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竜神伝説~リュウト=アルブレス冒険記~  作者: KAZ
10部11章~ラストまで
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最終部14章「女神として、人間として」1話「進む者と残る者」

 あれからも俺たちは進み、そして目的地であるレーチェルの神殿の入り口までやって来た。わかっているさ、残っているのはレーチェルとルーン。ならばこの後もあと2回、襲撃があるのだろう


「・・・私の導きももういらないでしょう? 先人としての役割は果たしたわ」


 そう告げるのはレーチェル。ああ、先代からの引き継ぎ役・・・おそらく本人はそう思っているのだろう。そして、その役目としてはすでに終わっているのかも知れない。なにせ、後残っているのは俺の役目だけなのだから


「だから後はお願いするわ。場所は分っているでしょう?」


 そう問いかけられたのは俺ではなくルーン。つまりレーチェルが最後の役として持っていたのは道案内に過ぎなかったと、そう言いたいのか


「・・・あなたの神殿の中でしょう、光の女神様」


「その他人ひとの神殿の中を知り尽くしている淫魔には言われたくないわね」


 普段だったら怒るか訂正するはずの淫魔呼びにも反応をせず、緊迫しているはずの状況の中で一瞬穏やかな時が流れる。それはきっと、俺が生まれるよりも前から時に敵として時に味方として関わってきた者同士の何かなのだろう。何せ、この2人目的は同じでも手段も理念も異なるからな


「リュウト君」


「竜の坊や」


 ん? 何でそこで俺の名前が呼ばれ・・・


「「私はまだまだ若いわよ!」」


 ・・・なんで声に出してもいないことを察するんだろうな。そしてレーチェルはまだしもルーンもまだ若いと言い張るのか


「あなたは若いとは随分傲慢ね」


「光の女神様も人間としては大して変わらないはずよぉ」


「人間換算でも私の一億倍以上生きているでしょうが!!」


 どうにも譲れない話しだったようでこんな言い争いをしていたが


「・・・そうね、だったら私よりも先に死なない事ね」


「それだけ長く生きてきておいてこのタイミングで死なないようにね」


 結局どっちも同じような物なのかも知れないな。とにかく向かう場所はルーンが知っている。そして、きっとレーチェルは最初に戦いを始めたルーンこそが最後まで着いてくるべきだと思っているのだろう


「行くわよ、竜の坊や」


 レーチェルが、ルーンが、そしてこれまで俺をここに導いてくれた仲間たちが、全員覚悟を決めたというのならば俺だけが迷うわけには行かないな。だが


「ああ・・・レーチェル、1つだけ言わせてくれ」


「何かしら?」


「先人としての役割、女神としての役割、それらは終わったか終わりを迎えようとしているのかも知れない。だけどな、レーチェルの役割はそれだけではないはずだ。それだけは・・・それだけは忘れないでくれ」


 かつて役割は終わったのだと消えていった存在がいる・・・先代竜神ライオス=アルバード。レーチェルの恋人でもあったかの存在のようにかってに役割を終えたと消えられてはたまらない


「・・・ふぅ、私にどれだけ役割を押しつけるのよ」


「お互い様って奴だろ?」


 望んで得た役割などほとんど無い。だが、それでも誰かがそれを望んでいるのならば・・・自分の存在を捨てない理由としては十分だ、そうだろ?


「わかったわ・・・行ってらっしゃいリュウト君」


「ああ、またな」


 だから今はこれだけで良い。俺たちにはまた会ったときに話すときはいくらでもあるのだから

遙かな過去から続くレーチェルの物語の最終章、という感じですね


リュウト「レーチェルは言うなれば前作のヒロインという立ち位置なんだろう?」


そういうことですね。だからその役割は次なる主人公とヒロインを導くこと、そういうことなのです


ルーン「つまりはロートルって事ね」


レーチェル「前作どころか100作ぐらい前の初代のサブヒロインが何を言っているのかしら?」


あ、あの、そこでバチバチと火花を散らさないでいただけると・・・無理そうですね。巻き込まれないうちに今回はお開きです。そしてこれが本年最後の投稿となります。今年一年ありがとうございました。良い年の瀬をお過ごし下さい

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