最終部15章「夢魔の見る夢」6話「積み重ねた時の成果」
そうして何度か突撃と吸精を繰り返す。ダメージは吸精によってだいぶ緩和されてはいるものの間違いなくこちらも消耗している。けれど、向こうの消耗もまた大きいはず・・・とは言っても竜の坊やが無限と誤認したほどの膨大なエネルギー量であることも変わらない。ここから先は根気比べね
そうしてもう一度突撃をし、吸精後に無の影響範囲から飛び出したとき
「!?」
無の中にいた私には外の気配はわからない。だからこそ、想定外の攻撃はかすっただけでも私に小さくはないダメージを与える
「・・・避けたか」
「『混沌より生まれし者』!? こいつまで再生産していたのね」
確かにこの2体はコンビのように動いていた。いえ、『終焉を告げるもの』の部下のようなものだったというべきかしら? いずれにしても私にとっては厄介な状況に変わりはない。けれど
「ふふ、でもわざわざ回復用のご飯を用意してくれるなんてねぇ」
そう笑う。それは確かに強がりではあるけど、そうであると強く前を見るためでもある
「強がりはよせ。貴様の吸精による回復と余らにより消耗させられる割合・・・特に余の結界内に侵入後の不意打ちによるダメージはカバーできまい?」
・・・来ることが分かっていても、向こうは次以降はもっとタイミングよく・・・さすがに飛び出した瞬間を狙われたら大ダメージを避け続けることは難しい
「ならば、1対2から2対2にすればいいだけのことです」
その予想だにしていない声にびくりとする。私の言葉ではない、勿論『終焉を告げるもの』でも『混沌より生まれし者』でもない。それは、忘れもしないその声は
「なぜ、あなたが・・・」
ここにいるのか、そしてまだ存在できているのか
「おせっかいな人たちがいたのですよ。本来だったら私の因子で生み出された女神に魂を与え、消滅するだけだった私に自身の魂を分け与え、ここでわずかな時間ならば戦えるだけの力を持たせてくれた多くの者たちが」
すでに死した存在、消滅を免れたとはいえ、いま閻魔が死者が現世に戻ることを許可しているとはいえ、彼女が長期間力を使えば今度こそ消滅するでしょうに
「伝言です、もういい加減あの世で待つのは飽きた。自分たちはそろそろ眠らせてもらうからたたき起こしに来るんじゃない。平和になったそっちで今までの分程度生きてからこい・・・だそうです」
いままで、何人もの仲間とともにレオンと戦った。その中には無理やりレオンに操られ配下にされた者も、そうはならなかった者もいる。いえ、操られた者たちも今は全員竜の坊やが解放していたわね。そして、その中でも最強でもっとも私と親しかったものが・・・
「大丈夫ですよ・・・確かに残りの時間は少ないですが、この戦いの結末、私たちの遺志を継いだ最後の竜神が勝つその時までは持たせて見せますから」
それはきっと苦痛を伴うでしょうに、それでもまだあなたは私の力になると、結末を見届けるとそういうのね
「そう、だったらあなたの力、もう1度貸してもらうわ・・・アマテラス」
幾度と繰り返された戦い、幾度となく積み重ねられた敗北と死、けれどそれは無駄ではなかった
ルーン「それを今のために必要なことだったとは言いたくないわね。それでも・・・」
とまぁ、寂しさと悲しみを表に出している素のルーンでした
ルーン「あらぁ、サキュバスにそういうことを求めるんじゃないわぁ。私は騙すのも上手いのよぉ」
よく言います。本質はサキュバスらしくもなく寂しがり屋で情に深い性格しているでしょうに・・・あ、あれ、力が・・・
ルーン「余計なことをいう子は私のご飯行きね・・・さ、作者の坊やは干からびちゃったから今回はここまで、次回の私たちのコンビネーションも見に来なさい、約束よ」




