最終部12章「遙かなる時を超えて」3話「過去を思い」
魔方陣と木々のトラップに嵌まって動けなくなった大群ですが、私の戦闘能力そのものはけして高くはないわ。この程度の小細工で止めておける数も質もけして高くも多くもなく、すでにかなりの数が抜け出してきていますね
「自信満々に出してきた割には大したことねぇな? これも頭の出来だとでも言う気か?」
「いえ、実力の差でしょうね」
素直に弱いと認めた私を意外そうに見ます。私は自分が強いなどと嘯くつもりはありません。偽りを言うなど策士としても扇動者としても2流どころか3流にもならないわ。そう、私は弱い。何度も、そう何度もこの力のなさも運のなさも噛みしめ、心を折り続けてきたのですから
~回想~
「メイ、よく見てみなさい。この子がアキ、あなたの妹よ」
「うわ~~~! スッゴく可愛い!」
私がアキに出会ったあの幼い日。そのあまりの可愛さに私は本当に心を奪われ、幼いながらにアキを生涯守り抜くことが私の役割なのだと、そのために生きているのだとそう思ったものです。そんな妹が
「ファ、ファイヤーボール!」
「す、凄い!?」
まだ幼いアキが初めて使った魔法。威力の高い火属性とはいえ、最初に使った魔法とはとても思えない威力。魔法はエルフにとってもっとも重要視される力。まだ、ほとんど形ある魔法を使うことが出来なかった私にとってアキのその力は自慢の妹と誇らしく思うと同時に妬ましさも感じていた
「お姉ちゃん・・・」
「大丈夫、大丈夫よ、アキ。私が守るから」
両親が事故で亡くなり、私達姉妹だけになったときに不安がるアキに私はそう言った。でも、実際にはアキはその魔力の高さ故に次期女王候補になり、私はその姉と言うことで同じ施設に保護して貰った・・・守らなければいけない妹に守って貰っていたのは私だった
「私が、私のせいで・・・」
「女王様・・・」
アキが女王になってすぐ、アキがその優しさと無知ゆえに助けてしまった魔物。アキの意思を尊重するなんて理由でやってはいけないと分っていながら黙認してしまった私に待っていたのは想像以上の惨事で・・・知っていながら黙認した私が一番悪いのに、自分のせいだと泣きじゃくるアキをただ抱きしめることしか出来なかった
「あなたがリュウト殿ですか? 私はメイ=シルフォード、女王様付きのメイド長をさせていただいています」
初めて彼に会ったときの衝撃は今でも忘れられません。これが一目惚れという奴なのだと、そう自覚しながらも努めて冷静を演じた自分。リュウト君にバレなかったことは我ながら頑張ったと思うわ。そんな彼はすでにアキを特別視し始めていたし、アキも彼に好意を、恋心を抱いていることは第三者の私にはよく分った
「その・・・私と口付け・・・キスをしてもらえれば・・・」
竜神かどうかを判別する方法としてらしくもない嘘をついたのはせめてもの思い出を欲した浅ましさから
そんなもくろみは当然のように失敗しましたが、後に想定外のファーストキス(3部2章3話参照)で照れ隠しをしてしまったのは可愛らしいものでしょう。あれがなければ彼を諦めていたかも知れませんね
そしてアキは彼と共に邪竜神を討つ旅へ・・・その旅の結果、連れ帰ってきて欲しかった彼を一時は失ったこと、栄光はアキの物になったこと、そんな物は欲しくなかったと彼を失ったことを泣くアキを慰めたこと、どれも私の心の中に渦巻いていた物はけして容易に語れるようなものじゃなかったわ
と今回は語られなかったメイの物語、です
メイ「私とて色々と悩む良い姉なのですよ」
確かに今回だけ見ればそうなのですが・・・どうしてもアキをいじめて楽しむドSが見えるのは僕だけなのか
メイ「妹で楽しむのは姉だけの特権です」
それを本気で言っているからたちが悪いというか。メイがアキを心から大切にしていると言うのは間違いないことなんですけどね
メイ「そんな姉を冒涜するようなことを言う作者はお仕置きされて当然ですよね?」
いえ、あの、そんな連続で拷問部屋に連行されるのはもたないのですが・・・シクシク、どうかお手柔らかに。皆様、生きておりましたら次回もまたよろしくお願い致します・・・
第12回AIで作成してみよう ルナ=サファリクス
ルナ「私のようなロートルを出してどうするさね」
いえいえ、まだまだお美しいですよ
ルナ「まっ、世辞と受け取っておくさね」
彼女に関してはまさにこんな感じで補足はないのですが、あえて言えばリリィやリリカとも共通する三角帽子
ルナ「2人が私の真似をしているのさね。特に意味があるわけではないさね?」
実はただのルナの趣味というか好みなだけなのを魔女の正装と思い込んだ2人が真似をしている・・・なんて言う裏話もあったりしますw




