3話 「宿命という呪い」
どうやらこの空間では俺以外は動くことは出来ないらしい。理由はわからないがそれが奴の誤算というならば!
「みなが動けないと言うのならば俺がみなを守る! 絶対にだ!」
守勢に回っては勝てるわけがない。ただひたすらに攻める! しかし突撃、そして近距離からの乱打は容易に受け止められはじかれる。
「くっ!」
俺はいったんはじかれた力を利用して後方へと戻る。やはり、力だけで勝てる相手じゃないか。などと思ったそのとき
「ぬっ!? これは一体?」
珍しいアシュラの焦った声。いや、それ以前に
「アシュラ! 動けるようになったのか!?」
「動ける? 一体何のことだ。それよりこの一瞬に何があったというのだ。オレが見ることが出来ん速度で魔王はともかく貴様は動けまい。」
ん? どうやらアシュラは認識も出来ていない? いや、アキやレミーも同じような顔をしてるな。
「くっくっく、竜神よ、それが当然なのだ。時が止まっている間のことなど認識できるはずもない。むしろ、凍った時の中を余以外で動ける貴様がおかしいのだ!」
そう言われてもなぁ。どうせ、リュムの加護ってところだろ?
「・・・違う。これはリュウト、お前の力・・・いや、竜神という名に秘められし力だ。」
などと本人から否定がはいった。竜神の名に秘められた力?
「どういうことだ?」
「竜神の本質は名そのもの。古来から受け継がれたその名が持つ言霊の力は絶大だ。やつら魔王が持つ力と同様にな。竜神とは世界から切り離された存在。竜神は自らの時間を持つがゆえその時を止めることも過去を変えることも・・・いかなる手段を用いようと時間という力は無効化される。それは世界から孤立した竜神の宿命という最上級の呪いの副産物。」
世界から孤立、呪いか。まぁ、いい。それのおかげで大切なものを守れるならそれが一番だ。・・・詳しい話は後で聞かせてもらうぞ、リュム。
「と、いうことらしいな。どうやらお前の必勝法は俺には通用しないらしい。」
といったところで、俺だけでベルフェゴールを倒すのは厳しい。まして時を止められている間は3人を守りながらの戦いになる。ん? どうして今、時を止めようとしないのだろう?
「おのれ! あやつならともかく貴様のようなものに余が敗れるとでも!」
まただ。ベルフェゴールがこうも恐れる相手・・・しかも話の内容を考えると一人、さらに俺が無効化したことをアレだけ驚いていたとなると、おそらく効果が現れながら倒せなかった。
さっきの感覚だと時を止めていられるのは約10秒(たかがとは思わないで欲しい。超音速で行動し考えている俺たちにとっては相当な時間だ)。10秒も隙を見せながらもなおベルフェゴールを打ち倒すほどの実力者? そんなものが今回の黒幕だとでも言うのだろうか?
「リュウト! 下らんことを考える前に体を動かせ!」
「! すまん!」
たしかにアシュラの言うとおりだ。まずはこいつを倒すこと。俺たちは俺たちに与えられた条件で倒すことを考えるしかない。他のものがどうやってなど・・・今は無意味だな。ならば!
「リュム・・・第一封印、解除!」
先ずは全力を出すと言うこと。体力の消耗うんぬんなんていっている余裕は俺たちにはない!そして、こんな絶好の隙をついてこようとせず、時間を稼ぐようなところを見ると連続使用は出来ないと考えていい。つまり、能力と能力の間を狙えばいいということだ。そして、もうひとつ
「悪いな、ベルフォゴール。俺にはお前の能力の弱点・・・見えたよ。」
竜神の名。それそのものが力を持っている。そんなことが判明した回でした! 竜神、竜神剣、そしてリュウト・・・まだまだ彼らには秘密がいっぱいあるのです。
アキ「しかし、それが最上級の呪い? いや、まさかな・・・」
ふむ、どうやらアキは何かを感づいたようですが・・・もう少し内緒にしていてくださいね。
アキ「私としても信じたくないことなのだがな。・・・感づいたといえばリュウトも何か感づいたようだな。まさか、はったりではあるまい?」
リュウトも基本的には戦いは何でもありというタイプで、人質の類・・・というより無関係な者を巻き込むのは嫌いですがそれ以外はほぼなんでも、はったりの類もやりますが、今回は違うようですね。
アキ「ふむ、ではリュウトの気づいたことは次回あたり明かされるだろう。では、さらばだ!」
・・・はっ! またかってに終わらされた~~~~!!




