最終部14章「女神として、人間として」11話「確信している」
さっきまでの冗談?を言っていた空気はいつの間にかなくなり、今は少し重い沈黙が流れている。ここにいる2人は死者、それも本来は消滅してもおかしくないほどにその力を減らした存在。それがここまで傷ついていてはもう・・・
「まだ・・・であろうな」
「さすがにね」
口を開いたダロンとライオスの言葉にいったい何をと思ったけど
「リュウト君とレオンのこと?」
「うむ」
別れてからそこそこに時間がたち、最後の妨害はきっとあったでしょうが残された距離から考えてもうすでにリュウト君とレオンの戦いは始まっているとみていいでしょう
それでもまだ決着がつくには早い・・・と
「決着がつくまであなたたちはいられるの?」
それとも今こんなことを言い出したのだから消滅するのは今この時なのか
私のそんな声に2人は顔を見合わせて
「そのぐらいの時、現世にいる程度は閻魔も認めるだろう」
「ああ、ここまで来たら最後まで現世で見届けたいからね」
そんな言葉に『ん?』と思う。ちょっと待って、消滅するタイムリミットじゃなくて帰るタイムリミット? それもまず問題ないと?
「えっと、消滅するとかは?」
なんて恐る恐る聞いてみれば2人そろって大笑いされ
「竜の魂はそんなに簡単に消えはせぬ」
「もう数億年ぐらいしたら来世に行くことになるかもしれないが、いくら消耗したからと言ってそんなにすぐのすぐじゃないよ」
その言葉に力が抜けたような気がする。何事もなければ永遠に生きるだろう私たちから見れば数億年もいつか来る別れには違いない。でも、それは今ではない。はるか昔に1度別れは済ませた身だけど、今度の別れはきちんと時間をかけて行いことができる
「よかった・・・もうしばらくの間は」
現世にいられなくとも場所さえ分かっていれば会いに行くことはできる。今まではそれさえもできなかったのだから
「だが、それもわれらが後継者が勝ったら、の話だ」
そんなダロンの言葉に私は笑みを浮かべる。そうねダロンは、それにライオスだってリュウト君のことをそこまで詳しく知っているわけではないでしょう。だからそんな不安を持つのね
「レーチェル、君は不安に思っていないみたいだね。確かに彼が負けるならば仕方がないとも・・・」
「ええ、リュウト君が負けるなんてことはあり得ないもの」
ライオスが思ったような、もう勝ち負けに自分たちがかかわれないからとか、信じるしか手はないからとかそういう話じゃないわ。リュウト君は必ず勝つ、それは信頼ではなく確信
「・・・相手はレオンだぞ」
ダロンはこういうけど、私の答えは決まっている
「誰が相手かは関係ないわ。リュウト君はそれが必要な勝利ならば必ずもぎ取ってくる。ただそれだけよ」
そこに理由はない。勝たなければいけないのならば必ず勝ってくる・・・それがあなたの口癖であり信念でしょう? ねぇリュウト君
リュウトの言葉、それはレーチェルにとってさえも絶対だったようです。そして今回がこの章のラストでした
アキ「こういうことってレーチェルさん言わない感じだったけど」
まぁレーチェルのプライドというかあまりリュウトのことを信頼しているとか言わないタイプですからね
リデア「いえ、あれは素直に兄さんにべたぼれしているって言えないだけよ。ツンデレね」
アキ「・・・」
どの口が言うのかって感はありますし、ツンデレというよりはクールデレとかのほうがまだ近い気もしますがまぁ言わんとしていることは間違ってはいないというか・・・とここら辺は次章予告を
レーチェル「あとで覚えていなさい、リデアちゃんに作者くん? 『残った仲間はただ1人、始まりを知る彼女は終わりを目の前にして何を思う? 竜神伝説最終部第15章「夢魔の見る夢」』残すところあと2章、最後まで一気に行きましょう」




