最終部14章「女神として、人間として」6話「暖かい光と闇」
「だから! 私だってあなたを倒すことぐらい簡単よ! 千点裂破!!」
今までの万を超える年数の全てを乗せた高速の突き技は確かにやつにこれ以上はない無数の打撃を与えることに成功した・・・けど
「くふふ、悪くない。悪くないが・・・」
奴は全力を出し尽くして片膝をついていた私の首を持って地面に叩きつける
「今一歩足りていなかったようだな。ぐはは。グフォ」
確かに私の一撃は大きなダメージは与えていた。奴の笑いの中にそれなりの吐血をもたらす程度には・・・そのダメージは普通の存在ならば十分に致命傷でしょうけど、私達のような存在にはまだまだ十分に戦える程度のダメージでしかない
「お楽しみは終わりだ。やはり結果がみられそうにないのはお前の方だったな」
「いいや、それは違うな」
戦いの前に私が言ったことを否定され・・・そしてそれをさらに否定する声。ああ、本当に変わらない
「大丈夫かい? レーチェル」
フワリと倒れている私を抱き上げる腕。私が消して忘れることの出来ない感覚。彼は何時だってこうして全力を振りしぼって、それでも勝てなかった私を助けに来てくれた
「また会えるなんて思わなかったわ・・・ライオス」
リュウト君そっくりな、いえ正確にはリュウト君が彼にそっくりなのだけど、そんな私にとっての英雄。力を譲り渡してしまっているからリュウト君ほどの力はすでに無い。それでもそれなりのダメージを与えている奴に対抗するための見方としては十分な援軍。それ以上に私にとっては・・・
「我もここに来ているのだが」
「もう少し雰囲気という物を呼んで欲しいわ、ダロン」
「ダロちゃんと呼べと言ったではないか」
そして少し拗ねたような声を出すダロン。かって竜神と呼ばれ私達が戦い、そして邪竜神と呼ばれリュウト君たちが最初に戦った強敵。リュウト君ならば最初はアシュラ君かコクト君だって言うかも知れないけど
「本当にいつも私を助けてくれるのね・・・少々憎らしいわ」
「これがきっと最後になるさ。この役目も彼に引き継ぐことになるからね」
いつも最後まで私に戦わせてくれない人。私が格上との戦いで勝ったことがないのはきっと彼の性だわ。憎らしくて・・・頼もしい温かな光
「そうね、だったら・・・最後のもう一度力を貸して、ライオス。そしてダロン」
「ああ、当然だ」
「ウム、我らが後継者に結果まで我と同じくするわけには行かんからな。だが我はダロちゃんだぞ?」
最後までかっこ良く凜々しい光と最後までその風貌とは真逆に笑わせてくれる優しい闇。どちらも場を和ませるためにわざとやっている当たりが真逆なのによく似た兄弟だわ
「ありがとう、2人とも」
今にも砕けそうなシャドーブレイカーを支えに立ち上がろうとした私を両側から腕を取って立たせてくれた2人。私はまだ立っている。私はまだ戦える。だったら私はまだ勝てるはず!
子孫にして弟子である彼だったらきっとそう言って実際に勝ち取るだろうそれを私が出来ないわけには行かないわ。彼から卒業して別の彼の腕の中に飛び込むためにも
かつての彼と未来の彼、その2人の間を漂う女神
ルーン「そんなに乙女な光の女神様じゃないわ」
なんとなく少女漫画チックな場面に淫魔に出てこられるのはちょっと
ルーン「だ・か・ら! 私は夢魔よ! それに光の女神様に乙女も少女も似合わないのは間違いないでしょう?」
まぁ、見た目は子供・・・じゃなくて見た目は美女、中身は鬼教官なレーチェルですからね
レーチェル「好き勝っていってくれるわね。覚悟は良い? 2人とも・・・いえ1人は逃げた後ね」
えっ? 何て逃げ足の速い・・・なんて言っている場合じゃ!!? その悪気は・・・ふぎゃぁぁっぁあ!!!
レーチェル「あったのよね? それじゃあ作者は炭になっているから今日はここまでよ。私とライオスの最後の戦い、次も見に来て欲しいわ」




