最終部10章「雪鏡に映るもの」2話 「コンビネーションは最悪?」
「行ったわね。さぁ、後はわたしたちが協力して生き残りましょう・・・リュウトさんのためにも」
「はいなのです」
レーチェル様から最後に念のためって教えて貰ったように、恐らくはレオンの直属が襲ってくるはず。私は前にリュウトさんたちが戦ったというその存在について知らないから
「本当はあなたたちに聞いておきたいところだけど、そんな時間はくれなさそうね」
「そうなのです」
そもそもちょっと聞いていた範囲だと竜族と同じように概念が具現化した存在。だったら何が具現化したのかによってそのあり方が大きく違うかも知れない
「大丈夫、私の指示に従っていれば」
私はまだここで2度目の死を迎える気は無いわ。リュウトさんを悲しませるのは1度で十分すぎる。それはユキも同じ・・・レーチェル様のようにメイさんのように私も
「ちょっと待て? 私の方が年上のはずよ」
そんな声に私の思考が止まる。ああ、そうね、ここには3人目がいる。肉体的には私とユキの2人だけど、私たちリュウトさんの仲間に彼女を別人格だからと1人にカウントしない人はいない・・・唯一レミーが理解しているかが不安だけど、本人も(正確には違うけど)似たような状況だから流石に分っていると思いたいわ
「そうね、でもほとんど同じはずよ」
彼女がユキさんの姉なのか妹なのかは微妙なラインなのだけど彼女、裏のユキが表のユキを妹のように守ろうとしているのは勿論知っている。でも、それでも彼女たちの肉体は1つなのだから年齢も同じはずよね? わたしたちの場合肉体年齢と実年齢は違うけど、ユキと私は前世も含めればそこまで年齢差は
「確かに、だが戦闘経験は圧倒的に私だ」
「あなたの戦闘経験ってリュウトさんに会うまではほとんど人間でしょう!?」
そんなのあなたの実力だったらアリを踏み潰していたのと大差ないじゃない。彼女は表のユキと違ってそこまで友好的な態度は見せないけど、仲間としての信頼はあると思っていたし、こんなに指示に従いたくないなんて言い張るタイプでもないと思ったのだけど・・・
「あ、あの2人とも仲良くして欲しいのです」
「表のユキは黙っていて? 話しがこんがらがるから」
「あう・・・」
シュンとした顔で引っ込む表のユキには罪悪感を覚えるけど裏のユキは何を考えて・・・
「ムムッ!? ふはははは! レオン様よりなかなかの強敵と聞いていたが、我らが現われる前に仲間割れとは買いかぶりが過ぎたようだ。いや、レオン様が間違えるはずも無し。ならばキサマラが竜神たちの中でもとびきり下級・・・」
「黙っていなさい」
「ヌオッ!?」
無警戒だったわけではないから近寄ってきたのは分っていた。この状況下で接近されてどうしようと思っていたら逆に裏のユキの非情な先制が決まったわ・・・私に攻撃能力があったら同じ事やってそうね
「はぁ、考えていた策が台無しだわ」
私はそう笑う。だって、笑うしかないでしょう? 彼女が考えていたことが分ってしまったから
「ふっ、少しは体の硬さが取れたようだ。いいか、わたしたちは仲間だ。庇護対象ではない・・・お前がもうリュウトの庇護対象ではないようにね」
守るための策なんて考えるな、頼っても良い・・・中々素直じゃないわね、リデアほどじゃないけれど
と珍しい裏のユキの策でした
リデア「・・・」
あ、あの?
リデア「なんで・・・」
(さっと耳を塞ぐ)
リデア「なんでどいつもこいつもワタシをさらっと馬鹿にしていくのよ!!!」
ふ、塞いでいたはずなのに耳が・・・そ、そりゃ普段の行いのせいそのものでは
リデア「どういうことかしら~?」
ひっ、そこまで気にするのならば素直になっておけば・・・
リデア「それが出来たら苦労はしないのよ!!!! ・・・ふぅ、ちょっと暴れたらすっとしたわね。残りの鬱憤は本編で晴らすとして今日はここまでにしてあげましょう」
(じ、自分でも素直になれていないと分っているのでは? っていうか凍り付いて動けないし話せない!?)
リデア「・・・溶かすのも面倒ね。砕いても復活・・・はするでしょうけど時間がかかりそうね。うん、放置しましょう! ってことで今回はここまでよ。次回はいきなり先制喰らってダメージを受けているらしい敵も反撃するのかしらね? 是非3人の活躍を見に来てあげてちょうだい。じゃあね」




