。この程度で貴様を見失いはせん!」
落ちる雷は無視し、ルシファーに突撃をかける。だが
「なん・・・だと?」
たしかにそこにいたはずのルシファーは掴む寸前に霧のごとく消えた。まさか、幻?
「くっくっく、気づいたようだな。雷光とはいえ、光。工夫次第ではこのようなこともできると言うわけだ。」
そこに現れたのは明点する雷光の中に立つ十数人のルシファー、1人を除いて・・・いや、場合によってはこれら全てが幻というわけか。
「ぐああぁぁあ!」
「し、しっかりしろ! リュウト! 私の力も使え! 今度こそ遠慮などするな!」
ちっ、リュウトの方も限界が近そうだ。
「くっくっく、我らの攻撃防げるかな?」
そして、突撃してくるルシファーたち。どれが本物かわからぬ以上全て防ぐより他に無い。だが
「ちょこまかとうっとうしい! ・・・ガハッ?」
全てを防ぐなどできるはずもなく、無防備に渾身の一撃を貰ってしまった。くぅ・・・意識が・・・霞む。
「アーくん!!!!」
・・・レミー・・・そんなに騒ぐな。・・・それほどうるさいと・・・オレは倒れられんでは無いか!
「ほう? まだ立っていられるとは? 思ったよりも丈夫ではないか。だが、次はその命を貰おう。」
そうだな、まだオレは本体を見抜けてはいない。次で最後ということには依然変わらんか。
「アーくん!」
な、馬鹿な!? レミー貴様がリュウトの障壁の前に出たら!?
「しゃ、シャイニング・・・アロー・・・」
息も絶え絶えになりながら、レミーの撃ったシャイニングアロー。それは・・・
「ちっ!?」
効いてはいない。効いてはいないが、当たった? つまりアレが本体か! レミー、幻術のエキスパートは伊達じゃないと言うことか・・・。アキがなんとかレミーを障壁内に引き戻すのが見える。後はオレがさっさと奴を倒せばいい。
自分自身の体に雷を流す。一時的な筋力の増強、爪に流すことによる威力の向上、廃熱を利用した空気のブーストによる加速・・・オレの最大奥義受けてみろ!
「行くぞ・・・修羅・・・」
もっと、もっと速く加速しろ。骨が折れようと、足がもげようと構わん!
「その程度・・・我に通じるか~!」
カウンター気味に撃たれたルシファーの拳。リーチは奴の方が長い。万事休すか?
「りゅ、竜神流・・・スタースクリュー・タイプA・・・。」
「な、何?」
リュウトの撃った竜巻の魔法。以前ベルゼブブに撃ったあの技がルシファーの動きを封じる。リュウト、貴様も余裕なんてないだろうに・・・。
「・・・瞬雷撃!」
オレの力の全て・・・オレたちの力の全て。全て・・・持っていけ!!
「・・・見事だ。貴様の・・・勝ち・・・だ。」
ああ、この勝負、オレ『たち』の勝ちだ。
アシュラの本気の戦いはどうだったでしょうか? ここまで苦戦するアシュラは実のところ初めてですね。
レミー「う~、アーくんかっこいいよ~♪」
あはは、なんかレミーの目が普段と違うな。今回は直接的に戦っているのはアシュラだけですが4人全員の勝利ですね! ・・・アキの活躍が少ないけど、それでいいのかヒロイン!
アキ「ウッ! いいのよ、私はもうリュウトを射止めたんだもん・・・。」
そこを最終目的にしないでくれ。まだまだ作品は序盤の方なんだから盛り上げていかないと・・・。
レミー「は~い! わたしが盛り上げるよ~♪」
さ、作品が崩壊しない程度に(レミーは)手加減してほしいな・・・。




