最終部13章「氷炎の乙女たち」10話「本命の本命」
赤と青、炎と氷の2つの光線は軽々と・・・ごめん、ちょっと見栄を張っちゃった。実のところかなり力を消耗し、それでも最初に思ったよりかは余力を持って敵を全滅させることに成功した。したんだけど
「本命の本命って所・・・かしら」
「素直にさっきのは本命じゃなかったって認めるべきじゃないかな」
別に私だってあの部隊が本命だって思ったから怒こらないよ? それに相手は1人・・・それが楽だとは絶対に言わないけど
その姿は大剣を持った緑のリザードマン。だけどレオンの配下、おそらくはレオンが作った存在と考えるならばトカゲじゃなくて龍なんだろう、それ
「にゃ! ふ、2人に近寄せないのにゃ!」
そんな存在が私達に近寄らないように盾となって向かっていったニャーニャーたち。それは確かに最初に決めた役割のとおりだけど
「駄目!」
「止めなさい!」
私とリデアの声が重なる。でも、それは少し遅かったみたい。その一瞬で
「にゃ、にゃ~~・・・」
盾になりに行かなかった多くのニャーニャーの顔色も悪い気がする。あの禍々しい大剣もそうだけど、たったの1振りで数百匹のニャーニャーを原形を留めないほどに惨殺した腕はかなりの物よね
「あっ、でも一瞬だったから痛くなかったのにゃ。案外大丈夫かも知れないにゃ」
・・・思ったよりも強いわね、ニャーニャー。痛くないからって自分と同じ存在の死体の山を見てそれ言える物なのかしら?
「全く、この駄猫は」
そんな風に呆れるリデアもちょっとホッとした感じ。でも、相手は油断できる存在ではない。万全の状態だったら、みんながいてくれたなら・・・そんなそうだとしたら楽だっただろうもしもを一瞬考えてしまって頭を振る。私が考えるべきは楽に勝てたであろう条件ではなく、今この状況で勝つために決めるか覚悟だけ
「リデア、もう少し無茶する余裕ある?」
「誰に言っているのよ、当然あるわ」
残ったエネルギー量は3割ぐらい。たぶんリデアも同じぐらいだと思う・・・でもここで笑って最後の一厘だけかろうじて残して振り絞るのがリュウト流って奴よね
「最後まで乗ってあげるわ、兄さんの趣味に」
「うん、私達だって竜神の仲間だもんね」
そして絶対に生きて帰る、そう誓いの原動力のお腹に手を当てたのはリデアに睨まれてしまったけど
「ふん、次はワタシの番なんだから・・・『心凍らせる冷気は非情なる剣。闘神の名のもとに汝らをくださん』フロストソード!」
リデアが氷の剣を持って敵の近距離に飛び込む。ニャーニャーでは盾になる時間も稼げないのならばリデアが飛び込むしかない。そして
「お姉ちゃんたちを説得できたらね・・・『我が名、我が心、我が命、全て汝が為に捧げん』エルファリア!」
私が出来ることは遠距離から最大の攻撃をぶつけること! 私とリデア、2人の最後の力を受けてもらうわ!
今回は絵面を想像すると中々凄惨なのですが
リデア「あの駄猫の緊張感のなさで台無しね」
ニャーニャー「ひっどいのにゃ! ニャーニャーたち一杯死んでいるのにゃ!」
死んでいるのに本人達が大して気にしていないから凄惨さが霧散しているのだという。これが漫画やアニメだったら・・・大して変わっていないかも?
アキ「ニャーニャーたちだもんね」
ニャーニャー「もっとひっどいのにゃ!!?」
ともあれこの章もいよいよクライマックス? ということで次回もまたよろしくお願い致します




